怪我さえなければ……。NBAスターたちの悔やまれる瞬間【NBA講座vol.7】

先日、オクラホマシティ・サンダーの優勝で幕を閉じたNBA 2024-25シーズン。
サンダーとインディアナ・ペイサーズによるNBA FINALSは2016年以来・9年ぶりにGAME.7までもつれる大接戦となった。ただ、GAME.7の第1クオーターでペイサーズのエース:タイリース・ハリバートンが大怪我(結果的にアキレス腱断裂)をしてしまった。
もちろんバスケットボールはチームスポーツだから、1人が怪我をしたからと言って勝敗が確実に決まってしまうことはないが、それに大きく影響はしてしまうもの。
今回のシリーズはサンダーに負けてしまっただけに「もしハリバートンが怪我をしていなかったら……」と思ったファンも少なくないはず。

今回のシリーズでは、NBAで怪我によってチャンスを掴みきれなかった選手たちを3名ピックアップして紹介していく。彼らは記録よりも記憶に刻まれる選手たちであり、NBAの歴史を語る上では欠かせない存在である。この記事で、ジョーダンの時代に止まっているあなたが、NBAにより興味を持ってもらえたらうれしい。

現役選手部門

ケビン・デュラント(現ヒューストン・ロケッツ)

先日、フェニックス・サンズからトレードでヒューストン・ロケッツに移籍したデュラント。そもそもデュラントは記録もとんでもない。NBAでもルーキー時代から圧倒的な得点能力を発揮し、2010、2011、2012、2014年で4回得点王にも輝いたスーパースターである。36歳になった今も得点能力は落ちておらず、まだまだ現役で戦える存在感を放っている。あまりにも淡々と得点を決めることから「気づいた時にはやられている」という意味合いから「死神」というニックネームがついていることも、デュラントの物静かな性格を表現するにぴったりだとは思う。

そんなデュラントの2019年。この年は所属していたゴールデンステイト・ウォリアーズに取って初のスリーピート(3連覇)がかかったシーズンであった。一方でウォリアーズは5年連続でFINALSまで進出していたこともあり全体的に満身創痍で、デュラントの怪我の前にはカリーの相棒のクレイ・トンプソンも怪我をし、シーズン初目に補強した元スーパースターのデマーカス・カズンズも離脱など、どんどんメンバーを欠いていた。
それでもFINALSに進み、3連覇へ挑戦したものの、カリーとデュラントだけのウォリアーズで戦えるはずもなく、1勝3敗の状態で迎えたGAME.5。そもそも肉離れを抱えていながら強行出場したデュラントは、第2クオーターにアキレス腱を断裂してしまい、結果2勝4敗でスリーピートの達成とはいかなかった。

▲2018年のNBA FINALSで43得点した際のデュラントのハイライト

この時の怪我のシーンは、今年のハリバートンの怪我のシーンと非常に酷似していて、ファンの間では「2019年のデュラントみたいな怪我の仕方をした」とXで投稿している人も多くいた。
ハリバートンはもちろん、もしこの年にデュラントがアキレス腱を切っていなければ……。ウォリアーズは満身創痍だったけれども、スリーピート達成していたかもしれない。もし達成していたら2000-2002年のロサンゼルス・レイカーズ以来の達成だった。結局、この年を最後にデュラントはウォリアーズから離れることになるが、同時にウォリアーズは、スリーピート達成とならなかったものの、初の2連覇に大きく貢献したデュラントの「35番」を永久欠番にすることに決めた。

来年、ヒューストンで心機一転、チームを上位まで引き上げられるか。

https://nba.rakuten.co.jp/news/1335

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