サンダーは46年ぶり、ペイサーズは初の優勝をかけて【NBA FINALS 見どころ】

両極端なヘッドコーチ

サンダーのヘッドコーチ(以下HC):マーク・デイグノルトは、2024-25シーズンのNBAの最優秀ヘッドコーチ賞にも選ばれた、若干40歳の若手HCで、今のNBAのHCでは最年少である。元々は大学でコーチキャリアを始めており、2014年からはサンダーの下部組織「オクラホマシティ・ブルー」で指揮を取っていた。2019年に内部昇格し、直近4年間で勝ち星を大きく伸ばしている(20→40→57→68)ことが評価された。
マークの指導は非常に現代的で、個性をとにかく尊重したオープンマインドな指導法をすることで有名である。トップダウンで「このプレーをしなさい」ではなく、選手1人ひとりに耳を傾けて、チームがどうすればお互いを高めあえるか、というシステムを構築してきた。平均年齢24歳の若手軍団・サンダーが、ここまで結果を出せているのも間違いなくマークの功績だろう。

一方のペイサーズのHCは、百戦錬磨のリック・カーライル。マークとは打って変わって、厳しいことを要求し高い目標を与える。そこに妥協や甘さは一切なく、同じ目標に向かって全力で向かう、リーダータイプのHCである。2011年にダラス・マーベリックスを優勝に導いた名将が、今度はジョーダンの時代にペイサーズのHCをしていながらも達成できなかったインディアナに栄冠を持ち帰ることに本気でトライしているのだ。
カーライルは歴代11の通算993勝という、とんでもない記録を持っているHCであるが、その勝利数が語るように、HCとしての先述の引き出しも非常に多い。そして今年のペイサーズは、その戦略を理解し即コートに反映できるクレバーなガード:タイリース・ハリバートンがいる。ハリバートンを中心としたとにかく走るバスケットをするために、スタメン以外の選手も起用する”10人バスケ”を今シーズンは強調しているが、そのように普段から全員で頑張る姿勢が、カーライルのおかげでペイサーズには根付いているのかもしれない。

▼3年前まで両チームは82試合あるシーズンで25試合以下の勝利数だった。

体力勝負の持久戦

サッカーではしばしば見られるが、2チームの1試合あたりの走行距離に注目したい。このNBA FINALSは、おそらく近年稀に見る走力戦になるだろう。
走行距離に関して、ペイサーズはリーグ2位の19.1マイル(約30.5km)に対し、サンダーは16位の18.5マイル(約29.7km)で、約1kmの差がある。ペイサーズはパスもとにかくよく回すし、人が常に動いている状態に加え、ディフェンスでもオールコートプレスをかけることが理由であると考えている。
一方のサンダーは「ミスはパスから起きる確率が高い」と考えて、ドリブルを多く起用するスタイルが特徴的。その上で全員がドリブルに合わせたカッティングやスクリーンをかけてスペースを上手く作っている。

両チーム共に「走るバスケット」であるが、もし万が一、GAME.7までもつれる試合となった場合は、どちらに体力が残っているかが勝負の分かれ目になる気もしている。そうなった場合は身長にアドバンテージを持つサンダーがどうしても有利になるだろう。ペイサーズは走力戦で、最後の最後までしっかり走り切りたいところだ。

▼数字から見る両チームの分析

ジンクス

少し前の記事でも紹介したが、79年の歴史があるNBAにはやはりジンクスがある。それは「MVPを受賞した選手がいるチームは、受賞年に優勝できない」というものだ。
今回でいうと、サンダーのシェイ・ギルジャス・アレクサンダーが2024-25シーズンのMVPであるが、果たしてシェイは、そのジンクスを打ち破ることはできるか。

一方のペイサーズは、ダークホースとして決勝まで勝ち上がっている想定外なところがある。また、シーズン中の直接対決では、12/27の試合で114-120で敗戦、3/30の試合で111-132で敗戦し、今シーズンはまだサンダーから勝ち星を上げていない。そういった意味でも、PLAYOFFSでビュンビュンに吹いているインディアナの追い風を、FINALSでも吹かせたいところだ。

【NBA FINALS】歴史が変わる瞬間!? 初心者でもわかる今年のファイナルの注目ポイント

最後に。個人的に今回のFINALSは甲乙付け難く非常に良い勝負をすると思う。
シーズンをみているとサンダーは穴がなかったし若い選手たちがイキイキとプレーする姿は見ていて爽快だった。一方のインディアナは勢いが凄すぎる。ハリバートンはもちろんだが、2018-19シーズンにラプターズで優勝経験のあるパスカル・シアカムの存在も大きい。シリーズ通して「やられたらやり返す」といった具合で得点が多く入る試合が多いはず。間違いなく下馬評はサンダー優勝だが、個人的には4-2でペイサーズ。彼らの大逆転と勝負強さに、このプレーオフはとてもワクワクさせられたから、最後に彼らが優勝するところを見てみたい。

サンダーが優勝すれば、なんとシアトル・スーパーソニックス時代を含め46年ぶり。一方のペイサーズが優勝すれば、NBA入りしてからはなんと初優勝である。新時代の幕開けとなるNBA FINALSは、いよいよ日本時間の明日6/6(金)9:30からティップオフ。

視聴方法について

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