河村勇輝(写真:AP/アフロ)

河村勇輝がNBAに巻き起こすフィーバーの要因は低身長とPGとしての資質

河村勇輝(写真:AP/アフロ)
日本人選手として4人目のNBA選手となったグリズリーズの河村勇輝(23)だが、NBAのコートに立つだけでなく、アメリカのバスケファンの心を完全に掴んでいる。

アウェーのコートでも観客から大声援が送られる存在となっており、まさしく「河村フィーバー」となりつつある。

いったいなぜ河村がこれほど愛される存在となったのか、要因は2つ考えられるだろう。

①NBAで最も低身長であること

河村の身長は172㎝で、ほぼ日本人男性の平均身長だが、NBAの世界では、「小人」だ。

平均身長が198㎝であるNBAにとって、172㎝は小人以外の何物でもなく、大きなハンデキャップとなるわけだ。

しかし、河村の場合はその身長の低さが逆に武器となっている。

パリオリンピックで活躍した河村は、「あんなに身長が低いのにすごい選手」と評価を高めた。

NBAで戦う選手たちはもちろん、NBAを愛する世界中のファンたちにもその活躍は届いていただろう。

そんな選手がNBAにチャレンジし2WAY契約を勝ち取ったため、大きな話題になるのは当然だったといえる。

しかも河村はそのプレーレベルだけでなく日本人らしいまじめな性格を持ちながら、エースのジャ・モラントらチームメイトから愛されるキャラクターも持ち合わせている。

完全に「背は低いけど実力があって愛される選手」になったわけだ。

②一昔前のスタンダードなPGタイプであるから

現代のNBAはスリーポイントの重要度が極めて高く、PGも積極的にスリーポイントを打つ時代となっている。

しかし、多くのNBAファンは、オールドタイプのPGに対する愛着を今でも持っている。

ゲームをコントロールし、SGやSF、PF、Cにアシストパスを何度も通すPGは、特に30代以上のファンにとって愛すべきタイプのPGなのだ。

河村はまさにこのタイプに該当する。

Bリーグでは自らドリブルで仕掛けレイアップで得点を奪うプレーも得意だったが、超人だらけのNBAではインサイドにドライブしていくのはなかなか難しい。

そのため、ゲームをコントロールをしてアシストをする役目が最も合っているわけだ。

もちろん、時代的にスリーポイントも積極的に放つが、ファンは彼がステフィン・カリーのようなスリーが上手いガードだとは思っていない。

かつてのNBAを彩ったジョン・ストックトンやジェイソン・キッドといったPGと同じように、オールドタイプのPGであるから愛される存在になっているともいえる。

ガベージタイムでの出場がほとんどで、8試合の出場(平均出場時間3.3分)で得点1.0、アシスト0.8、リバウンド0.3、3P成功率 12.5%とそれほど数字としては良くないが、今はまだNBAの環境に慣れる段階であるため数字自体はそれほど重要ではない。(もちろん最低限の数字は残すべきだが)

おそらくジャ・モラントが怪我から復帰をすればGリーグが主戦場となるはずだが、1シーズンGリーグで経験を積めばNBAでも安定した成績を残せる選手となるはずだ。

そういった意味では、来シーズンの河村は大きくプレータイムを伸ばす可能性があるといえるだろう。

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