
東京オリンピックから正式種目となった3人制バスケットボール「3x3(スリー・エックス・スリー)」。近年は世界各地でプロリーグが誕生するなど、急速に存在感を高めているバスケットボールの新しい形だ。
バスケットボールの本場といえばアメリカだが、アメリカで行われている3x3のプロリーグ「BIG3」を、あなたはご存じだろうか。NBA以外のキラーコンテンツとして注目を集めており、近年存在感を高め続けているリーグである。
この記事では、BIG3がどのようなリーグなのか。特徴やリーグのビジネスモデルを紹介するとともに、ストリートバスケットボールの背景などにも触れながら解説していく。
BIG3とは?アメリカ発の3人制バスケリーグ
「BIG3」は、2017年にアメリカで誕生した3人制バスケットボールのプロリーグである。創設したのは、ヒップホップアーティストとして知られるIce Cube(アイスキューブ)と、エンターテインメント業界のプロデューサーであるJeff Kwatinetz(ジェフ・クワティネッツ)だ。
リーグの最大の特徴は、元NBA選手など経験豊富なベテラン選手が中心となってプレーする点にある。リーグ創設時にはAllen Iverson(アレン・アイバーソン)やJoe Johnson(ジョー・ジョンソン)をはじめとする著名な元NBAスターが参加し、大きな話題を呼んだ。リーグの目的は、NBAなどの5人制のプロを引退した後も高いスキルを持つ選手たちが競い合う新たな舞台を作ることにあり、従来のプロリーグとは異なるコンセプトで設計されている。
試合は3対3のハーフコート形式で行われ、NBAオフシーズンにあたる夏(6月〜8月頃)に開催される。各チームはレギュラーシーズンを戦い、その後プレーオフとチャンピオンシップで優勝チームを決定するリーグ構造。また、BIG3は都市を巡回しながら試合を開催する「ツアー型リーグ」という特徴も持つ。ホーム&アウェー制ではなく、複数都市で興行を行うことで、バスケットボールとエンターテインメントを融合させたイベントとして展開されている。
このようにBIG3は、従来の5人制バスケットボールとも、国際連盟(FIBA)が統括する3x3とも異なる独自の立ち位置を持つリーグとして誕生したのである。
This June…
Season 9- The 9th Wonder in the Summer touches down. Coming to a city near you. On @cbssports all summer pic.twitter.com/6lLo4WaCA4— BIG3 (@thebig3) March 6, 2026
BIG3のルール|4点シュートや50点先取など独自ルール
BIG3は3人制バスケットボールのリーグではあるものの、国際バスケットボール連盟(FIBA)が定める3x3ルールとは異なる独自の競技ルールを採用している。これらのルールは、試合のテンポやエンターテインメント性を高めることを目的として設計されている。
まず特徴的なのが、試合は「50点先取」で勝敗が決まる点だ。一般的なバスケットボールのような試合時間制ではなく、先に50点に到達したチームが勝利する。ただし勝利するためには2点以上の差をつける必要があり、接戦では決着まで試合が続く仕組みとなっている。なお、試合のハーフタイムはどちらかのチームが25点に到達した時点で行われる。ちなみに、試合そのものの時間は設定されていない。5人制のバスケットであれば10分x4クオーターの合計40分、FIBAルールの3x3であれば21点先取もしくは10分経過した時点で得点の多い方が勝利というルールだが、BIG3の場合は「50点先取」で「25点目をどちらかのチームが記録した時点でハーフタイム」だけである。
また、BIG3を象徴するルールとして知られているのが「4ポイントシュート」である。コート上には通常の3ポイントラインよりもさらに遠い位置に、バスケットから約30フィート(約9メートル)の距離に3つの円形ゾーンが設けられており、このエリアから成功したシュートは4点としてカウントされる。この4点シュートは試合の流れを大きく変える可能性を持つプレーであり、短時間で点差を縮めることができるため、試合終盤の逆転劇を生み出す要素としても注目されている。
さらにBIG3では、試合のスピード感を高めるためのルールも導入されている。例えばショットクロックは14秒に設定されており、通常の5人制バスケットボールよりも短い。これにより攻守の切り替えが速く、テンポの速い試合展開が生まれる。加えて、NBAやFIBAルールとは異なる点として、ディフェンス3秒ルールが存在しないことも挙げられる。ペイントエリア内での守備制限がないため、よりフィジカルなプレーが生まれやすい環境となっている。
このほかにも、ジャンプボールではなくインバウンドから試合が開始されることや、シュートファウル時のフリースローが1本でシュートの点数分の価値を持つなど、BIG3には試合時間の短縮とエンターテインメント性を意識した独自ルールが数多く存在する(※2)。
こうしたルール設計により、BIG3の試合は短時間で展開が変わるダイナミックな試合となり、従来のバスケットボールとは異なる観戦体験を生み出しているのである。
大接戦で大きな盛り上がりを見せた2025シーズンのチャンピオンシップ
BIG3は成功している?注目されるスポーツビジネスモデル
2017年にスタートしたBIG3は、設立当初こそ「元NBA選手によるイベント的リーグ」と見られることもあった。しかし現在では、独自のビジネスモデルを持つプロスポーツリーグとして一定の存在感を確立している。
まず大きなポイントとなるのがテレビ放映によるメディア展開だ。BIG3はリーグ創設当初からアメリカの大手テレビネットワークCBSと放映契約を結び、全米放送を実現している。スポーツリーグにおいてテレビ露出はファン獲得とスポンサー収入の基盤となる要素であり、BIG3は比較的早い段階で全国的な放送体制を確立した。
実際、リーグの試合はCBSおよびCBS Sports Networkで放送されており、安定した視聴者を獲得していると報じられている。
もう一つの特徴が、ツアー形式の開催モデルである。一般的なプロスポーツリーグはホーム&アウェー方式を採用することが多いが、BIG3はシーズン中に各都市を巡回して試合を開催する方式を採用している。この形式により、特定のフランチャイズ都市に依存せず、全国各地の観客に直接リーグを届けることができる。
さらに、会場運営を一体化することでコストを抑えながら興行を成立させるというメリットもあると言われている。また近年では、チームのフランチャイズ化も進められている。2023年には、俳優のWill Smith(ウィル・スミス)らがチームオーナーとして参画するなど、セレブリティ投資家によるチーム所有モデルが導入された。これにより、リーグの資金基盤やブランド価値の拡大が期待されている。
さらにBIG3は、元NBAスター選手を中心とした「レジェンドリーグ」としてのブランド価値も確立している。Joe Johnson(ジョー・ジョンソン)やAmare Stoudemire(アマレ・スタウダマイヤー)など、NBAで実績を残した選手が参加しており、ファンにとっては往年のスター選手のプレーを再び見ることができる舞台となっている。BIG3は、テレビ放送・ツアー形式の興行・著名人による投資などを組み合わせた独自のスポーツビジネスモデルを構築している。伝統的なプロリーグとは異なるアプローチながら、新しいバスケットボール興行の形として注目を集めているのである。
ISO BALL: clear out. One defender. One scorer. Go get a bucket.
They don’t call him Iso Joe by accident.
Clear the side.
Give him the rock.
Game over. 🏀 pic.twitter.com/H18dr0o47G— BIG3 (@thebig3) March 8, 2026
ストリートバスケ文化とBIG3|AND1から続くアメリカのバスケ文化
少し余談になるが、アメリカのバスケットボール文化を語る上で欠かせないのが、屋外コートを中心に発展してきた「ストリートバスケットボール」の存在だ。ニューヨークのRucker Parkなどに代表されるストリートコートでは、プロや大学のスター選手だけでなく、無名のプレーヤーたちが自由なスタイルでプレーし、独自のバスケットボール文化を形成してきた。
この文化は、スキルや個人技を重視したプレースタイルや、観客を楽しませるエンターテインメント性の高いプレーが特徴とされている。こうしたストリートバスケットボール文化を世界的に広めた存在として知られているのが、2000年代に登場した「AND1(アンドワン)」だ。AND1は1990年代後半から、ストリートプレーヤーのプレー映像を収録した「Mixtape」シリーズを展開し、これが若いバスケットボールファンの間で大きな人気を集めた。さらに、AND1 Mixtape Tourと呼ばれるイベントツアーを開催し、ストリートバスケをショーとして世界中に広めることに成功した。しかし、その多くはショーイベントやエキシビションとしての性格が強く、リーグとしての継続的な競技体系を持つものではなかった。
そこで2017年に登場したのが「BIG3」という流れ。実際にリーグ創設者のアイスキューブもBIG3の構想について「バスケットボールをより自由で創造的な形で楽しめる舞台を作りたい」と語っており、ストリートカルチャーから影響を受けていることを明かしている(※3)。
AND1で有名だった「HOT SAUCE」のトップ10ハイライト
BIG3の未来|3人制バスケリーグの新しい可能性
近年、3人制バスケットボールは世界的に急速な広がりを見せている。国際バスケットボール連盟(FIBA)が主導する3x3は2021年の東京オリンピックで正式種目となり、国際競技としての認知度を大きく高めた。これにより、3人制バスケットボールは新しいスポーツ市場として注目されるようになっている。こうした流れの中で、アメリカ発の3人制リーグである BIG3 も、独自の立ち位置を確立しつつある。BIG3はFIBAの3x3ルールとは異なる競技体系を採用しているが、3人制バスケットボールの新しいエンターテインメントとして一定のファン層を獲得している。
バスケットボールの本場アメリカでは、NBAだけでなく多様なバスケットボール文化が共存してきた。ストリートバスケから生まれた自由なプレースタイルと、プロスポーツとしての競技性。その両方を融合させたリーグとして、BIG3は新しいバスケットボールの可能性を提示しているといえるだろう。
今後、3人制バスケットボール市場が拡大していく中で、BIG3がどのような形で発展していくのか。その動向は、世界のバスケットボールビジネスにおいても注目される存在となっていくかもしれない。
🇺🇸 Miami win #3x3WTUtsunomiya Opener 2024 on Maurice Lacroix Buzzer Beater! 🔥#3x3WT
— 3x3 Basketball | FIBA3x3 (@FIBA3x3) April 28, 2024
2024年の世界大会では、アメリカのMiami(マイアミ)で元NBA選手のジマー・フレデッテが活躍した。BIG3から3x3のオリンピアンなどは誕生するのか
【参考】
※1:https://www.boston.com/sports/boston-celtics/2025/03/26/boston-big3-franchise-ice-cube-gary-payton-comments/
※2:https://www.sportingnews.com/us/nba/news/big-3-league-format-rules-explained-4-point-shot/nsyhiv56wgkuesm2plxocnzs
※3:https://andscape.com/features/ice-cube-big3-league-is-not-novelty-or-nostalgia/
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