「お前はジョーダンになれる!」ウルブズが誇る守備職人が俊英エドワーズを絶賛<DUNKSHOOT>

今季目覚ましい活躍を見せるエドワーズ(左)を、ベバリー(右)は「ジョーダンになれる」と称賛した。(C)Getty Images
現地時間3月11日、かつてロサンゼルス・クリッパーズなどでピュアシューターとして活躍したJJ・レディックらがホストを務めるポッドキャスト番組『The Old Man and the Three』に、パトリック・ベバリーがゲストとして出演した。

ベバリーは昨季までのキャリア9シーズンのうち、プレーオフに7度出場。クリッパーズに在籍した昨季はウエスタン・カンファレンス・ファイナルまで進出した。

カンファレンス決勝に到達するのは、クリッパーズのフランチャイズ史上初の快挙。その舞台でチームはフェニックス・サンズの前に2勝4敗で敗れたものの、カワイ・レナードが故障離脱したなかで、ポール・ジョージやレジー・ジャクソンを中心とした布陣で奮闘を見せた。

「俺たちはウエスタン・カンファレンス・ファイナルに進んだ。それはあのチームにとってこれまで達成していなかったことなんだ。それに俺はあのチームに初期からいたから、契約延長になると考えていた。簡単にそうなるだろうと見ていたんだ。でも彼らが提示した額は、あり得ないほどに俺を軽視していると感じるものだった」
ベバリーにはクリッパーズが強豪チームへ成長するうえで、その根幹を担ってきたという自負があった。ヒューストン・ロケッツ時代も含め、オールディフェンシブチームに3度選ばれてきたリーグ有数の守備職人は、クリッパーズにタフなメンタリティを持ち込み、プレーオフを勝ち上がれるチームへと進化させたというプライドがあったのだろう。

だが、ベバリーが怒りを露わにしたように契約延長は実現せず、昨年8月に2度のトレードを経てウルブズへ移籍。それでも、今季は3月10日終了時点で平均9.1点、4.3リバウンド、4.9アシスト、1.1スティールをマークすると、その活躍が評価されて2月15日に延長契約を結び、来季も契約下に入ることとなった。

ウルブズは現在38勝29敗(勝率56.7%)でウエスト7位。プレーイン・トーナメント進出圏内におり、4シーズンぶりのプレーオフへ進出可能な好位置にいる。
このチームには平均24.5点、9.7リバウンド、3.8アシスト、1.2ブロックと立派な数字を残すオールスタービッグマンのカール・アンソニー・タウンズ、平均19.0点、7.1アシストをマークするディアンジェロ・ラッセル、平均12.6点のマリーク・ビーズリーといった好選手たちが揃っている。

なかでもベバリーがそのポテンシャルを高く評価しているのはアンソニー・エドワーズ。キャリア2シーズン目のスウィングマンは、193センチ、102キロと屈強な身体を持ち、ここまで平均21.3点、4.6リバウンド、3.6アシスト、1.5スティールと好成績を残している。

「彼に言ったんだ。『お前にはマイケル・ジョーダン(元シカゴ・ブルズほか)になれるチャンスがある』とね。あの若手には何もネガティブな要素がない……。もうすべてがポジティブなんだ。彼の持つタレントレベルとスキルの高さはクレイジーで、彼にはリーグでも本当に特別な存在になれるチャンスがある」
昨季の新人王投票でラメロ・ボール(シャーロット・ホーネッツ)に次ぐ2位に入ったエドワーズは、2年目を迎えた今季は平均20点の大台を突破するなど、リーグきっての若手スターとして台頭。ちなみに、エドワーズの身長は2020年ドラフトでウルブズから全体1位指名された時のもので、クリス・フィンチHC(ヘッドコーチ)によると、昨季終了時点で2インチ伸びて198センチになっていたという。

もっとも、そこでエドワーズは「6フィート6インチ(約198センチ)にしないでほしい。マイケル・ジョーダン(と同じ)にしないでくれ」と指揮官へ伝えたことで、今季も193センチのままになっているようだ。

自身3チーム目となったウルブズで、ベテランとしての存在感をしっかりと示しているベバリー。フロント陣にも評価されていることから、昨夏の移籍は成功と見ていいだろう。

プレーオフへ出場するためにはプレーイン・ゲームという一発勝負で勝たなければいけないだけに、今後も油断は禁物ながら、ウルブズにはそのチャンスが大いにあることは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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