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「その時僕はジョーダンを履いていた」コビーモデル愛好家のデローザンが憧れのスーパースターから受けた“洗礼”を明かす<DUNKSHOOT>

移籍1年目からブルズのエースとして躍動するデローザン。その足元にはいつも、憧れのレジェンドのシューズがある。(C)Getty Images
カリフォルニア州コンプトンで生まれ、ロサンゼルスで育ったデマー・デローザン(シカゴ・ブルズ)にとって、ロサンゼルス・レイカーズ一筋20シーズンをプレーしたコビー・ブライアントはアイドルそのものだった。

「小さい頃から、僕は彼のプレーからたくさん学んでは真似しようとしてきた。ロサンゼルスで育ったから、彼が出場した全ての試合を観てきた。高校生の頃に彼と対戦した時、彼と近づいて、直接学べるチャンスを手にし、会話することもできたんだ」

2000年代のNBAを代表するスター選手だったコビーは、20年1月26日のヘリコプター墜落事故によって帰らぬ人となった。

それでも、全身全霊をかけてバスケットボールへ身を捧げたレジェンドが遺したレガシーは、5度の優勝や2度のファイナルMVP、4度のオールスターMVPといった功績以上に、多くのプレーヤーたちへ影響を及ぼし続けている。
現役選手のなかにも、デビン・ブッカー(フェニックス・サンズ)やジェイソン・テイタム(ボストン・セルティックス)など、コビーを敬愛する選手は多いが、なかでもデローザンは別格だ。彼の巧みなフットワークや円熟味を増すミドルレンジゲーム、そして勝負所で相手チームを仕留めるクラッチパフォーマンスの数々は“ブラックマンバ”のプレーを彷彿とさせる。

現地時間3月9日に公開されたサージ・イバカ(ミルウォーキー・バックス)のYouTube番組『How Hungry Are You?』へ出演したデローザンは、憧れのレジェンドと対戦した際のエピソードを明かした。

「彼のシューズをいつも履いてたこともあり、僕らには結びつきがあった。でもある日、彼が僕の足元を見つめていたんだ。そこで僕は『いやぁ、今夜はレイカーズと対戦するから、あなたのシューズを履いてないんだ』って感じで返した。そう、その時僕はジョーダン(ブランド)を履いていた」

普段はコビーのシグネチャーモデルを好んで着用するデローザンだが、コビーとマッチアップする試合ではジョーダンブランドを着用。この判断はNBA史上でも稀代の負けず嫌いを刺激してしまったという。
「彼は『お前は一体何を得ようとしているんだ?』と言って怒っていた。そしてトラッシュトークをずっと仕掛けてきて、ゲームウィナーを決めて試合を締めくくってしまったんだ。それからというもの、僕はジョーダンのシューズを履かないようにしたのさ」

デローザンはトロント・ラプターズでキャリア最初の9シーズンをプレーすると、18年夏にトレードでサンアントニオ・スパーズへ移籍。そこで3シーズンをプレーしたのち、昨夏のサイン&トレードで現在のブルズへ加入した。
1990年代にマイケル・ジョーダンを中心とした布陣で2度の3連覇を飾った名門へ移籍したデローザンは今季、キャリアハイの平均28.1点に5.4リバウンド、5.1アシストを記録。さらに、2夜連続の決勝ブザービーターや8試合連続の35得点以上+フィールドゴール成功率50%以上など、コビーとジョーダンでさえ達成できなかったNBA記録を樹立し、MVP候補に挙がる活躍を続けている。

32歳のベテランスコアラーは、今もコビーモデルをこよなく愛し、自身の足元には常に彼のロゴが輝いている。そこには先人へのリスペクトだけでなく、憧れのスーパースターから受けた“洗礼”も色濃く表われているのだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)

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