「3万点まで行くべきだと思う」通算2万5000点到達もデュラントにとっては通過点「どこまで順位が上がるか楽しみ」<DUNKSHOOT>
「リーグでも優れたチーム、そしてベストな選手が2人がいる相手と対戦する時というのは、競争者としてワクワクする。それに子どもの頃から尊敬してきたプレーヤーと戦うんだから楽しみなんだ。そういう機会があれば、自分の最大限の力を発揮しようとするものなのさ」
現地時間3月6日(日本時間7日、日付は以下同)に行なわれたブルックリン・ネッツとボストン・セルティックスによる一戦は、ジェイソン・テイタムがシーズンハイの54得点と大暴れ。エースが爆発したセルティックスが、126−120で接戦を制してみせた。
テイタムが試合後に語った冒頭の発言の“ベストな2人”とは、もちろんネッツのケビン・デュラントとカイリー・アービングのこと。この試合、デュラントは37得点、6リバウンド、8アシスト、2ブロック、アービングが19得点、6アシスト、3スティールをマークした。しかし一歩及ばず、4連敗を喫したネッツは今季成績を32勝33敗(勝率49.2%)とし、シャーロット・ホーネッツに並ばれイースタン・カンファレンス8位タイとなった。
「俺たちにはまだ試合がある。あと17試合あるんだ。シーズンの終わりにどうなっているか楽しみにしているよ。先のことは考えずに、一日一日を過ごしていくだけ。俺はこのグループに自信を持っている」
デュラントは試合後にそう話していたものの、ジョー・ハリスは足首の故障で今季絶望となり、ベン・シモンズも背中を痛めて新天地デビューの時期が未定のまま。そんな状況下で、6位のクリーブランド・キャバリアーズ(37勝27敗/勝率57.8%)とのゲーム差5.5を覆すことは厳しく、プレーオフへ出場するためにはプレーイン・トーナメントを勝ち抜かなければならない可能性が高まっている。
ただ、試合には敗れたものの、この日はデュラントにとって記念すべきゲームにもなった。稀代のスコアラーは通算得点を2万5004点とし、NBA史上23人目となる通算2万5000得点を突破。現役ではレブロン・ジェームズ(3万6720得点)、カーメロ・アンソニー(ともにロサンゼルス・レイカーズ/2万8120得点)に次ぐ3人目で、また922試合での達成は史上7番目の速さである。
「凄いことだね。今の俺は正直、30(3万得点)まで行くべきだと思っている。でもいいことだ。この快挙に到達し、偉大な選手たちと並んだことは最高さ。このままプッシュして、現役を終える時にどこまで(順位が)上がっているか楽しみにしているよ」
33歳のスーパースターは、NBA歴代4位となるキャリア平均27.12点をマークしており、今季もここまで平均29.5点を叩き出しながら、フィールドゴール成功率52.0%、3ポイント成功率37.2%(平均1.9本成功)、フリースロー成功率89.8%と高いシュート精度を維持している。今後も試合に出場し続ければ、一気に順位を上げていくことだろう。
「彼は(バスケットボールにおける)学者であり、アーティストなんだ。歴史を刻んだのさ。そしてこれから先もずっと、レジェンドとして記憶されていくよ」
アービングが試合後にロッカールームで語ったこの言葉は、まさにデュラントを表現する上で的を射ていると言っていい。公称208cmというビッグマン並みのサイズから、ガードのような動きを難なく繰り出し、ドライブからポストプレー、さらには高精度なプルアップジャンパーをいとも簡単に沈めてしまうデュラントは、すでに歴代最高級のスコアラーとして歴史に名を刻んでいる。
はたして、ネッツの今季最終着地点はどこになるのか。プレーインを勝ち抜き、買いシードからのプレーオフ進出となったとしても、一発勝負で50得点すら可能なスーパースターを2人も擁するネッツとは、どのチームも対戦したくはないだろう。
文●秋山裕之(フリーライター)
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