百戦錬磨のウォリアーズは第1シード獲得に重きを置かず?「関係ない」とグリーンが語る理由とは<DUNKSHOOT>

ウエスト首位のサンズを6.0ゲーム差で追いかけるウォリアーズ。ただ、グリーンは第1シード奪取がそれほど重要ではないと考えているようだ。(C)Getty Images
現地時間2月26日(日本時間27日、日付は以下同)、故障離脱中だったゴールデンステイト・ウォリアーズのドレイモンド・グリーンが、今年の1月上旬以来初となるチーム練習へ参加した。

「彼のエナジーや声がジムに戻ってきたのは素晴らしいこと。フィジカル面では凄く良く見えたね。彼にとっても今日は非常にポジティブなステップになった」

スティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)はそう話し、チームの屋台骨であるグリーンの練習復帰を歓迎。31歳のフォワードはふくらはぎの張りと腰の椎間板を痛めたことで1月上旬から戦線離脱していたが、この日はシューティングドリルや5対0など、いくつかのメニューをこなした。

故障中はバスケットボールに関するアクティビティができなかったことで、ウェイトルームに籠って身体を鍛えていたというグリーン。これにより「今までの人生で最も強靭な状態にある。この6週間というもの、ウェイトルームにいたからな。そこで1日4、5時間は鍛えていた」と話している。
とはいえ、オールスターゲームが行なわれた20日時点で、グリーンは復帰まで3~4週間かかるかもしれないと話していたことから、戦列復帰時期は3月下旬、つまりレギュラーシーズン終盤戦。プレーオフまで1か月を切った段階でようやく、ウォリアーズはベストメンバーが揃う見込みとなる。

チームは現在ウエスタン・カンファレンス2位の43勝18敗(勝率70.5%)で、6位のデンバー・ナゲッツ(35勝25敗/勝率58.3%)とは7.5ゲーム離れている。そのため、ここから大崩れしない限り、プレーイン・トーナメントへ参戦せずにプレーオフへ駒を進めることができるだろう。

一方、首位のフェニックス・サンズ(49勝12敗/勝率80.2%)とは6.0ゲーム差なのだが、グリーンは「この時期に第1シードを獲得することに集中すべきではない」と話す。

「ゴールはロード(アウェー)で1勝することにある。4ゲーム、あるいは6、7ゲーム差であろうと、ゴールはロードで1勝することだ。第2シードなら、ロードで1勝しなきゃならない。だがシード順をひとつ上げるために疲弊してはいけない。確かに、第1シードになれば(プレーオフの)シリーズで1試合多くホームで戦えるし、最終戦をホームで戦える。でも俺はロードの第7戦で勝ったことがあるし、ホームの第7戦に敗れたこともある。だから関係ないのさ」
ウォリアーズにとって3年ぶりのプレーオフで、彼らとサンズが今の順位のまま順当に勝ち上がれば、カンファレンス・ファイナルで激突することとなる。そこでサンズは最大7戦のシリーズのうち4試合をホームで戦えるのだが、グリーンは「(第1シードを)取れたら最高だが、この組織にいる皆は、(第1シードを)追いかけて疲弊することに価値を見出していない気がする」と口にし、こうも話していた。

「俺たちが健康体なら、いつだってどんな試合でも勝とうとする。でも健康体でないならば、選手を使い尽くしてケガのリスクを高めるのは良くない」

現在、ウォリアーズはグリーンとジェームズ・ワイズマンというフロントコート陣をケガで欠いているのに対し、サンズは司令塔のクリス・ポールが右手親指を骨折し、レギュラーシーズン残り試合を全休する可能性もある。そのため、プレーオフを前に両チームの順位が逆転することもあるかもしれない。
だがグリーンが語ったように、ウォリアーズがここから主力を酷使し、サンズとの6.0ゲーム差を縮めて第1シード獲得へ向けてフォーカスするとは考えにくい。ステフィン・カリー、クレイ・トンプソン、そしてグリーンという3本柱を筆頭に、選手たちのコンディション調整を重視して、プレーオフをベストな状態で迎えることに時間を費やすのが妥当だろう。

ジャ・モラント率いる3位のメンフィス・グリズリーズ(42勝20敗/勝率67.7%)が1.5ゲーム差まで迫っている点は気がかりだが、ウォリアーズとサンズというリーグトップ2に君臨する優勝候補たちの覇権奪取に向けた戦いが、水面下で始まっていることは確かなようだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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