
リラードの復調とともに調子を上げるブレイザーズ。試合を締める“陰の立役者”とは<DUNKSHOOT>
開幕12試合で5勝7敗と出遅れていたポートランド・トレイルブレイザーズが、徐々に調子を上げてきている。
現地時間11月20日(日本時間21日、日付は以下同)にはホームのモーダ・センターでフィラデルフィア・セブンティシクサーズを迎え撃ち、試合の大部分でリードを奪って118−111で勝利。シクサーズはジョエル・エンビード(安全衛生プロトコル)、ベン・シモンズ(コンディション調整)、ダニー・グリーン(ハムストリング)を欠いていたとはいえ、デイミアン・リラードが今季ベストとも言えるパフォーマンスを発揮して強敵を撃破した。
この試合、リラードはフィールドゴール成功率47.6%(10/21)、3ポイント成功率38.5%(5/13)、フリースローは放った14本すべてを決め切って今季自己最多の39得点をマーク。さらに7アシスト、3ブロックも記録し、チームを3連勝へと導いた。
ルール変更、試合球がスポルディング製からウィルソン製へ変わったこと、さらには腹部の痛みも抱えながらコートへ立ち続けるリラード。そんなエースについて、チャンシー・ビラップスHC(ヘッドコーチ)も「今夜の彼は14本ものフリースローを自ら勝ち取った。彼がアタックして、2桁本数のフリースローを獲得するのを観ることの方が、人々は慣れていると思うね」と称賛した。
リラードはここ7試合でいずれも20得点以上を稼いでおり、うち5試合でフィールドゴール成功率47.0%以上と復調傾向にある。開幕から約1か月が経過し、シクサーズ戦を終えたリラードは「今シーズンの俺はスロースタートだった。シュートを決めるのに苦しんでいた。ただ、上手くいかなかっただけさ」と話し、ここ数試合で徐々に持ち直してきたと明かしている。
「ここ2週間くらいかな。この5、6試合で俺はだんだんと良くなってきたんだ。少なくとも俺がいい感触と感じられるくらいにね。でも完全に調子が良いと感じているわけじゃない。ただ、自分ではそれに近づいている気がする」
リラードが本調子を完全に取り戻すこととなれば、ブレイザーズとしても心強く、相手チームからすれば脅威でしかないだろう。
また、この3試合でブレイザーズは、試合を締めくくるラインナップでユスフ・ヌルキッチではなくラリー・ナンスJr.を起用していることも奏功していると言っていい。先発は依然としてヌルキッチなのだが、この試合では終盤にコートに立ったヌルキッチに対し、シクサーズは立て続けに攻め込んでふたつのファウルを誘発した。
「相手は彼(ヌルキッチ)へ向かっていき、すぐさまふたつのファウルを獲得した。当然、ビッグマンが早くもふたつのファウルをしてしまったのだから、彼らはそれを続けていくだろう。そこで私はラリーを送り込み、1番(ポイントガード)から5番(センター)までスイッチできる布陣にした。我々にアドバンテージを与えてくれるからね」
試合後にそう振り返ったビラップスHC。エンビードという支配的なビッグマンが不在のシクサーズにはこの作戦が成功を収めることとなった。
ヌルキッチとは違って、ナンスJr.にはスイッチディフェンダーとして動き回ることができる機動力がある。そのため、今後も対戦相手によってはセンター陣を使い分けて試合を締めくくることになるだろう。
頑なに先発センターを起用し続けるのではなく、その状況に応じて選手をコートへ送り込み、チームとして着実に勝利を積み重ねる。これができれば、ブレイザーズはウエスタン・カンファレンス7位の9勝8敗(勝率52.9%)からさらに順位を上げていくことができるのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
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