【WBC】防御率0.00、打率5割に衝撃の140m弾 イタリア戦でも期待、大谷翔平が見せた圧巻パフォーマンスを振り返る

大谷翔平

3月8日に開幕したワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は各地で熱戦が繰り広げられ、盛り上がりの様相を見せている。栗山英樹監督率いる日本代表は中国戦を皮切りに、4戦4勝と前評判通りの強さを見せつけてプールBを首位通過した。ここまでの侍ジャパンのなかで圧倒的な存在感を発揮しているのが大谷翔平。自身初のWBC出場となった28歳は、2021年メジャーリーグMVPの実力をいかんなく発揮。投げて打ってと「日本の顔」として縦横無尽の働きを見せている。ここでは、大谷のプールBでの活躍ぶりを振り返ってみたい。(文・井本佳孝)

二刀流として躍動した開幕戦

大谷翔平,野球
写真:大谷翔平(Photo by Diamond Images / Getty Images)

「3番DH・投手」
投手:4回49球1安打5奪三振無四球無失点
打者:4打数2安打2打点2四球

栗山監督に開幕投手として送り出された大谷は、「3番DH・投手」で先発出場した。投げては中国相手に格の違いを見せつけ、最速160キロのフォーシームに変化球を織り交ぜ翻弄。4回に2番のヤン・ジンに安打を許すまでは完全投球を続けるなど、4回を投げて5奪三振で無失点でマウンドを降りた。打っては4回に1死一、三塁のチャンスで左翼フェンス直撃の2点タイムリー2ベースを放ち追加点。“投打二刀流”として8ー1の勝利の立役者となった。

チャンスメイカーとしても機能

「3番DH」
打者:3打数2安打1打点2四球

韓国との一戦からは打者に専念。相手先発左腕のキム・グァンヒョン相手に序盤から手こずり先制も許す苦しい展開に。3回に故意四球で味方の逆転のお膳立てをした大谷は、5回にライトへの強烈な二塁打を放ち、満塁で迎えた6回の第4打席でもライトへのタイムリーでダメ押し点をもたらした。四球で歩かされるなかでも5番を打つ吉田正尚が結果を出すなど、チャンスメイカーとしても機能した。

チェコ共和国相手に足でも魅せた

打者:3打数1安打1打点1四球1盗塁

チェコ共和国先発オンジェイ・サトリアの120キロ台の直球と変化球を前に三振を喫するなど序盤は苦しめられた。しかし、近藤健介を二塁においた4回の第3打席でライトへのタイムリー2塁打を放ち6点目をもたらした。さらに、俊足を活かして三盗を成功させると、吉田の犠牲フライで7点目のホームを踏んだ。投げてよし、打ってよしの大谷だが、この日は足でも存在感を見せ、日本のファンに改めてそのアスリート能力の高さを見せつけた。

4試合目に飛び出した衝撃の看板直撃弾

「3番DH」
打者:2打数1安打1本塁打3打点2四球

4試合連続3番で先発した大谷だが、誰もが待ち望んだ待望の瞬間が初回の第1打席に訪れた。ラーズ・ヌートバー、近藤が塁に出た一、二塁の場面で相手先発シェリフの2球目のカーブをフルスイング。およそ140メートルの打球は東京ドームの自身の広告看板を直撃する衝撃の先制3ランとなった。試合後には「いい景色だった」「子供の頃からの夢だった」と語ったWBC自身初本塁打は日本だけでなく世界中のファンの目に刻まれたはずだ。

準決勝ラウンドかけてイタリア戦登板濃厚

大谷はプールBの戦いにおいて投手としては1試合に先発し防御率0.00で1勝、野手としては4試合で12打数6安打で打率は.500、1本塁打8打点と圧巻のスタッツを残している。四球を7つ数えるなど、日本の1番の要注意選手として各国からマークを受けた上でこの数字は驚異的。また、1番を打つヌートバー、2番の近藤とのトリオも機能性を見せ、大谷が歩かされても後ろを打つ吉田が返すなど、大谷を中心とした「打線」としてチームが総合的に機能していることも見逃せないだろう。

そんな大谷だが、16日に行われる準々決勝ラウンド・イタリア戦での二刀流先発が有力視されている。ロサンゼルス・エンゼルスの一員として30日に開幕するMLBのシーズン開幕投手を務めることから、逆算するとアメリカでの準決勝ラウンドに勝ち進んだとしても準決勝、決勝に登板することがスケジュール的に難しくなった。侍ジャパンとしても敗れればそこで敗退が決まるイタリア戦で大谷を登板させ、確実に準決勝ラウンドへの道を切り開きたいという栗山監督の考えとも合致するだろう。

現役メジャーリーガーとしてダルビッシュ有と並び今大会の日本の目玉としてWBCに参戦した大谷。ここまではグラウンド内、外において絶大な存在感を示し、侍ジャパンを力強く牽引してきた。3大会ぶりの世界一を目指す中で、まずは16日のイタリア戦の投球が自身のハイライトとなることが予想される。投球、打撃、走塁といずれもハイレベルなパフォーマンスを見せる日本史上最高のアスリート。大谷翔平が見せる一挙手一投足からは引き続き目が離せない。