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藤浪 晋太郎

【MLB】2桁勝利、打率3割も視界の千賀、吉田に先発ローテ剥奪の藤浪 “デビュー組”の序盤を振り返る

吉田正尚(ボストン・レッドソックス)

吉田正尚,野球
写真:吉田正尚(提供:写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

3・4月成績:22試合 打率.274 4本塁打 16打点

今季のメジャー移籍組では唯一3月のWBCに参戦した吉田は、大会打点王に輝く活躍で3大会ぶりの世界一奪還に貢献。シーズンを前に評価が高まると、侍ジャパンと同様にレッドソックスでも4番に指名され、大きな期待とともに開幕を迎えた。デビュー戦となった3月30日(同31日)のボルチモア・オリオールズ戦で2安打を放ち、開幕4試合目となった3日(同4日)のピッツバーグ・パイレーツ戦では左中間にそびえ立つ「グリーンモンスター」を越える衝撃の一発を放ち、上々の滑り出しを見せる。

ところが、メジャーのストライクゾーンへの適応に苦しむと、一時期は打率が1割台まで急降下し、これまで先輩日本人メジャーリーガーたちが苦しんできたルーキーイヤーの壁にぶつかったかに見えた。しかし、日本で首位打者2回の実績を誇り、国内最高クラスのバットマンとして海を渡った吉田はここから適応を見せる。4月終盤にかけては9試合連続安打で打率を急上昇させ、23日(同24日)のミルウォーキー・ブルワーズ戦の8回に1イニングに2号ソロ、3号満塁弾の離れ業で逆転劇に貢献。打順も上位の2番で起用され始めており、ポジティブな形で5月に突入した。

吉田がオリックス・バファローズや侍ジャパンで見せたような安定した活躍がメジャーでも見せられれば日本人野手としてはオリックスの先輩イチロー氏(当時シアトル・マリナーズ)以来のデビューイヤーでの打率3割越えも期待できる。懸念されるのがWBCから蓄積していく疲労面で、162試合に渡る長丁場が続くメジャーの日程をこなしていけるかどうか。千賀と同じく悪くないスタートを切っただけに、後は健康体で1年を過ごせるかがポイントとなる。

藤浪は速球で活路を見出せるか

強打のメッツ打線と“お化けフォーク”を武器にいきなり無傷の3勝を飾り、前評判通りのスタートを見せた千賀と、“WBC打点王”のタイトルを手土産に参戦し、壁にぶつかりながら適応力を見せ始めた吉田。一方の藤浪は期待とともに先発ローテに指名されたものの、懸念された不安定さを露呈し、それぞれ日本での実績が反映された序盤戦の成績となっている。

しかし、まだシーズンは始まったばかりで5月からそれぞれの流れが変わっていく可能性は十分にある。千賀や吉田は先発ローテや主軸としてメッツ、レッドソックスを勝利に導く活躍が期待され、藤浪は一度下がった信用を心機一転し、中継ぎとして最速160キロ超えのスピードボールを活かし結果を出したい。三者三様、それぞれの船出を切った3人のサムライたちの挑戦は始まったばかりだ。

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