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【センバツ4日目投打のMVP】多彩な球種で翻弄した星稜マーガード! 強打のショートとして注目したくなる天理の戸井の打撃

星稜を勝利に導く、堂々たるマウンドさばきを見せたマーガード。身体のスケールの大きさも魅力のひとつとなった。写真:滝川敏之
3月19日に開幕した選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手も多い今大会のなかでも、見事な活躍を見せた投手、野手を、毎日その日のMVPとして選出する。大会第4日目は以下の選手となった。

■投手MVP
マーガード真偉輝キアン(星稜3年):7回0/3、被安打3、2失点(自責点0)、8奪三振、2四球

8回途中に同点に追いつかれたところで降板となったが、天理の強力打線を相手に見事なピッチングを見せた。とくに素晴らしかったのが変化球。ストレートは立ち上がりに少しばらついたものの、要所ではスライダーでしっかりとカウントを取れ、大崩れはしなかった。

カットボール、フォーク、ツーシームと決め球となるボールを多彩に操れるというのが大きな長所。どのボールもストレートと変わらない軌道から打者の手元で鋭く変化するため、見極めるのは難しい。走者を背負った場面でも制球を乱すことがなく、三振でピンチを切り抜けた点も見事だった。

ストレートは130キロ台中盤がアベレージでまだまだという印象だが、体格的なスケールはあるだけに、今後スピードが出てくれば、上のレベルで勝負できる可能性も十分にあるだろう。
■野手MVP
戸井零士(天理3年/3番・遊撃手):5打席(3打数)1安打、2四球

チームは敗れ、自身も長打はツーベース1本に終わったが、打撃の内容の良さから選出した。第1打席はマーガードの変化球に空振り三振に倒れたものの、追い込まれてからも厳しいコースをしっかり振り切り、少しでも甘く入れば、長打になりそうな雰囲気は十分だった。その印象通り、第2打席では外角のストレートを完璧に弾き返してセンターへのツーベースをマークした。

そして素晴らしかったのが1点ビハインドで迎えた延長11回裏、二死二塁の場面だ。自分で決めようという気持ちが出ると見越した星稜バッテリーの変化球による誘い球をしっかりと見極めて四球を選び、続く内藤大翔の同点タイムリーヒットを呼び込んだ。

無駄な動きがなく、タイミングのとり方に余裕があり、振り出しの鋭さも目立つ。またそういった技術的な良さに加えて甲子園という大舞台の緊迫した場面でも気負うことなく冷静にボールを見られる点も素晴らしかった。守備面ではスローイングにもう少し強さが欲しいところだが、今後も強打のショートとして注目したい選手である。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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