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【センバツ開幕日の投打MVP】九州国際大付のエース左腕・香西が4回以降パーフェクト。二刀流で浦和学院を引っ張る金田は打撃で魅せた!

九州国際大付の香西(左)が巧みなピッチングを披露。二刀流で注目される浦和学院の金田(右)は打撃で見せ場を作った。写真:滝川敏之
雨で1日遅れの3月19日に開幕した選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手も多いが、そのなかでも見事な活躍を見せた投手、野手を毎日その日のMVPとして選出する。大会第1日目は以下の選手となった。

■投手MVP
香西一希(九州国際大付3年):10回、被安打4、2失点(自責点2)、3奪三振、0四死球

結果だけ見れば第1試合で13奪三振完封勝利をあげた宮城誇南(浦和学院3年)が目立つが、内容的には香西が上回ったと判断した。3回までに2点を失ったものの、4回以降はパーフェクトピッチング。延長10回をわずか103球で完投して見せた。

ストレートの最速は132キロで、ほとんどが120キロ台前半というスピードながら、100キロ台のカーブとチェンジアップを巧みに操るピッチングは“老獪”という表現がピッタリ当てはまる。遅いボールでも打たれないあたりに、しっかり腕を振ったフォームのぶれなさを見た。

捕手から返球を受けてすぐにモーションに入るテンポの良さと、走者がいなくてもクイック気味に投げるなどの工夫も見られた。速いボール以上に相手打線は対策の難しい投手と言えるだろう。
■野手MVP
金田優太(浦和学院3年・3番・遊撃手):4打席4打数3安打1打点

4回に先制の口火を切るセンター前ヒット、5回には貴重な追加点となるタイムリーツーベースを放つなど3安打の大活躍でチームの勝利に大きく貢献した。

少し猫背気味の構えだが、タイミングをとる動きが小さく、ボールをしっかり呼び込んでセンター中心に打ち返すことができる。後ろが小さく前が大きいスイングの軌道で、振り出しの鋭さとインパクトの強さも申し分ない。他の打者が角度のあるボールに苦しむなかでも、一人だけ安定したミート力を見せつけた。

ショートの守備は捕球、スローイングとも少し不安定な面もあったが、地肩の強さは申し分なく、落ち着きも目立った。この日は登板がなかったものの、投手としても140キロを超えるスピードを誇るだけに、次戦ではそのピッチングにも注目したい。

文●西尾典文

【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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