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センバツ注目カード5選!クラーク国際と九州国際の“再戦”、神宮王者・大阪桐蔭も難敵を迎え撃つ

センバツの1回戦カードが決定!神宮王者の大阪桐蔭(右)は難敵・鳴門と対戦。花巻東の怪物・佐々木(左)は市和歌山のエースを打ち崩せるか。写真:滝川敏之
3月18日に開幕する第94回選抜高校野球大会。4日に組合せ抽選会が行なわれ、初戦のカードが決定したが、その中から特に激戦が予想される注目の5試合をピックアップし、見どころを紹介したいと思う。

●第1日第3試合:クラーク国際(北海道)vs九州国際大付(福岡)

神宮大会に続いて、北海道王者のクラーク国際と九州王者の九州国際大付が相まみえる。神宮大会では九州国際大付が序盤にリードを奪って快勝したが、センバツでも同様の展開になるとは限らないだろう。キーマンとなるのがクラーク国際の右腕・辻田旭輝だ。

秋は右手中指の怪我からの回復途上でありながら140キロ以上を計測していたことを考えると、この春はさらに球威が増している可能性が高い。九州国際大付の黒田義信、野田海人、佐倉侠史朗などプロ注目の強打者が揃うが、春は投手が有利と言われるだけに、力で抑え込むことも十分に考えられる。地力は九州国際大付が上回ると見られるが、ロースコアの接戦となればクラーク国際にも十分勝機はあるだろう。
●第2日第1試合:広陵(広島)vs敦賀気比(福井)

こちらも秋の地区大会優勝校同士の対戦となった。神宮大会準優勝の広陵はエースの森山陽一郎以外にも力のある投手が揃い、打線も内海優太、真鍋慧の3番、4番を中心に強力で優勝候補の一角にも挙がっている。過去にも優勝3回、準優勝3回と選抜には滅法強いというのもプラス材料だ。一方の敦賀気比も昨年春、夏の甲子園を経験したメンバーが残り、秋の北信越大会でも4試合で34得点を誇った打線は出場校の中でも間違いなく上位である。

カギを握るのが敦賀気比のエース・上加世田頼希のピッチングだ。秋は明らかにストレートが走っておらず、神宮大会でも苦しい投球となったが、制球力は高いだけに本来の球威が戻れば広陵打線も打ち崩すのは簡単ではない。どちらが勝つにせよ、一方的な展開となることは考えづらい。

●第3日第1試合:山梨学院(山梨)vs木更津総合(千葉)

春は投手力と昔から言われているが、好投手同士の投げ合いという意味では、このカードがナンバーワンと言えるだろう。山梨学院の榎谷礼央は140キロ台のストレートをコーナーに集め、テンポ良く打たせてとるピッチングが持ち味。木更津総合の越井颯一郎も躍動感あふれるフォームでストレートはコンスタントに140キロを超え、秋の関東大会3試合で与四球0(与死球は2)と高い制球力も備えている。

両チームとも打線も決して弱くはないが、初戦の疲れのない状態でこの2人の投げ合いとなれば、簡単に失点することは考えづらく、ハイレベルな投手戦が予想される。それだけに一本の長打、または一つのミスが試合を左右することになりそうだ。
●第5日第1試合:花巻東(岩手)vs市和歌山(和歌山)

秋の東北大会を制した花巻東は強力打線が持ち味。新2年生ながらすでに高校通算50本塁打を放っている佐々木麟太郎に注目が集まる中、その後ろを打つ4番の田代旭もプロ注目の強打の捕手で、足が使える選手も多く多彩な攻撃をしかけることができる。佐々木は12月に胸郭出口症候群で両肩を手術した影響が気がかりだが、仮に万全の状態でないとしても、得点力の高さは大会でも屈指だろう。

一方の市和歌山はエースの米田天翼が最注目選手だ。上背はそれほどないものの、たくましい体格から投げ込むストレートは140キロ台中盤をマークし、変化球のレベルも高い。昨年は先輩の小園健太(DeNA1位)が前評判の高かった県岐阜商打線を抑え込んで完封勝利をマークしたが、その再現にも期待がかかる。
●第6日第1試合:鳴門(徳島)vs大阪桐蔭(大阪)

昨年の神宮大会を制し、優勝候補の筆頭と見られる大阪桐蔭だが、いきなり難敵との対戦となった。鳴門のエース富田遼弥は下級生の頃から評判のサウスポーで、秋の四国大会でも防御率0.82と見事なピッチングを見せている。ストレートは130キロ台後半と驚くほどの速さはないが、緩急の使い方が上手く、変化球の制球も安定している。大阪桐蔭は松尾汐恩、海老根優大など力のある打者が揃うが、長打が続くことは考えづらいだけに、手堅い攻撃が必要になりそうだ。

もうひとつ注目なのが大阪桐蔭の投手陣。秋は下級生の前田悠伍が大活躍を見せたが、体力面には不安が残るだけに継投も考えられる。先発を誰に託すのか、どのタイミングで継投するのかが勝負の大きなポイントとなるだろう。

文●西尾典文

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【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。

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