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フランコ、ミッチェル、マック…ストライキの影響で大物メジャーリーガーが続々来日した95年。今年も同じことが起きる?<SLUGGER>

95年は元首位打者のフランコ(左)や89年MVPのミッチェル(右)ら、通常では考えられないような大物が大挙来日。今季もその再現はあるのか?(C)Getty Images
MLBはまだロックアウトが解決せず、開幕延期の可能性が高くなっている。もし労使交渉の影響で開幕が延期されたとすれば、1995年以来の事態。実はこの年は、なかなか決まらない開幕に業を煮やし、大物メジャーリーガーの働き場を求めて来日した。
【動画】まさにメジャー級のパワー。ミッチェルが89年プレーオフで場外弾!

なかでも最大のビッグネームが、元MVPのケビン・ミッチェル(ダイエー)だ。89年、ジャイアンツで47本塁打&125打点を記録して二冠王を獲得し、チームをリーグ優勝へ導いてナ・リーグMVPを受賞した大砲は、来日前年にも95試合で30発を量産。西武との開幕戦に4番レフトで先発出場すると、初回の初打席でレフトスタンドに満塁弾を放つ衝撃デビューを飾ってホークスファンを狂喜乱舞させた。
だが、メジャー時代から数々のトラブルで悪名を馳せていたミッチェルは、問題児ぶりも桁外れだった。仮病で欠場しまくった挙句に、2度も無断帰国。球団も見切りをつけ、37試合に出場した時点で解雇したが、退団後に4億5000万円の年俸を全額支払うようミッチェルから訴訟を起こされるなど散々だった。

そのミッチェルと並ぶ超大物が、ロッテが獲得したフリオ・フランコだ。バットを高く掲げて先端を投手に向ける、“スコーピオン打法”と呼ばれる個性的な打撃フォームが特徴のコンタクトヒッターで、レンジャーズ時代の91年には打率.341で首位打者を獲得。来日前年には自己最多20本塁打を放ってシルバースラッガー賞を受賞していた。恩師のボビー・バレンタインがこの年、ロッテの監督になったことが縁となっての入団だった。

すでに36歳だったが打撃技術に衰えはなく、日本でもリーグ3位の打率.306、ベストナイン&ゴールデン・グラブを受賞。徹底した自己管理など、プレー以外の面でもチームメイトに大きな影響を与えた。この年限りで一度は退団したものの、98年にもロッテでプレーし、この時もベストナインになっている。メジャー復帰後も48歳まで現役を続け、史上最年長本塁打記録も保有している。
バレンタインの伝手で入団した大物メジャーリーガーはもう一人いた。MLB通算183本塁打のピート・インカビリアだ。オクラホマ州大時代に年間48本塁打&143打点のリーグ記録を樹立。86年にはマイナーを飛び越え、レンジャーズでいきなりメジャーデビュー、1年目から30本塁打を放った超エリートだった。だが、日本では環境の違いになじめず打率1割台と低迷し、ミッチェルとは違う意味で期待を裏切った。

巨人は4億の高額年俸でシェーン・マックを獲得した。走攻守三拍子そろった総合力の高さが魅力の外野手で、来日前年には81試合で15本塁打、OPS.966を記録。当時まだ30歳の若さで、ストライキがなければ絶対に日本には来ないような大物だった。巨人には2年間在籍し、両年とも規定打席に到達して20本塁打をクリア。97年にはメジャーに復帰すると60試合ながら打率.315をマークするなど、実力の高さを改めて証明した。
当時は巨人と並ぶ大物志向だった西武は、ホワイトソックスのレギュラーだったダリン・ジャクソンを獲得。こちらは強肩強打が持ち味の右翼手で、パドレス時代の91年に21本塁打、翌92年にはリーグ最多の18捕殺。来日前年には自身初の打率3割をクリアしていた。日本でも95年に20本塁打&10捕殺と持ち味を遺憾なく発揮し、俊足も生かして1番打者も務めた。

今オフはすでにフレディ・ガルビスやタイラー・チャットウッド(ともにソフトバンク)、グレゴリー・ポランコ(巨人)ら、すでに来日が決まっている大物助っ人も複数いる。だが、アメリカでは現時点で実に300人以上の選手がフリーエージェントの状態で放置され、所属球団が決まらないまま。ロックアウトが妥結した後、日本に働き口を求め、さらなる大物が今後来日してくる可能性は十分ある。その意味で、日本のファンにとってはむしろ「ロックアウト後」が要注目かもしれない。

構成●SLUGGER編集部

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