
【プロ野球10代選手歴代ベストナイン】投手は新人王9人がひしめく激戦区。三塁は村上と中西ならどちらを選ぶ?<SLUGGER>
昨季は宮城大弥(オリックス)や佐々木朗希(ロッテ)など、「10代」の選手の活躍が目立ったが、本来プロ野球で20歳未満の選手が活躍するのは至難の業。ここでは、80年以上のプロ野球史でも稀な、10代から活躍した選手のベストナインを選定した。※年齢はシーズン終了時の満年齢
■投手 松坂大輔(19歳/1999年/西武)
24登板 16勝5敗 180.0回 151奪三振 防御率2.60
歴代で高卒1年目に新人王を獲得した投手は実に9人もいて、選出は大変難航した。その中には26勝/275奪三振/防御率1.58で投手三冠を獲得した宅和本司(54年/南海)や、21勝&防御率1.09という驚異の成績を残した稲尾和久(56年/西鉄)といった化け物クラスの選手もいる。
だが、その大半は2リーグ分裂直後の50~60年代に集中している。つまり当時は高校を卒業したばかりの選手と他のプロ選手の間には、それほど実力に大きな差がなかったことになる。逆に過去30年間では、松坂と田中将大(楽天)しかいない。難易度で言えば後者の方が上と判断し、2人のうち1年目からいきなり最多勝を獲得するなど、エース級の活躍を見せた松坂を選んだ。
■捕手 香川伸行(18歳/1980年/南海)
50試合 37安打8本塁打 25打点 打率.282/OPS.834
捕手は香川の他、14年に41試合で6本塁打、OPS.945と1年目から強打の捕手ぶりを発揮した森友哉(西武)が候補になった。だが、森はこの年わずか24試合しかマスクをかぶっていない。一方の香川は46試合に捕手として出場し、盗塁阻止率も30%超え。打撃成績にもそれほど差はないと判断し、香川をベストナインに選んだ。
■一塁手 清原和博(19歳/1986年/西武)
126試合 123安打31本塁打 78打点 打率.304/OPS.976
一塁は投手並みに難航したポジションだ。なぜなら清原だけでなく、146安打や87四球、出塁率.414で高卒新人記録を持つ榎本喜八(55年/毎日)もいたからだ。どちらも10代とは思えない卓越した打撃技術を有していたが、ここは3割30本をクリアした清原をチョイスした。
■二塁手 仰木彬(19歳/1954年/西鉄)
101試合 54安打5本塁打 26打点 15盗塁 打率.216/OPS.653
内野手は豪華な陣容だが、二塁には候補者が少ない。仰木の他は133試合で打率.242、1本塁打の須藤豊(56年/毎日)くらい。キャリア中盤は二塁手だった立浪和義も10代の頃は遊撃しか守ったことがなく、候補にはならなかった。
■三塁手 村上宗隆(19歳/2019年/ヤクルト)
143試合 118安打36本塁打 96打点 打率.231/OPS.814
新人王を獲得した中西太(52年/西鉄)の本格開花は20歳になった2年目から。1年目は打率.281、12本塁打とまだまだで、10代ベストナインには村上の方がふさわしいだろう。
■遊撃手 豊田泰光(18歳/1953年/西鉄)
134試合 113安打27本塁打 59打点 打率.281/OPS.874
二塁で言及したように立浪も候補だったが、こちらは守備や走塁技術の評価が高かった一方、打率.223と打撃はイマイチ。逆に豊田は45失策を犯すなど守備は落第だったが、27本塁打の新人記録(当時)を樹立するなど、とにかく打撃ではずば抜けていた。
■外野手 張本勲(19歳/1959年/東映)
125試合 115安打13本塁打 57打点 10盗塁 打率.275/OPS.765
■外野手 松井秀喜(19歳/1993年/巨人)
57試合 41安打11本塁打 27打点 打率.223/OPS.747
■外野手 並木輝男(18歳/1957年/阪神)
98試合 75安打8本塁打 32打点 12盗塁 打率.250/OPS.700
高卒1年目野手の新人王は6人いるが、そのうち外野手は張本ただ一人。その張本はまず確定として、2人目に選んだのは松井だ。後年の活躍を考えるといかにも数字が物足りなく見えるが、実は11本塁打はセ・リーグの高卒新人記録。他には2ケタ本塁打達成者すらいないことを考えれば、やはりゴジラはルーキーイヤーから凄かったのだ。
3人目は現在エンジェルスで大活躍中の大谷翔平(13年/日本ハム)と迷ったが、並木を選んだ。並木はセ・リーグ史上初の高卒新人開幕スタメンを勝ち取った男で、8本塁打も松井の前のリーグ高卒新人記録。また、強肩を生かした守備や俊足も魅力だった。
文●筒居一孝(SLUGGER編集部)
Follow @ssn_supersports