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「8年前の再現」へ。“崖っぷち”・秋山翔吾が取り組む「3つのイメチェン」

今季契約最終年を迎える秋山。「チーム秋山」でのぞかせた、反攻を期すための“チェンジ”とは? 写真:岩国誠
シンシナティ・レッズの秋山翔吾が1月14日、静岡県下田市で行っている自主トレを公開した。2018年から数えて5年目を数える「チーム秋山」の下田自主トレ。今年はソフトバンク・上林誠治、阪神・板山祐太郎、ライオンズレディース・山﨑まり、BC群馬の新山進也&茂木丈汰、アメイジング・笹川萌が参加。ランニング、ノック、打撃練習など約4時間、みっちり汗を流した。

「この2年でダメだったというのは、見ていれば分かること。こういう選手だというイメージを、チームの人が持っていると思うので、それをひっくり返していかないといけない。半端なシーズンじゃないと思っています」

メジャー2年目を迎えた昨季は、2度の故障もあって出場は88試合にとどまり、打率.204、本塁打は2年連続でゼロ。持ち味の外野守備では時折ファインプレーを見せていたものの、日本が誇る安打製造機は打撃で存在感を示すことはできなかった。

勝負の3年目、秋山はこれまでのイメージを払拭するため、今季目指すのは『強い打球を遠くへ飛ばすバッティング』。そのために、これまで自らの打撃を支えてきたものを大きく変えることを決断し、今回の下田自主トレでは、その道を模索している。

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まずはバット。プロ入り直後から使ってきた「バットの芯から根本に近い部分に重心にあるタイプ」から、強い打球を遠くへ飛ばすために「バットの先端近くに重心があるタイプ」へモデルチェンジ。遠心力が働くことにより、バットのヘッドが利く代わりに、今までのバットより操作が難しくなるが、操りきることができれば、強い打球を飛ばすことができる代物だ。

「これまではバットの形状は常に同じで、身体のコンディション、相手ピッチャーによって、自分が準備して対応するという形でやってきました。それで結果が出なかったことがすべてでした」

アドバイザリー契約を結んでいるSSK社の担当者によると、新たなパートナー探しは昨年オフから始まった。帰国後、同社にあった40種類ほどのモデルを1本づつ素振りし、感触を確かめ3本を選択。そして現在は、さらに2種類まで絞り込んだ。

「ある意味、2年続けて同じ失敗をしてしまったわけで、3回目もやってしまうわけにはいかない。そういう意味では変えなきゃいけないところまできた。もっと早い段階で気づけたらよかったのですが、シーズン中に変えるという判断にはならなかったんです。

やはり自分がいいと思うまで、ちゃんと練習して、自分に馴染ませて、シーズンに持っていける期間が欲しかった。今より悪くなる可能性もありますが、いい結果につながるように、練習していくしかないと思っています」 次は打席でのステップ。打ちにいく時に踏み出す右足の幅を昨年より狭め、より力強く踏み出す意識で、ティー打撃やマシン打撃を行っている。ステップ幅を狭くすることで身体の回転力が増し、スウィングスピードも上がることを期待している

「ボールを力強く叩くことに特化して考えた時、ステップ幅を狭めてみるのが良いと思ってやっています。いかに強い衝撃をボールに与えられるのか。そのスイッチが右足の動きだと今は考えているので、この形になっています。足の上げ方を変えたことで、今までも若干変わったことはありましたが、ここまで極端に変えたことは今までなかったです」

そして体重増。これまではパフォーマンスへの影響を考慮し、体型をあえて変化させてこなかった。しかし、強い打球を遠くへ飛ばすパワーを生み出すため、初めて増量を決断。特定の部位を大きくするのではなく、身体全体の筋肉量を増やし、現在は2~3キロほど体重を増やした。

「お尻や太ももなど、見た目からして変わったなと思われる場所には(筋肉が)ついて欲しいというのはありますが、ただ大きくなればいいというものではない。身体が大きくなっても、スウィングスピードが落ちてしまうなら絞った方がいい。自分は今まで、体重を増やすことはしてこなかったので、結果として強い打球が出るようになればいいと思っています」
思えばプロ入り4年目の2014年オフ、「今のままではこの先がない」と大きく打撃を見つめ直し、長打を捨ててヒット狙いの打撃フォームを模索。そして15年のシーズン最多安打記録更新へとつながった。

「あの時の状況に近いんじゃないですかね。(当時は)レギュラーを取れなかったら、結果が出なかったら、『この先、野球ができなくなる』と思いましたから。あれから8年経ちましたけど、そういうところまできているなっていう感覚はありますから、変化をしていくのは、必然的なタイミングなのかなと思います」

日本屈指の安打製造機が、メジャー生き残りをかけて挑む『3つのイメージチェンジ』。秋山翔吾の新たなチャレンジが信じる未来へつながることを期待したい。

取材・文●岩国誠

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