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歴史の幕開けの瞬間、NYファンを黙らせた一発――大谷翔平が魅せた2021年「ベストゲーム」7選 <SLUGGER>

今季生まれた大谷の数々の名場面。厳選した7つの試合を振り返る。(C)Getty Images
球史に残る大活躍を見せ、世界を席巻した大谷翔平(エンジェルス)。今季は数々の名場面を作ってきたが、編集部が絞りに絞って「7つ」の試合を選定した。

☆リアル二刀流”初お披露目で161キロ&特大ホームラン
(4月4日/ホワイトソックス戦)

歴史の幕開けとなったのは間違いなくこの試合だ。メジャー移籍後初となる投打同時出場=リアル二刀流として「2番・投手」で出場すると、まずは投手として初回から100マイルを連発。その裏の打席では、初球を完璧に捉えて打った瞬間それと分かる先制弾を叩き込み、テレビ解説を務めていた大打者のアレックス・ロドリゲスも激賞していた。1年を終え、大谷自身も一番印象に残った試合として選出している。

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☆大谷が「最も価値ある本塁打」と認めた9回2死からの逆転2ラン
(5月16日/レッドソックス戦) 

大谷自ら「メジャーに来てから最も価値あるホームラン」と振り返る一発だった。4対5で迎えた9回表、2死からマイク・トラウトが出塁した直後の初球、大谷が振り抜いた打球はフェンウェイ・パークの右翼ポール、通称“ペスキー・ポール”を巻いての逆転2ランとなった。打たれた相手守護神のマット・バーンズが「最も身体的な才能に優れた選手」「今後も長くキャリアを続けてほしい」と称賛したコメントも、この本塁打を彩るものだった。

☆ニューヨーカーのブーイングをかき消す先制アーチ
(6月28日/ヤンキース戦) 

開幕から衝撃的なパフォーマンスを残してきた大谷は、誰もが認める球界屈指のスターになっていた。アメリカの地元紙は通常、地元球団以外の選手をトップニュースで扱うことはないのだが、大谷がニューヨーク遠征に来る直前、『ニューヨーク・タイムズ』紙はスポーツ欄の1面見開きで取り扱うほどの盛り上がりだった。

もっとも、手厳しいヤンキースファンは大谷だろうが関係ない。相手の中心選手に容赦ないブーイングを浴びせる彼らは、6月28日から始まったヤンキー・スタジアムでのエンジェルス戦で球界最高のスター相手に地鳴りのようや盛大な罵声を食らわせた。

しかし、天下の偉才は第1打席で罵声をかき消す完璧な本塁打を右翼席に運んでみせた。さらに翌日には2打席連発弾。気づけば、大谷へ拍手を送るヤンキースファンも出るほどだった。

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(7月2日/オリオールズ戦) 

今シーズンの大谷で「最も絵になるシーン?」と考えたら、この試合のガッツポーズと答える人も多いだろう。7対7で迎えた同点の9回、四球で出塁した大谷は度重なる牽制にもめげず盗塁を決めると、後続のライト前ヒットで快足を飛ばし、二塁から一気に生還。仰向けに寝転んだまま両手を天に掲げて喜びを表現した。この試合の前には6月の月間MVP受賞が発表され、29・30号の2打席連発も記録。持っている男がその真価をフルに発揮した試合だろう。

☆史上初、いや唯一? 伝統のオールスターで投打両部門で出場
(7月14日) 

前半戦だけで日本人選手歴代最多33本塁打、投げても4勝・防御率3.49の成績を残し、DH部門はファン投票1位でオールスターに選出。さらに、選手間投票で投手としても球宴に選ばれ、史上初となる投打両部門での栄誉を手にした。この快挙に、MLB機構は降板した後もDHとして出場できる特例を採用。長き伝統を誇る一大イベントのルールすらも変えてみせた。

日本人初の出場となったホームラン・ダービーでは1回戦敗退、本戦2打席とも無安打、投げても勝利投手にこそなったが奪三振ゼロ。しかし、ドジャースの主砲マックス・マンシーは次のように語った。

「クアーズ・フィールドはプレーするのが簡単な場所ではないんだ。昨日のダービーで疲れていたはずなのに、大谷は今日もプレーした。ピッチャーとしても1イニングを投げた。本当にすごいことだよ」

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☆8勝+40号! 二刀流の真髄が詰まったゲーム
(8月18日/タイガース戦)

今シーズン、大谷は計20回“リアル二刀流”として出場した。その中で、4月4日のホワイトソックス戦と並んで鮮烈だったのが8月18日のタイガース戦だ。前半戦はバッティング、後半戦はピッチングが目立つことが多く、この試合も7回までは3打席無安打の一方、投げてはソロ一発の1失点のみに抑えていた。2対1で迎えた8回表、どうしても追加点が欲しい場面で、投手・大谷を援護したのが打者・大谷だった。

甘いスライダーを一閃した打球は打った瞬間それと分かる40号。打球をキャッチしたタイガースファンの男の子も興奮する一打を放ち、その裏も無失点に抑えて8勝目をゲットした。投手・大谷と打者・大谷の共演が完璧にマリアージュした試合だった。

☆思わず悔しさも…103年ぶりの2ケタ本塁打&2ケタ勝利を逃して思わず
(9月26日/マリナーズ戦) 

常に楽しそうにプレーする大谷の野球小僧ぶりも、ファンの心をつかんではなさない魅力だ。それだけに、珍しく悔しさを露わにしたこの試合は忘れがたい。9月3日に9勝目を挙げ、ルース以来103年ぶりの2ケタ勝利&2ケタ本塁打に王手をかけていた大谷だが、その後2試合連続で未勝利。この日は味方が1点を先制し、自身も6回まで無失点ピッチングで勝利も目前に思われた。しかし7回、1死から同点本塁打を許すと、その裏の攻撃も無得点に終わり、10勝目は幻となった。

7回裏の攻撃が自分の打順のすぐ前で終わると、大谷はバットを叩きつけた。「7回をゼロで抑えたかった。若干、球数が多かったので、そこも抑えて、全体的に考えて8回無失点で乗り切る内容ではあったと思うので。勝てなかったのもそうですし、最後に追いつかれるのも自分の責任かなと思います」とは大谷の弁。直後にシーズン最終戦での登板回避も決まり、快挙達成は来季へと持ち越しとなった、

構成●SLUGGER編集部

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