小さな村から掴んだ成功!ロッテが獲得した167キロ助っ人の気になる生い立ち「ボロボロになった靴を履いて」
興味深い助っ人が日本球界へやってきた。12月18日に千葉ロッテが獲得を発表したタイロン・ゲレーロだ。
現在30歳のゲレーロは、メジャーでの経験も豊富な右腕だ。2016年にサンディエゴ・パドレス、18年からの2年間はマイアミ・マーリンズに所属して通算113試合に登板。19年には、100マイル(約160キロ)以上のボールを投げ込んだ回数がアーロン・ヒックス(現セントルイス・カーディナルス)に次ぐMLB2位の178回を数えるなど、米球界での屈指のハードボーラーとして注目を集めた。
今回のロッテ入団に際して、「マリーンズが優勝する為に全力でプレーします」と意気込みを口にしているゲレーロ。最速104マイル(約167.3キロ)を投げる彼の生い立ちを振り返ると、ますます注目せずにはいられなくなる。というのも、彼はコロンビアのティエラボンバ島にあるボカチカという小さな村の出身なのだ。
2018年に米スポーツ専門局『ESPN』がクローズアップした特集によれば、若き日のゲレーロは、両親をはじめとする家族を養うために、息をのむような暑さと酷い時には膝まで浸水するという古い家に住みながら、「船で本島にある野球チームの練習に毎日参加しに行っていた」という。
ただ、生まれ持った爆発的な身体能力によって、彼は瞬く間に成長する。203センチという巨躯が目立ったというのもあり、18歳だった2009年に、原石を探していたパドレスの国際スカウトの目に留まったのである。この当時の様子を『ESPN』は、次のようにレポートしている。
「ゲレーロは小さくさびれた船で毎日、野球チームの練習に参加していた。この時の彼はボロボロになった靴を履いて、ヘビが植物をかき分ける音も聞こえるような道を歩きながら、それが成功への道だと信じてやまなかった。そして彼はパドレスでMLBへの扉を開いた。そこで丁寧な指導を受けたゲレーロは投げ方が大幅に改善され、スピードが段違いに向上した」
コロンビアの小さな島からスターダムを駆け上がってきた。そんなゲレーロだが、ここ2年は制球難を克服しきれずにMLBでの登板がなくマイナーでの活躍にとどまっている。ゆえにロッテも小さくないリスクは背負うだろう。
しかし、それでも今季の3Aで奪三振率11.84を残したポテンシャルと困窮した環境からのし上がってきたハングリー精神には期待せずにはいられない。「美しい文化に触れられることも非常に楽しみしている」というゲレーロが、日本球界でサクセスを掴めるかに注目だ。
構成●THE DIGEST編集部
【動画】球場を騒然とさせたゲレーロが投げ込んだ104マイルシーンをチェック
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