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いち選手がNPBの平均年俸より高い金を手に⁉ 興味深いMLBポストシーズン分配金の仕組みを解説<SLUGGER>

世界一を決めて喜ぶブレーブスナイン。勝利の栄光もさることながら、“ボーナス”を得られるのもうれしい?(C)Getty Images
 MLB機構は現地12月10日、2021年ポストシーズンの分配金が総額9047万ドルだったと発表した。9000万ドルの大台を超えるのは史上初めてで、10年前の2011年(約5730万ドル)に比べて4000万ドル近くもアップした。

 プレーオフに進出したチームの選手が、収益の一部を配当として受け取るのが分配金だ。具体的には、各ステージで以下に相当する金額がプールされ、選手たちに配分される。

ワイルドカード・ゲーム:総入場料収入の50%
地区シリーズ:最初の3試合の総入場料収入の60%
リーグ優勝決定シリーズ:最初の4試合の総入場料収入の60%
ワールドシリーズ:最初の4試合の総入場料収入の60%

 勝ち進むほど分配される金額が多くなり、世界一となったブレーブスはトータルで3257万ドルを得ている。選手一人あたり約39.7万ドルで、これは史上3番目に多い金額。日本円にするとおよそ4512万円で、NPBの平均年俸にほぼ等しい額だ。

 一方、ワールドシリーズで敗れたアストロズには約2171万ドル、残りの8球団には以下の額が割り当てられた。
 レッドソックス、ドジャース(リーグ優勝決定シリーズ敗退):約1086万ドル
ホワイトソックス、ブルワーズ、ジャイアンツ、レイズ(地区シリーズ敗退):約294万ドルヤンキース、カーディナルス(ワイルドカード・ゲーム敗退):約136万ドル

 配当金をどのように分配するかは、チームによってまちまちだ。選手たちの投票によって決定されるため、クラブハウスの職員にも配られるケースもあれば、シーズン途中に他のチームへ移籍した選手に与えられるケースもある。04年に86年ぶりの世界一を果たしたレッドソックスは、シーズン中にカブスへトレードされたスター遊撃手のノマー・ガルシアパーラにも、配当金の75%にあたる16万7000ドルを支払った。

 ちなみに、日本シリーズにも分配金が存在する。第4戦までの入場料収入から経費などを差し引いた額の28%がそれに当たり、このうち勝利チームが6割、敗れたチームが4割を得る。日本一になっても、選手一人当たりおよそ300万円というところ。それを考えれば、MLBのプレーオフ配当金がいかに巨額かが分かるだろう。

 なお、現在行なわれているMLBの労使交渉では、プレーオフ枠の拡大も争点の一つ。オーナー側は14チーム、選手会側は12チームと双方の主張に違いはあるが、現行の10球団から増えることはほぼ確実。配当金総額の増加も予想される。

構成●SLUGGER編集部
 

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