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【セ・リーグ6球団通信簿】20年ぶりヤクルトはもちろん最高評価。2位阪神、V3逸の巨人は?<SLUGGER>

20年ぶりの日本一を達成したヤクルトは投手陣の頑張りが目立った。写真:塚本凛平(THE DIGEST写真部)
 ヤクルトの5年ぶりの優勝で幕を閉じた2021年のセ・リーグ。開幕前の戦力予想や実際の戦いぶりを踏まえて、全6球団の今季を通信簿形式で査定していこう。

※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです

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▼ヤクルト
73勝52敗18分 勝率.584(1位)
評価:よくできました(A)

 6年ぶりのリーグ優勝、そして20年ぶりの日本一。投手陣は11人が先発するなどローテーションを固定できず、規定投球回到達も2ケタ勝利も不在ながら、1129奪三振はリーグ最多。防御率は最下位の4.61から3位の3.48へ大幅に改善された。50ホールドの新記録を樹立した清水昇をはじめ、ブルペンも以前とは見違えるような充実ぶりだった。

 打線も山田哲人、村上宗隆の両スーパースターはもちろん、塩見泰隆の成長などで厚みを増し、Bクラスの3球団相手に24もの貯金を作った。「絶対大丈夫」をスローガンに、前向きな空気を保ち続けた高津臣吾監督も文句なしの最高評価だ。
 ▼阪神
77勝56敗10分 勝率.579(2位)
評価:まずまずです(B)

 序盤から快調に首位を走り、交流戦終了時点で貯金20。新人本塁打記録を更新するペースで打ちまくった佐藤輝明、正遊撃手に定着し盗塁王も獲得した中野拓夢、投手では先発左腕の伊藤将司と新人トリオが大活躍した。ところが佐藤のバットが湿り始めるのと軌を一にするように、チームも下降線を描く。7~9月の3ヶ月は22勝26敗でヤクルトに抜かれ、最終盤での追い上げも届かなかった。

 ヤクルトに13勝8敗と勝ち越しながら、下位球団への取りこぼしが多かったのが痛かった。86失策はリーグ最悪、逆に104併殺は最少だった守備陣の強化も来季の課題になる。

▼巨人
61勝62敗20分 勝率.496(3位)
評価:がんばりましょう(D)

 最大8ゲームあった阪神との差を少しずつ縮め、8月末にはついに首位に立った。ところがここから悪夢のような2ヵ月が待っていた。9月末に5連敗、さらに10月には1引き分けを挟んで10連敗。かろうじてCSには進出したものの勝率5割すら下回り、中5日ローテーションを強行して投手陣を疲弊させた原辰徳監督への批判が噴出した。

 打線では岡本和真がタイトルを獲得するなど、169本塁打は1位でも552得点は4位。新外国人はアクシデントなどもあって軒並み期待外れ、カンフル剤として獲得した中田翔も逆効果で、何もかも上手く行かなかった。
 ▼広島
63勝68敗12分 勝率.481(4位)
評価:可もなく不可もなく(C)

 交流戦で3勝12敗の最下位だったのが響き、わずかにAクラスに届かなかったとはいえ、同一リーグとの対戦では巨人を上回る貯金4。後半戦は7つ勝ち越した。若い戦力の台頭が目立ち、ドラフト1位の栗林良吏が絶対的な抑えに君臨、2位の森浦大輔も中継ぎで好投。野手では坂倉将吾が首位打者争いに加わり、小園海斗も一本立ち、林晃汰もほぼレギュラーを手中とした。

 鈴木誠也のメジャー挑戦は大打撃ではあっても、FA資格を得た大瀬良大地と九里亜蓮は無事に残留。今季は珍しく外れだった外国人選手が機能すれば、来季は上位争いも見えてくる。

▼中日
55勝71敗17分 勝率.437(5位)
評価:がんばりましょう(D)

 与田剛監督の退任を招いた原因は、歴史的な低水準に落ち込んだ打撃陣にあった。いくら投手絶対有利の球場が本拠といっても、405得点は2番目に少ない阪神を136点も下回る情けなさ。高橋周平が大不振、根尾昂も伸び悩み、チーム本塁打69本は低反発球時代をも下回って、1958年以降では最少となった。 投手陣は逆に地の利を生かして、昨年4位にとどまっていた防御率は一気にトップへ。柳裕也が大野雄大に次ぐエースに成長し、小笠原慎之介も規定投球回に達した。ホーム勝率.550に対してロードは.333という極端な内弁慶の解消も、立浪和義新監督の課題になる。
▼DeNA
54勝73敗16分 勝率.425(6位)
評価:がんばりましょう(D)

 6年ぶりの最下位転落。三浦大輔新監督の下、新たなスタートを切るも、開幕から2引き分けを挟んで6連敗、その直後にも8連敗し4月だけで借金15。その後はほぼ5割ペースだっただけに、スタートダッシュの失敗が悔やまれる。

 もっとも、投手陣は防御率がリーグ唯一の4点台と振るわず、今永昇太の120イニングが最多。平良拳太郎が早々に離脱、ドラフト1位の入江大生も力不足で明らかに先発の駒が足りなかった。攻撃陣では牧秀悟が新人離れした活躍、桑原将志も久々の好成績を収めたが、ソトの不振が誤算で、投手力の弱さを補えるほどではなかった。

文●出野哲也

【著者プロフィール】
いでの・てつや。1970年生まれ。『スラッガー』で「ダークサイドMLB——“裏歴史の主人公たち”」を連載中。NBA専門誌『ダンクシュート』にも寄稿。著書に『プロ野球 埋もれたMVPを発掘する本』『メジャー・リーグ球団史』(いずれも言視舎)。

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