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“触ってないスライディング”がセーフに!? 首位攻防戦に水を差した判定に批判殺到!「めちゃくちゃひどい…」<2021百選>

またしても物議をかもす判定が試合を左右した。捕手のダーノウ(左)はビデオ判定に何を思う?(C)Getty Images
2021年のスポーツ界における印象的なシーンを『THE DIGEST』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、物議を醸したMLBの判定を取り上げる。本塁でのタッチプレーでブレーブス陣営はビデオ判定を要求したが……。

記事初掲載:2021年4月12日

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ひとつの判定が試合の勝敗を左右する。先日は、ストライクゾーンの球に“ヒジ出し”で死球をもぎ取り、サヨナラ押し出しという一件が大きくクロースアップされた。そして4月11日のメジャーリーグでも、物議をかもすジャッジが議論を呼んでいる。

アトランタ・ブレーブス対フィラデルフィア・フィリーズの一戦、ナショナル・リーグ東地区の首位争いを演じている両軍は序盤から一進一退の攻防が繰り広げた。そして6-6で迎えた9回、先行のフィリーズは先頭のアレク・ボームが二塁打で出塁すると、二ゴロの間に三塁へ。1死三塁の一打勝ち越しの場面で、7番のディーディー・グレゴリアスがは犠飛としては浅いフライをレフトへ打ち上げた。

走者のボームは決して足が速い選手ではなく、またレフトのマーセル・オズーナも決して守備がうまい選手ではない。果たしてフィリーズの三塁コーチャーは「GO!」の指示でボームは本塁へ突入。オズーナの送球はやや右にそれたが、捕手がしっかり捕球して本塁アウト……かと思われたが、審判の判定はセーフ。当然、納得のできないブレーブス陣営はビデオ判定を要求した。

審判団が協議する間、場内ではスロー映像でさまざまな角度でスライディングとタッチプレーの様子が流れると、確かにボームの足は先に本塁へ向かっている。しかし、捕手の足にぶつかって、タッチできていないのが映し出されていたのだ。ブレーブスファンが詰めかけた本拠地球場は一気に沸き立ち、判定が覆るのを待っていた。

しかし結果は……セーフ! 最初の判定がそのまま通り、場内はブーイングの嵐。頭を抱えるブレーブスナインは意気消沈したのか、9回に反撃できずに試合は7対6でフィリーズが勝利を収めたのだった。
当然、この判定を巡って大変な物議をかもすことになった。ブレーブスの先発投手を務めたドリュー・スマイリーは「MLB機構が判定を覆さないなんて、恥ずべきこと」と一刀両断。

捕手のトラビス・ダーノウも「今回の件で、僕はこれ以上リプレーの必要性を感じなくなったね。正直に言って、リプレー検証が試合の展開をゆっくりさせてしまっている。審判団はあの判定を下すのに5分間もかかって、僕の意見だけど、彼らは間違ったままのジャッジを通した。だから僕は必要と思わない。試合をはやく進めたいんだ」として、失意のコメントを残した。

この試合とまったく関係のない、ロサンゼルス・ドジャースの三塁手であるジャスティン・ターナーも「めちゃくちゃひどい判定だよ」とあきれ顔。「2つの角度から映像を見直したけど、ボームはホームに触れていなかった。なのに、ジャッジはそのままだったって? 他のみんなと一緒だけど、リプレー検証の意味ってなに? ってなるね」。

『サンデーナイト・ベースボール』として全米中継された一戦で生まれた”疑惑の判定”とあって、全米ツイッタートレンドの上位に関連ワードがランクイン。「馬鹿げている」「はやくロボット審判を」、さらには「フィリーズは賄賂を渡しているのか?」というコメントも見られた。

メジャーリーグのビデオ判定は当該の審判団が行うのではなく、ニューヨークにあるオペレーション・センターで多角的な角度から中立に検証を行って、それを審判へ通達する形だ。数十億円の費用を投じて作られた最新鋭のシステムではあるものの、「覆すにあたり決定的」でない限り、最初の判定通りに進められる。

もっとも、今回のジャッジは「覆せない」レベルの際どいものだったかどうかは、やや議論の余地があるように感じるが。

構成●SLUGGER編集部

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