
【2021主力選手通信簿|中日】リーグ屈指の投手陣はおおむね高評価。だが、大島以外の主力野手は…<SLUGGER>
全12球団の主力選手の2021年シーズンを5段階の通信簿形式で振り返っていく同企画。各選手のこれまでの実績や期待値も踏まえて査定し、評価していく。
※A=よくできました、B=まずまずです、C=可もなく不可もなく、D=がんばりましょう、E=ガッカリです
【投手】
●柳裕也
[試合] 26 [勝敗] 11-6 [防御率] 2.20
[投球回] 172.0 [K/9] 8.79 [BB/9] 2.15
評価:よくできました(A)
代名詞カットボールに加えて縦スラ、シンカーと複数の決め球を武器に三振を量産。最優秀防御率と最多奪三振の二冠に輝いたのに加えて、投球回数とHQS数でもトップに。
●小笠原慎之介
[試合] 25 [勝敗] 8-10 [防御率] 3.64
[投球回] 143.1 [K/9] 7.22 [BB/9] 3.20
評価:よくできました(A)
球威ある速球と大きなカーブ、そして変幻自在のチェンジアップを武器に左のエース候補がプロ6年目で初の規定投球回に到達。本拠地では防御率1.85と無類の強さを誇る。
●大野雄大
[試合] 22 [勝敗] 7-11 [防御率] 2.95
[投球回] 143.1 [K/9] 7.41 [BB/9] 1.63
評価:まずまずです(B)
過去2年と比べて見劣りはするが、防御率2点台での規定到達は流石のひと言。直近3年で消化した469.2イニングは12球団トップの数字で、名実ともにチームのエースに成長。
●福谷浩司
[試合] 18 [勝敗] 5-10 [防御率] 4.53
[投球回] 103.1 [K/9] 6.36 [BB/9] 1.48
評価:可もなく不可もなく(C)
自身初の開幕投手を任されるも、打ち込まれるケースが目立った挙句に右足親指骨折でシーズン終了と残念な結果に。四球割合3.9%は、先発ではヤクルト奥川に次ぐ好成績。
●勝野昌慶
[試合] 17 [勝敗] 3-6 [防御率] 3.74
[投球回] 91.1 [K/9] 6.60 [BB/9] 3.05
評価:まずまずです(B)
プロ入り後3年続けて防御率、投球回数でキャリアハイを更新中。今季の勝ち星はすべて4月に挙げたもので、5月以降の12先発では好投しても勝ち運に恵まれなかった。
●松葉貴大
[試合] 14 [勝敗] 6-5 [防御率] 3.20
[投球回] 76.0 [K/9] 4.86 [BB/9] 1.78
評価:よくできました(A)
豊富な球種を投げ分けゴロを量産。長いイニングは計算できないが、5~6回をめどに安定した投球を披露した。9月は4勝&防御率0.95も、月間MVPは受賞ならず。
●又吉克樹
[試合] 66 [勝敗] 3-2 [防御率] 1.28 [セーブ] 8 [ホールド] 33
[投球回] 63.1 [K/9] 5.83 [BB/9] 3.13
評価:よくできました(A)
リーグ2位の66試合に登板し、セットアッパーだけでなくライデル不在時には抑えまでこなすなど見事に復活を果たす。投球の4割以上を占めるカットボールが効果的だった。
●ロドリゲス
[試合] 12 [勝敗] 1-4 [防御率] 3.65
[投球回] 61.2 [K/9] 8.90 [BB/9] 5.55
評価:可もなく不可もなく(C)
150キロ超えの速球でゴロ打球を量産するグラウンドボーラー。慢性的な制球難と登板ごとのムラの激しさが課題で、来季は安定感のある投球を目指したい。
●祖父江大輔
[試合] 55 [勝敗] 1-2 [防御率] 2.59 [セーブ] 5 [ホールド] 19
[投球回] 48.2 [K/9] 5.55 [BB/9] 1.66
評価:まずまずです(B)
序盤は打ち込まれる場面が目立つも尻上がりに調子を上げ、終わってみれば2年連続の50試合超え&防御率も2点台にまとめた。FA権は行使せず、「地元愛」を貫き残留。
●R・マルティネス
[試合] 49 [勝敗] 1-4 [防御率] 2.06 [セーブ] 23
[投球回] 48.0 [K/9] 11.06 [BB/9] 1.88
評価:よくできました(A)
160キロ超の速球を制球良く投げ込む支配的な投球で、チームでは岩瀬仁紀以来となる2年連続20セーブ以上をマーク。オフには大型契約での残留も発表済み。
●福敬登
[試合] 57 [勝敗] 2-2 [防御率] 3.18 [ホールド] 20
[投球回] 45.1 [K/9] 7.54 [BB/9] 2.98
評価:可もなく不可もなく(C)
3年連続で50試合以上投げた左のリリーフエースも、今季は致命的な失点を喫する場面が目立った。ビジターでは防御率0.86もホームでは5.18で、極端な外弁慶ぶり。
●藤嶋健人
[試合] 48 [勝敗] 1-0 [防御率] 1.59 [ホールド] 5
[投球回] 51.0 [K/9] 6.71 [BB/9] 2.29
評価:よくできました(A)
自身初のシーズン完走を果たして、キャリアハイの好成績。割合を増やしたスプリットが効果的だった。ただ僅差の終盤では結果を残せず、勝ちパターン定着は来季に持ち越し。
【野手】
●大島洋平
[試合] 141 [打数] 548 [打率] .292
[本塁打 1 [打点] 34 [OPS] .695 [盗塁] 16
評価:まずまずです(B)
3年連続3割&最多安打のタイトルは逃すも、10年連続となる規定打席到達はさすが。今季は7月以降に定位置である1番から3番に移り、安定した打撃で打線の中軸を担った。
●ビシエド
[試合] 130 [打数] 480 [打率] .275
[本塁打 17 [打点] 70 [OPS] .766 [盗塁] 1
評価:可もなく不可もなく(C)
不動の4番打者として打線を牽引し、球団の外国人打者記録を次々更新。ただ9月以降は大きく成績を落とし、OPSは来日後ワーストの成績だった。来季は巻き返したい。
●高橋周平
[試合] 137 [打数] 475 [打率] .259
[本塁打] 5 [打点] 39 [OPS] .663 [盗塁] 1
評価:ガッカリです(E)
4年連続の規定到達も開幕から打棒は上向かず、OPSはレギュラー定着後最低の成績。また得意のサード守備でも精彩を欠いた。石川昂弥が復帰する来季は正念場となりそう。
●京田陽太
[試合] 113 [打数] 409 [打率] .257
[本塁打] 3 [打点] 24 [OPS] .618 [盗塁] 6
評価:可もなく不可もなく(C)
5年連続の規定打席に到達も、打撃不振でプロ入り後初となる二軍落ちも経験。打率は新人年以来となる2割5分以上を記録したが、二塁打は7本のみと引き続き長打力に課題。
●木下拓哉
[試合] 123 [打数] 352 [打率] .270
[本塁打] 11 [打点] 43 [OPS] .748 [盗塁] 1
評価:よくできました(A)
2年連続となる盗塁阻止率4割超えを記録する強肩と神業レベルのフレーミングは健在。規定到達こそ逃すも初の二桁本塁打を達成し、捕手としての打力はリーグトップレベル。
●福田永将
[試合] 110 [打数] 279 [打率] .244
[本塁打] 8 [打点] 28 [OPS] .724 [盗塁] 1
評価:ガッカリです(E)
怪我の影響で開幕から出遅れるとシーズン終了まで調子が上向かず、特に得点圏打率.177とチャンスで振るわなかった。スタメンよりも代打から試合に入ることも増えた。
●堂上直倫
[試合] 75 [打数] 219 [打率] .219
[本塁打] 5 [打点] 25 [OPS] .581 [盗塁] 1
評価:がんばりましょう(D)
内野の全ポジションを高いレベルでこなすユーティリティ。今季は怪我からの復活を果たしたが、低打率に加えて一昨年のような長打力を再現することはできなかった。
●阿部寿樹
[試合] 66 [打数] 215 [打率] .209
[本塁打] 5 [打点] 16 [OPS] .597 [盗塁] 0
評価:ガッカリです(E)
開幕から不振を極め、3~4月は打率.159、OPS.477と低迷。7月以降は怪我の影響で実戦復帰も果たせぬままシーズン終了となった。来季は外野での出場も視野に。
●福留孝介
[試合] 91 [打数] 193 [打率] .218
[本塁打] 4 [打点] 18 [OPS] .643 [盗塁] 0
評価:よくできました(A)
14年ぶりの古巣への復帰を果たすと、44歳ながら勝負強い打撃で得点力不足の打線の中軸を担う想定外の働きぶり。後輩選手へ積極的にアドバイスを送る姿も印象的だった。
●根尾昂
[試合] 72 [打数] 169 [打率] .178
[本塁打] 1 [打点] 16 [OPS] .482 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
プロ3年目で初の開幕スタメンを勝ち取ると、外野手として好守備を連発。打撃では一軍レベルに対応しきれなかったものの、プロ初本塁打はグランドスラムでド派手に飾った。
●三ツ俣大樹
[試合] 58 [打数] 117 [打率] .222
[本塁打] 1 [打点] 11 [OPS] .580 [盗塁] 0
評価:まずまずです(B)
阿部・京田と二遊間のレギュラーが離脱する中で、攻守に堅実な働きで一軍に定着。13犠打はチームトップだった。ただ自身も怪我による離脱でレギュラー奪取には至らず。
●高松渡
[試合] 78 [打数] 112 [打率] .250
[本塁打] 0 [打点] 4 [OPS] .532 [盗塁] 15
評価:よくできました(A)
与田監督が掲げた機動力野球の先鋒として重用されると、プロ4年目で初の一軍完走。代走の切り札としてのみならず、スタメン時には打者としても多くの爪痕を残した。
●加藤翔平
[試合] 55 [打数] 110 [打率] .209
[本塁打] 1 [打点] 2 [OPS] .536 [盗塁] 8
評価:がんばりましょう(D)
移籍後初打席で本塁打を放つ鮮烈なデビューを果たすも、結局本塁打はその一本のみ。両翼のレギュラー不在の中でチャンスを掴めず、終盤は守備走塁の途中出場がメインに。
【監督】
●与田剛
55勝71敗17分 勝率.437(5位) 得失点差−73(6位)
評価:おつかれさまでした
契約最終年の今季、12球団ベストのチーム防御率を記録するなど投手陣の立て直しに成功するも、逆に得点は2年連続のワースト。最後まで得点力不足を解消できなかった。
文●ロバートさん (@robertsan_CD)
【著者プロフィール】
1988年生まれ。Twitterにて中日ドラゴンズの戦力分析・考察を行う中日ファン。中日新聞プラスにて「データで考える中日ドラゴンズ」を連載中。
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