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26年前に球界を襲った“悪夢”が再び?MLBロックアウトについて知っておくべき5つのクエスチョン<SLUGGER>

1995年に行なわれたストライキの様子。この時は試合が全く行なわれずに野球人気低迷に繋がったが……。(C)Getty Images
現地時間12月2日、オーナー側と選手会の新労使協定を巡る交渉がまとまらなかったMLBはロックアウトへ突入した。この動きは球界にどんな影響を及ぼすのか。知っておくべきことを改めてまとめてみよう。

▼そもそもロックアウトとは?

一部のメディアで「施設閉鎖」とされているように、ロックアウトは球団(オーナー側)が選手たちに対して球団施設への立ち入りを禁止し、サラリーの支払いをストップすることによって労使交渉を進展させようとするものだ。いわば、選手(労働者)が試合への出場を拒否するストライキと対極の労働争議行為である。

▼ロックアウトで球界はどうなる?

「雇用者と被雇用者は隔離されていなければならない」との原則があるため、ロックアウト突入後、MLB公式サイトからは現役選手の顔写真などが外された。また、サイトトップにはロブ・マンフレッド・コミッショナーによる『ベースボールファンへの手紙』というメッセージが掲載されているが、「ロックアウトを余儀なくされたのは選手会側の責任」
という内容で、対立の根深さを象徴している。
また、ロックアウト中は、選手との契約交渉が一切ストップする。このため、フリーエージェント(FA)選手は労使交渉が妥結するまでは契約できない。11月下旬に大物FA選手が相次いで契約先を決めたのは、ロックアウトを見越した動きだったというわけだ。

12月6日から開催予定だったウィンター・ミーティング(球団オーナーやGMが一堂に会し、トレードをはじめとする多くの移籍交渉が行なわれる)も、すでに中止が決定。球団から選手への接触も禁止され、ポスティングによるMLB移籍を目指す鈴木誠也(広島)の交渉も凍結。カルロス・コレアら大物市場FA選手ともども、再開はロックアウト終了後となる。

前述の通り、球団の施設も使用できなくなるため、仮に交渉がスプリング・トレーニングの時期にまで及んだ場合は、選手は球団施設での練習すらもできなくなる。
▼ロックアウトは至った背景とは?

労使交渉が決裂に至ったのは、1994年8月~95年4月のストライキ以来実に26年ぶりだ。この時はレギュラーシーズンが計900試合以上も行なわれなかっただけでなく、史上初のワールドシリーズ中止という事態にまで発展。世界規模でファン離れが加速した。

そもそも、ロックアウトは、73年を皮切りに過去に3度行なわれていて、直近は90年2月15日からの1か月間だった。この時はオープン戦が中止、シーズン開幕も1週間延期された。

94~95年のストライキの反省から、オーナー側と選手会はその後長く協調関係にあったが、近年は関係が再び悪化。選手会は、放映権料の大幅な増額などによりMLBの収益は右肩上がりにもかかわらず、セイバーメトリクスの普及による効率重視の球団経営や、タンキング(半ば意図的に低迷することでドラフト上位指名権を獲得する再建手法)の横行で年俸総額はむしろ下がっていることに強い不満を持っている。さらに、新型コロナの流行でシーズン開幕が延期された昨季は、再開の条件をめぐってオーナー側と選手会が激しく対立。今回の労使交渉は、当初から難航が予測されていた。
▼労使交渉の主な争点は?

最大の争点はもちろん「カネ」をめぐる問題だ。まず、選手会は年俸調停権/FA権取得期間(サービスタイム)の短縮を主張。これにより、昇格後3年間は年俸がほとんど上がらず、ようやくFA権を取得しても今度は年齢を理由に買い叩かれる選手が多い現状を改善したいと考えている。

これに対してオーナー側は29歳6か月で全選手がFAとなる「ユニバーサルFA」という壮大なアイデアを提案しているが、早期にメジャー昇格した選手が現在よりも著しく不利になるため、選手会は反対している。

選手会はタンキング防止のための対策も要求していて、オーナー側はこれに応える形で年俸総額下限の設定を提案。年俸総額の下限を設けることは確かにタンキング防止の一環にはなるが、オーナー側は同時に現在の戦力均衡税下限ラインを大きく引き下げようとしており、選手会は「これではFA市場の活性化につながらない」として反発している。

▼ロックアウトはいつ終わるのか?

オーナー側も選手会側も、ロックアウトはあくまで「労使交渉に集中するための期間」との認識で、2022年のレギュラーシーズン開催に対する影響を望んでいない。このため、遅くともスプリング・トレーニングが始まる来年2月中旬までには決着すると予想されている。

だが、現時点で「落としどころ」も不透明のため、長期化する恐れも否定できない。仮にキャンプイン直前に妥結したとしても、鈴木やコレアをはじめとする数多くのFA選手はその時点から改めて入団先を見つけなければならず、いずれにしても大混乱となる可能性は否定できない。

構成●SLUGGER編集部

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