駆け引きのシングルス・スピードのダブルス バドミントンの試合の見どころを解説
動きが特殊なだけに、ケガもつきまとう
――種目で共通の見どころはありますか。
下川:近年競技の精度も上がってきて、転びながら球を取るっていうプレーが多くなってきています。絶対届かないように見える、普通に手を伸ばしても、どうやって伸ばしても届かない距離の球に対して、近年は中高生でも、膝をついたり、パッと転ぶというか、倒れて拾うようになってきているんです。今は転びながら取るのも技術なので。転びながら取った上で、何食わぬ顔で立ち上がる。それもバタバタ転んで起き上がってじゃなくて、一連の流れで、そのままパッとスタンディングに戻れちゃう技術があります。そういうのを見ると、「おおっ!」となると思いますよ。
――シャトルランを繰り返すような動きの連続があるだけでなく、そんなアクロバティックな所作も出てくるとなると、ケガをするケースも多そうですね。
下川:多いのは、アキレス腱、膝、手首、足首あたりを痛めるケースですね。「付き物」といってもいいくらい、これらはすごく多いです。バドミントンは結構独特な動き方をするだけに、体の手足の関節付近、ジョイント部分を痛めやすいのかもしれません。ただ走るとか跳ぶとかではなくて、ラケット1本持ってスタートとストップを繰り返すわけです。加えて、結構絶妙な広さのコートがクセモノ。大きく足をしっかりと伸ばせば、シャトルを拾える距離なんですけど、それがちょうど絶妙な広さなので、基本的な動き方がしっかりできていないと、なかなかそこまで動けず体に無理をさせてしまうんです。だから素人や初心者がやるぶんにはあまりケガしないんですけど、ある程度できるようになってくるとケガが増えてくる傾向にあると感じます。
来月(8月)には、世界バドミントン選手権大会が東京で開かれます。記事を読んでいただいた方には、ぜひバドミントンを見ていただいて、より魅力を感じて頂けたらと思います。
■プロフィール
下川裕一(しもかわ・ゆういち)
1981年生まれ。東京都出身。祖父の手ほどきで3歳からバドミントンを始める。淑徳巣鴨高等学校、淑徳大学を卒業後、旭工芸株式会社に入社。実業団選手として16年プレーし、昨年からはコーチ兼選手として活動している。
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