【記者会見】“堅守”で完封。大阪・永井義文監督「準備したことを徹底した」

8月13日、小田原アリーナにて、湘南ベルマーレとシュライカー大阪が対戦した。

前節4失点を喫した大阪は、敗戦の反省を生かし、隙の無いディフェンスで相手の攻撃を跳ね返す。第2ピリオドには湘南のパワープレーを約14分間受けながらも、失点を許さず。ゴールを守り抜いた大阪は、残り13秒に齋藤日向のパワープレー返しで1点をもぎ取り、耐久戦を制した。

試合を終え、永井義文監督とキャプテンの齋藤日向が記者会見に出席した。

全員パワープレーの守備ができるように

●シュライカー大阪|永井義文監督

──試合を振り返って。

相手のアタッカーに対して、粘り強く戦った試合でした。お互いに魂を振り絞って、気持ちを込めたゲームだと思うので、何かが勝敗を分けるとか、気持ちの差でこちらが上回ったとかそういうことでもないかなと。くじ引きのような確率で、我々が引いたくじが、たまたま自分たちが当たりを引いたような。そういうゲームだったかなと思います。本当に100パーセント、120パーセントで戦ったゲームでした。

──ハーフタイムに何を話されたかと、第2ピリオドのタイムアウトでどんな話をしたかを教えてください。

ハーフタイムには相手の狙っている攻撃に対する守備の確認を2点ほどしました。あとはメンタル的な話しかしていないです。自分たちは気持ちを込めて、魂を込めてプレーをすることが結果、戦術的には攻撃につながってきているので。

タイムアウトでは湘南の狙いに対して、自分たちはこう振る舞おうという話をしました。その中身を話すと、もう自分たちのやってきたことしかしないよと。時間としては14分でしたけど、湘南の須藤(蓮)選手の登録の有無によっては、もしかしたら40分間ずっとパワープレーというのもあり得たかもしれないですよね。なので、全員でそれに対応できる守備をすることが自分たちがこの1週間でできる最大の準備でした

残り9分でタイムアウトをとりましたが、改めて自分たちが準備してきたものをどう出すかについて話しました。自分たちの取りどころはここで、ここは違うよと。浮き足立ってしまうと相手の術中にハマってしまうので、自分たちがこれまでやってきていないことは出さないことを、とにかく徹底しました。そうしないと1年のリーグ戦での積み上げがなくなってしまうので。リーグ27試合をとおして何を積み上げるかを考えているので、27分の1の試合だからこう戦おうねという話をして、それをピッチで一貫したことで、選手が勝利を運んでくれたと思っています。

──今の話に通じますが、前節の複数失点での敗戦を踏まえて今日の試合を見ていると、改めて守備の確認をして、自分たちのスタンスをもう一度捉え直して挑んだ試合に見えました。

そうですね。まず、リーグで優勝している名古屋オーシャンズの強さは、どんな時も自分たちのパフォーマンスを発揮すること。勝っていようが負けていようが、失点していようが得点していようが、開幕戦だろうが20節だろうが、常に一定のパフォーマンスを出せること。そうなれないのは、我々がまだ勝てる集団になりきれていない証拠です。

いいゲームをしたら、その次の試合は少し緩んでしまったり。ただそういう経験を経て“勝てるチーム”になっていく。今はそのプロセスを踏んでいる段階です。ただそれをいかに円滑に進めていくかが大事です。なので今日のようなゲームで勝てたことは大きいです。連敗、3連敗して修正しようとしても意味がないので、ここでもう一度自分たちのスタイルっていうのを発揮できたことは、とても良かったと思います。

前の試合でも、彼らはなぜ失点して自分たちの何がダメだったのかっていうのは分かってるんですよね。たださっき言ったように、気持ちで体現できなかったり気が抜けてしまうから負けてしまう。やるべきことは分かってるので、その確認をした1週間でした。

──先ほど相手の術中にハマらないように、とりどころをはっきりしようという話がありましたが、パワープレーでは内田(俊太)選手、靏谷(春人)選手、萩原(真夏)選手で回す時間はプレッシャーをかけず、その先にボールが通ったタイミングを狙っていたのでしょうか。

あんまり知られたくないですが(笑)。よくご覧になられていると思います。

先ほども話しましたが、相手が長時間だからプラスアルファで新しい選択肢をもつのではなく、自分たちのパワープレーのベースから、ちょっとずつ上乗せしていくような形です。

今日に関しては、内村選手のところはある程度許容していました。萩原選手もボールを運ぶのがうまいですからね。例えば名古屋のダルラン選手は、プレッシャーをかけさえすればボールを運べないんですけど。

後ろに運ばれてしまうと、20メートル×20メートルで試合をしていたのに、20メートル×40メートルで、5対4の守備をしないといけなくなってしまうので。内村選手も靏谷選手も同じなので、3人も揃うと正直難しいですよね。あんまり上手じゃなかったらいいんですけど、バスもうまいし、引き出しも相性いいところに配置されているし。

(湘南が戦った)ペスカドーラ町田戦のスカウティングをしたところ、点こそ入っていませんが、プレスを回避して堀内選手がいいシュートまでつなげていました。町田あの速いプレッシャーもかけきれないのに、自分たちはたぶんもっと難しいですよね。

抜け目のない試合を心がけた

●シュライカー大阪|齋藤日向

──試合を振り返って。

前節は少し不甲斐ない試合をしてしまったなか、細かいところで勝負が決まるリーグだと思うので、そういう部分で抜け目のない試合をしようと心がけて、この1週間はトレーニングしてきました。それがいろんな部分で、声を出すことも、ピッチで体現することもすることも、ベンチも含めて全員が一つになって戦えたことで、最後自分たちに勝機が転がってきたのかなと思います。

──第2ピリオド早い時間帯から湘南がパワープレーをして、粘り強く守備をする時間が長くありました。そこから最後は齋藤選手が決勝点を決めましたが、率直な気持ちを教えてください。

ゴールを決めたことは素直にうれしかったです。ただ、これだけ13分、14分と長い時間パワープレーを受けることは普段の試合だったらなかなかないことです。それも含めて、全選手が守備のトレーニングをして、誰が出ても対応できる準備をしてきたことが、結果につながったのかなと思います。自分が最終的にゴールを決めましたが、チームで積み上げてきたものがあの1点になったと感じています。みんなで守って勝ったっていうのが一番うれしいです。

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