邪念を振り払え! アマ六車日那乃の好発進を生んだ“ひと呼吸素振り”
<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 初日◇11日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6702ヤード・パー72>
アマチュアの六車日那乃(日本ウェルネススポーツ大3年)がボギーなしの1イーグル・4バーディで6アンダー・3位タイの好発進を決めた。6番パー4(415ヤード)で残り190ヤードのセカンドショットをグリーン横のラフに外すも、そこからチップインバーディ。16番480ヤードのパー5では、残り80ヤードを1バウンドでカップに入れてイーグルを決めるなど、派手なプレーで軽井沢を沸かせた。
「6番のチップインが流れを良くしてくれました」と話したが、流れをつくったのはそれだけではなかった。昨年のプロテストで不合格となり失いかけていた自信を、考えを改めることで取り戻したことが大きく影響していた。
「不安が多くて、消極的になっていました。プレーにも私生活にも、それが出てしまっていて。変わらなくてはいけないと思い、気持ちをもっと強く持つようにしました」。同じ辻村明志コーチの指導を受ける先輩プロ、上田桃子からの「自分がどうしたいのかをしっかり認識して、もっと自信を持ったほうがいい」というアドバイスもあったという。
そのためには「思ったように、やりたいようにやる。自分がどうしたいのかが分かっていないとダメ」。そこから始めた。そして六車が取り組んだのは、「邪念を捨てて、強い気持ちを持つ」こと。
強靱(きょうじん)な体にこそ、強い精神は宿る。大きなタイヤにさらに5キロのおもりをつけて、2時間押したり引いたりするトレーニングに日々励んだという。さらに、球を打つ前のひと呼吸素振りを自身に課した。ひと呼吸で、一気に120%の力感でクラブを振るトレーニングだ。チーム辻村の定番トレーニングなのだが、10回以上のひと呼吸連続素振りで、それを数セット行う。これをやるだけで、息はすぐに上がってしまう。
「ひと呼吸素振りは練習の前にもやりますし、試合で邪念が湧いてきたときにもショットの前にやります。この素振りで(いい意味で)頭が回らない状況をつくるんです」
心を磨くために取り組んだトレーニングで、身体的にも強くなった。ショットの安定感が増し、球質が重くなった。この成果が見事に出ての6アンダー3位タイ発進だった。
今年のプロテストは第2次からの受験だが、今大会で優勝すればもちろんテストは免除になる。それについては「40%くらい、その欲はあります。でも、まだ初日。2日目、3日目も自分のプレーができれば、それもあるかもしれません」と“邪念”を抑え込んだ。
「負けないぞ」という強い気持ちで、残り2日間己のゴルフを全うする覚悟だ。(文・河合昌浩)
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