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「日本一安い卓球場料金で日本一を目指す」「怒られて嬉しい選手はいない」全日本チャンピオンを輩出した三重県・松生卓球道場の秘密

初心者から、将来の日本一を狙うレベルまで、そして未就学児からシニアまで、こんなに幅広い層が皆楽しそうに通う卓球場はめずらしい。

率いるのは、父・松生幸一館長から卓球道場を引き継いでまだ一年経たない、“脱サラ”指導者の松生瞬さんだ。

松尾瞬
写真:松生瞬(松生卓球道場)/撮影:ラリーズ編集部

前日から心配で胃が痛かった

――今年の三重県予選は、各カテゴリ2名の狭き門でしたが、全農杯全日本ホカバ出場者12名枠のうち9名が松生卓球道場の子どもたちでした。
松生瞬:過去最高です(笑)。今回は運も良く、百点以上の結果だったなと思います。
――子どもたちが活躍できた理由は何なんでしょう?
松生瞬:夕方4時半くらいから7時半くらいまではベタで小学生クラスについて、コツコツやってきました。

でも特殊なことは、本当に何にもないです。

前日も当日も、心配で胃が痛くて(笑)。保護者さんの期待も背負っているので。

“大丈夫です”とずっと言いながら、僕自身が自分に“本当に大丈夫なのか、大丈夫なはずだ”と言い聞かせる日々だったので、本当に良かったです。

松生卓球道場
写真:松生卓球道場の練習風景/撮影:ラリーズ編集部

――松生卓球道場は、子どもから中高生、シニアまで本当に幅広い層の会員がいますね。
松生瞬:正直、コロナ前はもっといました(笑)。12台あって、1台に3〜4人入って保護者さんにも手伝ってもらって、賑やかにやってました。

その時期に比べるとまだ寂しいくらいですが、コロナ対応で仕方ない面もあります。

松生卓球道場
写真:地元の中学生も通う/撮影:ラリーズ編集部

――年齢が幅広いことの良さってどういうところですか。
松生瞬:子どもたちが一生懸命やってると、例えば戸上(隼輔)や前出(陸杜)の頃も、彼らは目がキラッキラしてるから、大人の方も“一緒にやったろ”って、良い循環が生まれるんですよね。

“お願いします、ありがとうございました”をきちんと言える、礼儀正しい子はみんな大人の方も一緒にやってくれるんだよ、ということはずっと子どもたちに伝えています。

その循環が確実に今回の良い結果にも繋がっているなと。本当に、保護者さんと会員さんに感謝してます。

松生卓球道場
写真:初心者コースも楽しそう/撮影:ラリーズ編集部

その後強くなる小学生の共通点は

――戸上選手と前出選手は、それぞれどんな小学生でしたか?
松生瞬:隼輔はずっと組み合わせを書いてましたね(笑)。暇があったら自分でトーナメント表を作って、けっこう自分は良いシードにいて(笑)、だいたい僕はどっかのパッキンに入ってるんですよね(笑)。

練習では、やっぱり目の色が違いました。子どものうちは遊びたくなるじゃないですか。でも、その頃から一球に対する真剣さがありましたね。

写真:戸上隼輔(明治大)/撮影:ラリーズ編集部
写真:松生卓球道場出身の戸上隼輔(明治大学)/撮影:ラリーズ編集部

松生卓球道場
写真:休憩スペースには“戸上隼輔コーナー”もある/撮影:ラリーズ編集部

松生瞬:前出は、本当に全国の試合結果をよく知ってました。何県の何高校の誰々がどんな戦型で、ということを各ブロックのベスト32くらいまで調べてるんです。

パンフレットも、自分が書き込む用と保存用の2冊買うんです。自分がボロボロになるまで書き込むほど、卓球が好きな子です。都道府県もそれで覚えたんじゃないかな(笑)。

練習では集中力の高い子でした。小学高学年から、2時間くらいの練習でユニフォーム5枚くらい替えて、徹底的に短時間練習して、帰っていくんです。

前出陸杜(高田高)
写真:松生卓球道場出身の前出陸杜(中央大学)/撮影:ラリーズ編集部

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