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【世界卓球メダル確定】卓球黄金世代に続く“新世代エース”へ パリ五輪も期待の長崎美柚・木原美悠、“Wみゆう”の軌跡を振り返る

写真:木原美悠/長崎美柚(提供:ITTF)

5月20日に開幕した「世界卓球2023南アフリカ」は日本人選手が連日活躍を見せ、賑わいの様相をみせている。そんな大会に初出場を果たしたのが長崎美柚と木原美悠で、ダブルスでコンビを組む20歳と18歳は“Wみゆう”として親しまれている。伊藤美誠、平野美宇、早田ひなら2000年生まれの“黄金世代”に続く存在として期待がかかる両者は、来年に迫るパリ五輪の選考レースでも上位に位置しており、新たなスターとして注目が集まる。今回はそんな2人にスポットを当ててこれまでの軌跡を振り返っていきたい。(文・井本佳孝)

小学生で出会い研鑽を積んだ

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写真:木原美悠/長崎美柚(提供:ITTF)

2002年生まれの長崎は神奈川県出身で、全日本選手権ホープス・カプ・バンビの部で福原愛に次いで2人目の3冠を獲得する。将来の有望株として注目を集めると、全日本選手権のジュニア大会では高校1年次に優勝を果たし、ホープス・カプ・バンビ・ジュニアの4冠を達成。同年に日本卓球協会から世界ランキング130位ながら将来性を評価され、スウェーデンで行われた世界選手権団体戦に大抜擢。出場こそなかったが準優勝したチームの中で貴重な経験を積んだ。さらに、2019年には世界ジュニア卓球選手権に参戦し、日本人初となるジュニア世界一の快挙を成し遂げた。

一方の木原は2004年生まれで兵庫県出身。2つ上の長崎に続くように全日本選手権ホープス・カプ・バンビの部を制するなど、同年代の中で頭角を表す。ほかにも、2015年2月にジャパントップ12に史上最年少の10歳8カ月で参戦し、同年の8月にはITTFジュニアサーキット・チャイニーズタイペイジュニア&カデットオープンのジュニア女子シングルスで優勝。小学生のころから注目を集め、JOCのジュニアアカデミーに入所。次世代を背負う“新天才卓球少女”として、ユース年代から豊富な経験を積んできた。

そんな長崎と木原は小学生の頃に出会い、“Wみゆう”を結成。「将来の世界卓球出場」を夢に掲げた2人は切磋琢磨しながら成長を果たし実績を重ねると、2019年に飛躍を見せる。同年に中国・鄭州で開催されたITTFワールドツアーグランプリファイナルの準決勝で、世界卓球女王の中国ペアから大金星を奪い決勝へ進み、そのまま優勝を果たし年間女王に輝いた。若い頃から実績を残してきた2人だったが、この優勝を機にさらなる期待を集め、日本を代表する選手へと台頭していく。

憧れの世界選手権でも結果を残す

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写真:木原美悠/長崎美柚(提供:ITTF)

女子卓球界では先日引退した石川佳純、その下に伊藤、平野、早田の“黄金世代”がトップ選手として君臨してきたが、その熾烈な競争にこの両者は新たに割って入った。160cmを上回るフィジカル能力、長いリーチを活かした両ハンド攻撃やチキータが武器の長崎は、2022年の3月にパリ五輪の第1回選考会にあたるTOP32で、準々決勝で伊藤を撃破する金星を挙げ、決勝では早田に敗れるも準優勝して存在感を示す。切れ味鋭いサーブや卓球台に近い位置でのプレーが特徴の木原は、2019年の全日本選手権の5回戦で平野を破り、その勢いのまま14歳5カ月の若さで準優勝を果たした。

そんな2人が憧れだった世界選手権に初めて出場したのが2022年。伊藤や早田らとともに団体戦のメンバーに名を連ねると、グループリーグ、決勝トーナメントとフル回転し、中国に敗れたものの銀メダル獲得に大きく貢献。また、WTT主催のワールドツアーにも参戦し、シングルス、ダブルスともに結果を残すなど、個人としてもコンビとしても飛躍を果たす。さらに、Tリーグの木下アビエル神奈川に所属する2人は2022-23シーズンのレギュラーシーズン1位でプレーオフに勝ち上がると、3月に行われたファイナルでは木原が日本生命レッドエルフの伊藤を延長戦で下す活躍で初優勝の原動力になった。

その勢いのまま20日から行われた世界選手権の個人戦にも初出場を果たす。シングルスで長崎は早田に敗れ3回戦、木原はベスト16で東京五輪金の陣夢に敗れ惜しくも姿を消したが、ダブルスでは息のあったコンビネーションを武器に勝ち上がる。ベスト16では台湾ペアに3ー1、準々決勝ではチェコとスロバキアのペアに対して第3セット時点で1ー2のリードを許しながらも粘りをみせ、そこから2セットを連取。逆転勝利を収めてベスト4進出と初のメダルを確定させた。伊藤と早田の“みまひな”ペアがベスト8で姿を消す中、世界の舞台でも再び存在感を示した形となった。

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