昨年『81』を打った開幕戦で申ジエが世界63勝目! 2年ぶりVは「手術した先生が待っていたかな」
<ダイキンオーキッドレディス 最終日◇5日◇琉球GC(沖縄県)◇6560ヤード・パー72>
米韓で賞金女王に輝き、世界ランキング1位に君臨したこともある申ジエ(韓国)。海外メジャー2勝の実力を引っさげて、2014年から日本ツアーに参戦している。そんな世界的なプレーヤーが、昨年は初めて優勝のないシーズンを過ごした。この開幕戦では、トータル10アンダーまで伸ばして上田桃子と稲見萌寧を振り切り、実に1年8カ月ぶりの美酒を味わった。
実は1年前の開幕戦でジエは慢性的なヒジ痛に苦しんでいた。最終日はゴルフができる状態ではなかったが、「アマチュア2人と回るから、最後まで我慢して回りました。プロ初の80を打ちました」と『81』を叩いた。「我慢して」次戦の高知まで移動したものの、「勝負は全然できないと思った」と手術を決断。両ヒジにメスを入れて、痛みの原因となっていた異物を取り除いた。
それからリハビリとトレーニングに努め、手術からちょうど1年後に優勝。「去年優勝できなくて久しぶりだから、とてもうれしくて何をしゃべればいいのか気持ちを抑えられません」と聞き取りやすい日本語と、やわらかな笑顔で喜んだ。
勝利までの1年8カ月は長かったか? と聞かれると、「自分が頑張れば結果はついてくると思うから、長いとは感じていなかった。私を手術した病院と先生が(優勝を)待っていたかなと思います」とジョークも忘れない。
そして、会見席の横に座るマネージャー兼通訳を務める金愛淑(キム・エイスク)さんを見て、「クラブハウスにチャンピオンの写真が並んでいるんですけど、ちゃんと彼女のそばに写真が残るのがうれしいです」と笑わせる。愛淑さんは98年大会を制した女子プロで、ジエのコメントに思わず笑みがこぼれた。
これで世界で63勝目。日本ツアーメンバーとして27勝目となり、永久シードまであと3勝に迫った。「みなさんと約束した賞金女王と永久シードを獲れるように頑張ります」。きっとその瞬間もみんなを笑顔で包んでくれるに違いない(文・下村耕平)
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