姉のイーグル発進から弟がバーディ締め “偶然”ペアの河本きょうだいによる“必然”勝利
<HEIWA・PGMチャリティゴルフ 最終日(1日競技)◇25日◇PGMリゾート沖縄(沖縄県)◇7074ヤード(男子)、6308ヤード(女子)・パー73>
20組の男女ペアが沖縄で戦った「HEIWA・PGMチャリティゴルフ」は、河本結と力のきょうだいペアが10アンダーで勝利。ともにツアー優勝経験のあるプロで、このオフは一緒に合宿を行うほど仲良しのふたりだが、ペアが決まったのはまったくの偶然だった。
大会前日に行われた抽選会。男子プロがくじを引いて、女子プロとのペアが決まる。「ここに出ているのは上手な方ばっかりだったので、誰でもいいと思っていた」。くじを引いた河本力は固まった。「本当に言葉が出なくて…」。その相手が発表されると周りは大歓声。姉の結だったのだ。
別々のトーナメントを転戦する男子ツアープロと女子ツアープロは、基本的にあまり交わることはない。今回も初対面同士のペアが多かった。それだけに、河本きょうだい以上にお互いを理解し合っているペアはいない。弟は「他の人は気を使ってやっているなかで、僕らはそのプレッシャーはなかった」と言い切る。
「ペアが決まる前に一緒に練習ラウンドはしましたけど、連絡事項も『朝何時集合』っていうくらい」と結。特に作戦はなく大会を迎えた。しかも「僕が練ラン下手くそなので」と力のゴルフを見て、「大丈夫かな」と心配していた。
そんななか、各自のボールをプレーして、ホールごとにいいほうのスコアを採用するフォアボール形式で、結がいきなりド派手にイーグル発進。525ヤードの1番パー5、220ヤードのセカンドショットを3番ウッドで打つと、これがグリーン左手前のカラーに。これを1パットで沈めて、いきなり2アンダーとした。
「私がイーグルで発進して、最初は力がドライバーが散っていたので、その間に私が頑張って…。そこから力が調子を戻して、後半はすべて力のスコアです」。7番までに6つスコアを伸ばすロケットスタートを決めたが、8番パー3で弟のティショットは池へ。姉は1オン・3パットで1つスコアを落とした。
しかし、「ふたりでやっているのにボギーはメンタルにくるんですよ。絶対に獲り返すっていう気持ちだった」と9番ですぐに力がバウンスバック。結は先にバーディパットを外していたが、「スライスは絶対ないから大丈夫」と力にアドバイス。弟は迷うことなく見事に決めきった。
続く518ヤードの10番パー5では力のドライバーが火を噴く。強いアゲインストのなかドライバーで低く抑えて、ミドルアイアンで2オンできる位置まで運び、連続バーディで波に乗った。「10番は正面からめちゃくちゃアゲインストだった。なかなか2打で届くプロがいなくて、そのなかで力の飛距離が生きた」と姉は振り返る。
最後の524ヤードの18番パー5も、力はティショットを残り157ヤードのところまで持ってくる。セカンドはフォローの風に乗ってグリーンオーバーしたが、「奥からは風が(アゲインストで)助けてくれる。奥でもいいやっていう考えはあった。それを考えられている時点で冷静にプレーできている証拠」と、計算通り。「めちゃくちゃ緊張した」というアプローチをOKに寄せてバーディ締め。20組で唯一10アンダーに乗せた。
姉は弟の成長について「ドライバーはプライベートで回るときより50ヤードくらい飛んでいる。それで曲がらないのはすごい。アプローチも本当に上手なので、その辺は安心して見れました。すべてが本当に上手くなった。気持ちの作り方もそうだし。波が減っている。自分をコントロールする力を身に付けたなと」と目を細める。
来週はいよいよ国内女子ツアー開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」が始まる。姉のシーズンの目標は、「(弟なしの)自力で2勝目」。昨シーズンはメルセデス・ランキング52位で、50位以内のシード獲得を逃した。初優勝した19年以来、2勝目が遠いが「去年よりは手ごたえがありますし、やってきたものが自分の身に落ちている感じはある。シーズンインは楽しみという感じを3年ぶりくらいに迎えられる」と充実したオフを過ごしてきた。「お互いに刺激し合って、高めていけたらいいなと思いました」。昨年2勝を上げて急成長を遂げている弟の存在が、姉のチカラとなりそうだ。
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