「試合でバックドライブが打てない」原因と対策とは?|頭で勝つ!卓球戦術
卓球ライター若槻軸足がお送りする「頭で勝つ!卓球戦術」今回は、私が先日母校へ指導に行った際に、実際に後輩からアドバイスを求められた、「練習ではできるのに試合になるとバックドライブが打てない」という悩みについて、その解決策を考えていこうと思う。
よく聞く話ではあるが、これに悩んでいる方は多いのではないだろうか。その場ではある程度解決の手がかりを示すことができたが、たしかに私も高校生の頃にはこれにかなり苦戦していたのを覚えている。
今日は同じような悩みを持つ方に、実際に私がしたアドバイスを記していこうと思う。
練習ではできるのに試合でバックドライブが打てない
まず状況を整理しよう。ここで言うバックドライブは、下回転に対するドライブだ。自分が下回転サーブをバック前に出し、バック側に来たツッツキをバックドライブする、という至ってシンプルな状況である。
実際にその選手に練習でやってもらったところ、たしかにほとんどミスすることなく、バックドライブが打てていた。しかし試合の中ではこれがなかなかうまくいかないのだという。
そこで、先程のパターンでレシーブの際に、バックへのツッツキだけでなくフォア前へのストップも混ぜてみた。するととたんにバックドライブが全く入らなくなったのである。なるほど、と合点がいった。彼が普段やっていたのは、「練習のための練習」であって、「試合のための練習」になっていなかったということだ。
どういうことかというと、「バックに下回転のサーブを出し、バックにツッツいてもらったのを、バックドライブする練習」では、最初からバックドライブが打ちやすい位置にいて、しっかりとタイミングを合わせてスイングをすることができているから成功していただけということだ。
しかし試合では当然フォア前にストップされるかもしれないし、ツッツキがフォアに来る、あるいはミドルに来るかもしれない。それらも頭に入れてカバーしようと思うと、なかなかうまくいかない、という現象である。
全部を思い通りにしようとするのは無理とあきらめる
私がこの選手にしたアドバイスは、「全部が思い通りにはならないのであきらめよう」ということだ。
バック前に下回転サーブを出した時の3球目の待ち方の考えとして、絶対にやってはいけないのがこうだ。
・バックにツッツキが来たらバックドライブで強打しよう
・フォアにツッツキが来たらフォアドライブで強打しよう
・フォア前にストップが来たらフォアフリックで強打しよう
このような待ちは、はっきり言って無理である。ここに来たらこれをする、と考えておくのはいいのだが、その「これをする」がどれも難易度が高すぎるのだ。そして彼も実際にこのような考え方をしていたようだ。
我々初級者~中級者のレベルでは、これは理想ではあるが現実に行うのは相当難しい。ではどうすればよいのだろうか。
写真:試合でも強烈なバックハンドを見せる張本智和(IMG)/提供:WTT
まずバックに下回転のサーブを出したなら、まずはおそらく8割方バック側にツッツキで返ってくるだろう。残りの2割はフォア前へのストップだ。私はそのように待つ。なのでサーブを出したら、すぐさま台とやや距離を取ってバックドライブの準備をして構わない。
ただここで大事なのは、2割のフォア前に来たときにどうするかだ。この場合は自分の「待ち」を外されているわけなので、無理にフリックを狙いにいってはいけない。ダブルストップをしようなんてもってのほかだ。
打点が遅れてもいいのできっちりとツッツキで返球をして、相手の強打にそなえる。これでよいのだ。待ちを外されているのにもかかわらず、そこでも良いボールを打とうとするのは欲張りである。まずはミスをしないこと。確実に入れる。それが第一条件である。
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