101回目の高校サッカー選手権、見どころと注目選手を徹底解説
(Photo by alphaspirit)
高校サッカー選手権大会が12月28日に開幕する。“冬の風物詩”と呼べる選手権は101回目を迎え、今年度も48校が出場を決めている。夏のインターハイ、高円宮杯U-18サッカーリーグに並ぶ“高校三冠”に数えられる大会だ。決勝戦は1月9日に国立競技場で行われる。今回はすでに決まっている組み合わせを振り返りながら、優勝候補や注目校を挙げて、第101回の選手権について見どころを語っていきたい。(文・井本佳孝)
9校目の連覇を狙う青森山田
昨年度の第100回メモリアル大会を圧倒的な強さで制し、王者として挑むのが26年連続28回目の出場となる青森山田(青森)だ。長年チームを率い、青森山田を高校サッカーきっての名門に育て上げた黒田剛監督が来季からJ2の町田ゼルビアを率いることが決まっており、チームとして転換期を迎えることになる。第1シードでAゾーンに位置する今大会は初戦となる2回戦で、2大会ぶり17度目の出場を果たす広島皆実(広島)と対戦。連覇に向けた戦いに挑む。
なお、100回開催されてきた高校サッカー選手権の歴史において、連覇を果たしたのは8校。近年では国見(長崎)が第81回(2000)、82回(2001)大会を制して以来20年現れておらず、青森山田は黒田監督の集大成となる大会で初の連覇に挑むことになる。今回のチームには昨年の優勝メンバーで松木玖生(FC東京)から背番号10を引き継いだFW小湊絆や、主将を務めるDF多久島良紀らが主力を担っており、有終の美を飾れるかには注目が集まる。
昨年度の準優勝校で第2シードとして戦うのが2年連続19回目の出場となる大津(熊本)。カタール・ワールドカップメンバーの谷口彰悟(川崎フロンターレ)やロシアW杯日本代表の植田直通(鹿島アントラーズ)らを輩出してきた熊本の名門は、高円宮杯プレミアリーグを戦うなど近年競争力を高めており、選手権でも上位進出が期待される。Dゾーンに位置する今回は、4年ぶり2回目の出場を果たした浜松開誠館(静岡)と2回戦で戦い、前回大会に続く決勝進出と初優勝を懸けて戦う。
12年ぶりに帰ってきた長崎の名門
また、優勝候補とともに期待したいのが高校サッカー史を彩ってきた名門の復権だ。今大会では国見が長崎県大会決勝で創世館を下し、12年ぶり24回目の出場を決めた。国見は、2度のW杯出場や3度のJリーグ得点王に輝いた大久保嘉人(元セレッソ大阪など)、国見時代に2年連続選手権得点王や大会最多得点記録を更新し、怪物と謳われた平山相太(元FC東京など)などの選手を輩出してきた。高校サッカーの一つの時代を築いてきた国見の出場は大きなトピックである。6度優勝の名門が北海(北海道)と戦う1回戦でどのような試合を見せてくれるか注目だ。
個人に焦点を当てれば、大会屈指のタレントを揃えるのが6年連続10回目の出場を果たす神村学園(鹿児島)。ドイツ・ブンデスリーガのボルシアMG入りが決まっている“高校最強FW“の福田師王と、セレッソ大阪に内定を決めているMF大迫塁は大会を彩るコンビであり、昨年度のチェイス・アンリ(尚志→シュツットガルト)に続く高校からの海外挑戦を決めた福田は大会得点王の候補としても期待がかかる。2年前の優勝校である山梨学院(山梨)との2回戦は初戦ながら高校サッカー界屈指の好カードと言えそうだ。
ほかにも夏のインターハイの王者である前橋育英(群馬)は夏冬連覇の期待がかかっており、3年ぶり16回目の出場を果たす日章学園(宮崎)との1回戦から冬の王者を目指して戦う。また、同じくインターハイで4強と躍進した米子北(鳥取)、前回大会では8強に進出した東山(京都)、プレミアリーグWEST所属で名願斗哉(川崎フロンターレ内定)、西坂斗和(徳島ヴォルティス内定)という2人のJ内定選手がいる履正社(大阪)なども注目校だ。今年度のインターハイや個人レベルの高さ、過去大会での経験など、様々な要素を絡めて見るのも手権の楽しみ方だといえる。
(次のページ「“トルメンタ”で話題をさらった高川学園」へ続く)
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