最高の一瞬『男子100m撮影での出来事_東京五輪(陸上)』
昨年の東京オリンピックの、男子100m決勝のシーンです。
100mはピッチレベルで正面から撮るカメラマンが多いので、この時は上のスタンドから狙いました。五輪マークが入った写真が撮りたかったというのもあります。これはちょうど真ん中の60mくらいの地点です。
ただ、このあとちょっとミスったことがありました。
優勝したのは、いちばん右端のイタリア人選手でした。レース前に知り合いのカメラマンからも、彼が強いという話も聞いていました。
しかし、この時の様子を見て、カメラマンの心理的に最後は左側のアメリカの選手たちが勝ちそうな感じがしました。フィニッシュでは3、4人を収めることができます。そこでここからカメラを左に振ってしまったんです。
その結果、このイタリア人選手が優勝したフィニッシュの瞬間をおさえることができませんでした。ゴール後の喜びは撮れたのですが。
いちばん大事なところでミスってしまったなと。これはその前の伏線の一枚ということになります。
一発勝負のスポーツなので、こうした出来事はたまにあります。
▼岸本勉(きしもと・つとむ)
1969年生まれ、東京都出身。
10年余りスタッフフォトグラファーとして様々な国内外のスポーツイベントを撮影。2003年に独立、「PICSPORT(ピクスポルト)」を設立。良くも悪くも人の記憶に残る写真を撮ることを心がけている。オリンピックは夏季冬季合わせて14大会、FIFAワールドカップは7大会、ほか国内外問わず様々なスポーツイベントを取材。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、オフィシャルFINAフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員(A.I.P.S.)/日本スポーツプレス協会会員(A.J.P.S.)
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