プロゴルファー藤田光里 HIKARI FUJITA Vol.3「私にとってのウェアは戦闘服」
3歳からゴルフを始め、一気にプロの舞台に駆け上がった藤田光里プロ。2013年にプロテストに合格すると、翌年の国内女子ツアー出場権をかけたQTをトップ通過。それどころか、翌週の新人戦で初優勝を飾ると、2年後の2015年には、フジサンケイレディスクラシックでは劇的な展開でツアー初優勝を飾った。その後は、ケガに悩まされる時期を乗り越えて、2019年に再びステップアップツアーで優勝。父親と歩んだ道のり、プロ参戦、歓喜、苦悩、新発見、ウェアを着る喜び、ファンとのつながり。20年以上、ゴルフと向き合ってきた彼女のありのままの想いを、言葉に変えていく。「Smart Sports News」の独占インタビューを3回に分けてお届けする。
「美人ゴルファー」と言われるのはうれしくない
──藤田プロは、昨年12月からテレビ埼玉で「ゴルフ偏差値向上委員会」という番組をスタートしましたね。
はい(笑)。
──どのようなきっかけだったのでしょうか?
私はレッスンが苦手で、雑誌の企画なども断り続けていました。でも、押しに負けました(笑)。「藤田プロでやってほしい」というふうに言ってもらえることがありがたくて、一度やってみたいと思うようになりました。
──レッスンが苦手というのは、感覚派ということもあるからですか?
そうですね。言葉で技術を伝える習慣がなかったので。誰かに中途半端に言ってはいけないだろうという思いもありました。レッスンには正解がなく、いろんな人がいろんなことを考えているものなので、そういう正解がないものを自分の感覚で発信する怖さがありました。自分が取り組んでいる方法も正解ではないですし、前向きではありませんでした。
──実際に番組を始めてみてからはどうですか?
番組の方からは、「全員に向けてやろうとしないで、自分が思っていて、やっていることを感覚的に話してくれたらいい」と言ってくれているのでやりやすいです。見てくださる方から声をかけられることもありますし、やってみてよかったと思います。
──今はどのような人に見てほしいと思っていますか?
みんなに見てほしいです(笑)。
──藤田プロをきっかけにゴルファーを目指す選手もいますよね。
そうであるとうれしいですね。番組では、衣装をチェンジして、かわいいウェアを着ることもあります。試合ではあまり着ないものもあるので、私としては、同年代の女性に見てもらえたらすごくうれしいです。これからゴルフを始める20代、30代の女性ですね。レッスンより、まずは雰囲気からゴルフに入ってもらってもいいと思っています。
──試合でウェアを着こなすポイントはありますか?
試合ではなるべく濃い色を着用しています。黒やネイビー、赤、黄色などをよく着ますね。逆に番組では、パステルカラーや薄いピンクなど、女子っぽいものを着ようと思い、自分で選んでいます。メイクさんにもイメージを伝え、髪型やバイザーをかぶったりしながら、毎回少しこだわっています(笑)。
──藤田プロは人気が高く、インスタグラムのフォロワーは6万人もいますよね。
ありがたいですよね。さすがにそれほどの数字になるとは思っていなかったのですが、番組を始めたときや、2019年のステップアップツアーのユピテル・静岡新聞SBSレディースを勝ったときなど、何かきっかけがあると急激に増えています。
──「美人ゴルファー」という取り上げられ方もしますが、実際はどのように感じていますか?
本音としては、あまりうれしくないですね(笑)。プロになり始めた頃は、若かったし、そう言ってもらえることもありがたかったのですが、今は客観的に見てそこじゃないというか……。
──今は、プレーもうまく、なおかつ華やかな選手が多いですよね。
そう思います。みなさん身だしなみがしっかりしていますよね。私は(大西)葵のようなばっちりメイクはできないですけど(笑)。
──大西プロとは仲が良いですが、本当にお2人は雰囲気が違いますよね。
全く違うと思います。性格もそうですし、メイクにしても、私はナチュラルじゃないと合わないというか、彼女のようなしっかりメイクが似合うことはうらやましいです。
──性格も違いますよね。
葵はせっかちですよね(笑)。最初は何を話しているか聞き取ることが難しかったのですが、最近、慣れてきました。ゴルフ場からあっという間に帰ってしまうし、私とは違ったマイペースですね。初めて会ったときは「怖っ!」と思ったのですが(笑)、今では一番話が合う相手です。プライベートでもいろんな話をしますね。
ウェアを着るワクワク感は誰にでもある
──藤田プロはいつからCallaway(キャロウェイ)と契約していますか?
プロになってすぐです。とはいえ、小学校の頃からモニターでお世話になっていましたし、小学校4、5年生くらいで使っていたクラブも全部キャロウェイ。小学1年生で初めて買ってもらったゴルフセットもそうでした。
──キャロウェイ一筋ですね。このブランドへのイメージは?
表現が正しいかわからないですが「王道」という感じです。ゴルフをされている方はみんな知っていて、クラブも幅広い種類があり、どんな方でも使いやすいし、ウェアもオシャレです。
──どんなウェアが好きですか?
スポーティからガーリーまで振り幅があって、3日間の大会で、初日と3日目で全然、印象が違うウェアを選べたりするのはすごく好きです。
──今日のウェアはいかがですか?
この春夏の新作で、スポーツ系ですね。動きやすいですし、かっこいい。私がステップアップツアーで勝ったときは、今日のようなスポーツ仕様の素材で、シュッとしたかっこいいウェアを着ていました。どちらも着ますが、今はどちらかというと、フリフリの柄がいっぱいで、なおかつ色がはっきりしているウェアが好きですね。
──藤田プロにとってウェアはどんな存在ですか?戦闘着という感覚ですか?
まさに、私はそうしたイメージをもっています。ゴルファーには、一週間の最初に着るウェアを決めておく人もいますが、私はその日の朝の気分で決めるタイプです。「今日はこれを着たい!」と。なので、毎回ほぼすべてのウェアをスーツケースに入れて持ち歩いています。シャツであれば、だいたい2、30枚は入れていますね。
──それはすごいですね。着たいと思ったときに持っていないのが嫌だと。
そうです。単発の2日間の大会とかでも、とりあえず6着くらいは持っていきます。前日から決めていても、結局、朝起きたときの気分で変えてしまうので、ウェアを選ぶ作業自体がルーティーンのようですね。
──一般の人にとってもウェアを選ぶ楽しさはありますよね。
そう思います。まずは、ウェアを買いに行くところから楽しいですよね。それに、白いスカートを1着持っていれば、上を変えることで印象も変わりますし、着回しも楽しめます。かわいいとか、かっこいいウェアを着られるワクワク感は誰にでもあると思います。私は、ゴルフ場でキャロウェイを着ている人に「サインください!」と言われると、すごくワクワクします。本当にキャロウェイが大好きなので。
──藤田プロは、昨年からゼビオホールディングス所属選手となりました。
それも良いご縁をいただきました。よく利用していたお店でしたから、お話をいただけてありがたかったですし、うれしかったですね。今でも普通にゼビオグループのお店でトレーニングウェアを購入することもありますし、スポーツ店やゴルフショップに出かけるのは好きです。今日取材でお邪魔している、ゴルフショップの「Double Eagle」は雰囲気がすごく良いですよね。初めて来店したときはすごくビックリしました。一般のお店では見かけないようなアイテムもありますし、種類も多いし、キレイですし。ゴルフが大好きな人たちにピッタリですよね。
──では、これからゴルフを始める方にメッセージをいただけますか?
ゴルフを始めるきっかけは「楽しい」という気持ちが一番だと思います。ウェアでも、クラブでも、もちろん私の番組でも(笑)。今はゴルフを始める方が増えていると聞きますし、それぞれのゴルフライフを満喫してほしいですね。練習場にも若い方が増えていますし、楽しんでいる姿をたくさん見ることができて、私もうれしく思っています。
──最後に、藤田プロを応援するファンの方へのメッセージもお願いします!
今は、新しいコーチと一緒に気持ちも前向きに取り組んでいます。コロナ禍で昨年から試合数が減っていますし、会場で観戦できないことも多いですが、SNSなどを通した応援で力をもらっています。会場でまたみなさんとお会いしたいですし、変わらずに応援していただけたらうれしいです。
■プロフィール
藤田光里(ふじた・ひかり)
1994年9月26日、北海道生まれ。
3歳から競技を始め、2013年にプロテストに合格。同年、国内女子ツアーの来季出場権をかけたファイナルクオリファイングトーナメント(QT)をトップ通過し、さらに「LPGA新人戦加賀電子カップ」でプロ初優勝と華々しくデビュー。2015年のフジサンケイレディスクラシックでは、最終18番ホールでバーディを獲ってツアー初優勝。同年は賞金順位を18位まで上げた。その後、ケガに苦しみ、2018年には左ひじの手術を敢行。徐々に復調の兆しを見せ始めると、2019年にはステップアップツアーにも参戦し、ユピテル・静岡新聞SBSレディースで優勝。現在は新しいコーチと共に、ツアーでのさらなる活躍を目指して研鑽を積んでいる。
Instagram
https://www.instagram.com/hikari.fujita_official/
藤田光里のゴルフ偏差値向上委員会
http://www.teletama.jp/golf-hensachi/
■クレジット
取材・構成:北健一郎、本田好伸
写真:浦正弘
取材協力:Double Eagle銀座店
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