【センバツ2日目投打のMVP】代替出場の近江・山田が165球完投!広陵の内海は“火の出るような”打球スピードが圧巻だ
雨で1日遅れの3月19日に開幕した選抜高校野球。プロのスカウトも注目する選手も多いが、その中でも見事な活躍を見せた投手、野手を毎日その日のMVPとして選出する。大会2日目は以下の選手となった。
■投手MVP
山田陽翔(近江3年):13回、被安打7、2失点(自責点2)、10奪三振、7四死球
昨年秋は故障で登板がなく、今大会も京都国際の辞退による代替出場となったが、そんな不安を全く感じさせない投球で延長13回を1人で投げ抜き、チームを勝利に導いた。ストレートは延長13回でも140キロを超え、今大会ここまでで最速となる146キロをマーク。そして、そんなストレート以上に素晴らしかったのがカットボールとツーシームだ。
どちらもストレートと変わらない腕の振り、ボールの軌道から打者の手元で鋭く変化し、打者のバットは度々空を切った。テイクバックで右肩が下がるのは気になるが、その分ボールの角度も出ているように見える。最後は自分のバットで試合を決め、打者としても非凡なところを見せた。
■野手MVP
内海優太(広陵3年・3番・右翼手):5打席4打数3安打2打点1盗塁
4番を打つ真鍋慧(2年・一塁手)も素晴らしかったが、この日の活躍という意味ではわずかに上回ると判断し、3番の内海を選出した。
体の前でバットを構え、少し独特の動きでタイミングをとるが、始動が遅く、ボールを長く見ようという意識が強く感じられる。外の誘うようなストレート、変化球を完璧に見切り、中に入ってきたボールを逃さずに完璧にライト方向へ引っ張って見せた。
内角の厳しいコースを引っ張ってファウルにできるのも大きな長所だ。打球の速さはまさに“火の出るような”と形容したくなるほどで、あっという間にライトへ到達。常に長打が出そうな雰囲気が漂っており、よほどの球威がなければまともなストライクを投げることは難しいだろう。2回戦以降ではスタンドへ放り込む一発にも期待したい。
文●西尾典文
【著者プロフィール】
にしお・のりふみ。1979年、愛知県生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。アマチュア野球を中心に年間約300試合を取材。2017年からはスカイAのドラフト中継で解説も務め、noteでの「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも多くの選手やデータを発信している。
【関連記事】同世代の大谷翔平は遠い存在に。どん底を味わった北條史也が、いま牙を研ぐ理由「無理やったら終わり」
【関連記事】追い込まれた藤浪晋太郎が“エゴ”を貫く理由。苦境でも忘れなかった「野球やっているなかで気持ちのいい瞬間」
Follow @ssn_supersports