ブロックの固い守備型の選手を打ち崩す方法|頭で勝つ!卓球戦術
卓球プレーヤー向け ブロックの固い守備型の選手を打ち崩す方法|頭で勝つ!卓球戦術
2022.03.18 文:若槻軸足(卓球ライター)
卓球ライター若槻軸足がお届けする「頭で勝つ!卓球戦術」。今回は、「守備型選手に勝つための戦術」というテーマでお話していく。
卓球には同じルールの元で様々な戦い方があることも魅力のひとつだ。最もポピュラーなのは攻撃を主体として得点を重ねるプレイヤーだが、台から離れて粘りまくるカットマンという戦型もある。そしてカットマンのように台から離れることなく、前陣で守備を固めて勝つスタイルの選手もいる。
今回はそんな、前陣でのブロックプレーを得意とする守備型の選手を打ち崩す方法について、一緒に考えてみよう。
このページの目次
- [7 若槻軸足が書いた記事はこちらから]()
守備型選手の特徴
まずなんといっても守備型の選手の特徴は、高いブロック力だ。こちらがどんなに威力のあるボールを打ち込んでも、前陣で何本もブロックが返ってくる。打っても打っても崩れない鉄壁の様は、多くの対戦相手の心を折ってきたことだろう。基本的には自分から強いボールを打つことよりも、鋭くコースを突いたツッツキだったり、ブロックをしてからの上回転のラリーで主導権を握ることを得意としている選手が多い。
守りが得意な選手と聞くと、類まれなる反射神経でどんなボールにも反応できるといったイメージを持ちがちだが、必ずしもそうではない。打たれる前のボールを的確なコース、的確な球質で送って、打球コースを限定させることに長けているのだ。攻める側からしたら、「どこに打ってもその場所で待たれている」といった感じだ。
さらには相手の体勢や癖だったりをよく観察して、打たれるコースを予測する能力にも優れているといえる。
googletag.cmd.push(function() { googletag.display('div-gpt-ad-1579223839841-0'); });
## 守備型選手に勝つ戦術①:とにかく下回転を起こさせる
ではここからはいよいよ守備型選手を倒す為の戦術について考えていこう。まず意識したいのが、「下回転のボールを打たせる」ということだ。下回転のボール、つまりツッツキやカットといったボールに対して上回転をかけてドライブをすることは、卓球の基本的な攻撃手段だ。
ただし、「下回転に逆らって上回転をかける」という行為自体には、実は相当なエネルギーが必要となる。そのためこれを不得意とする選手も多いわけだが、守備型の選手もこれに当てはまることが多い。下回転のボールに対して威力のあるボールが打てないからこそ、守って得点をするというスタイルを確立しているとも考えられる。
であれば当然、相手に下回転を打たざるを得ない状況へ持っていくことをまず念頭に考えてみよう。
こちらがサービスを持っているときは基本的に下回転を出し、ストップやツッツキでレシーブされたなら、それを相手フォア側にツッツキをしてドライブを打たせるのだ。おそらくそこまで威力のあるボールは来ないはずなので、甘ければカウンターを仕掛け、そうでなければきっちりブロックをしてからの展開にもっていこう。あるいはもちろんバック側へツッツいてもよいだろう。
とにかくまずは相手が苦手としている「下回転のボールを上回転にする作業」をさせるところを意識してみよう。
守備型選手に勝つ戦術②:無理に打ち抜こうとしない
続いてラリーに持ち込んでからの考え方だ。守備を固めた選手に対して、攻撃をして得点をしようというのはあまり得策ではない。サッカーでも相手が引いて守っているときに、正面突破でこじ開けるのは相当難しいはずだ。もちろん、相手の守備を上回るだけの圧倒的な攻撃を繰り出せればよいのだが、現実的にはなかなか難しい。
そのため守備型の選手に対しては、簡単に強いボールを送らずにラリーで粘って粘って我慢して、ここぞというチャンスを伺うやり方が鉄則となる。これはカット打ちにも共通している。いわばカットをしないカットマンと戦う、とでも言えるだろうか。
なぜ強いボールを打つといけないのか。ボールに威力を出すためにはそれなりに体を大きく使う必要があり、当然そのあとの「戻り」にも時間がかかる。そしてそれを連続で行えばエネルギーも大きく消耗することになる。
基本の練習の中で、片方が連続でドライブをし、片方がそれをブロックするというのは誰しも経験があるだろう。御存知の通り、打つ方はとても疲れるが、ブロック側はほとんど疲れないわけだ。こちらが頑張って打てば打つほど体力を消耗し、相手の手のひらの上で踊らされることになる。
なので、チャンスボールだと思っても、相手が万全の体勢で待っているのならば、そこはぐっとこらえるべきなのだ。普段なら打ちたくなるところを我慢して、相手に強打されない程度の返球で粘って、なんとか相手に先にミスをさせる、あるいはラリーの中で相手の体勢が崩れた際を見計らって、ここぞというチャンスのときにだけ威力のあるボールを打つ。そういった考え方がとても大事になってくるのだ。
もうひとつ大事なのが、徹底的にフォアを突くということだ。
基本的に、守備と言えばバックハンドだ。バックハンドはボールを正面から見て捉えるので、ボールの前後左右の細かなズレにも対応しやすいし、ラケット角度の調整で狙い澄ましたコースへ返球することも容易い。そのため、安易に守備型選手のバックに送ると、すぐさまフォアに飛ばされてそこから左右に揺さぶられる、というよくある展開になりかねない。そうならないためにも、いつも以上に意識的にフォアへ送ることを考えたい。
加えて、フォアへ送れば相手を台から下げさせることもできるが、バックへ送っているだけではそれもなかなか難しいだろう。ときたま「フォアへ送るのは怖い」といった意見を聞く。当然フォアハンドで強いボールを打たれる可能性があるからであり、至極納得がいく。ただ、その不安を乗り越えてフォアを狙っていく方が、バックばかりを狙うよりも試合を通して効果的であることは間違いない。
ともすれば、サービスからフォアストレートへのロングサービスを多用することだって有効である。特に守備型の選手の場合は、ツッツキやバックハンドから展開を作っていくことを得意としているので、最初にフォアハンドを打たせるようにすれば相手のリズムを上手く崩すことも期待できるだろう。
Follow @ssn_supersports