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長友佑都が成功した秘訣とは?サッカー海外組に求められる、語学力より大事なこと

サッカー日本代表の元監督であり、世界的な名プレーヤーであったジーコ氏の通訳を長年に渡って務めてきたのが、鈴木國弘さんです。前回の記事では鈴木さんがブラジルへ渡った経緯やジーコ氏からの教えについて話していただきました。

今回も引き続き、ポルトガル語の通訳をしている中でぶつかったトラブルやブラジルでの出来事について語ってもらいます。そして、サッカー日本代表・長友佑都選手の移籍にまつわる裏話、そして彼が海外で成功した理由についても言及されています。

同じ言語でも地域で全く音が違う

かつて鹿島に所属したレオナルドから言われたのは、『お前はジーコと同じしゃべり方をしているな』と。1日何時間も一緒にいると、自然にジーコの言葉をコピーする形になっていくんですよね。彼によってプロのサッカーの言葉を習得していったみたいな。そうすると、ボキャブラリーが増えていくという流れができていきました。

ポルトガル語でも地区によって発音が少し違うところがあるんですよね。僕が聞いていたのはリオの言葉で、ジーコはきれいな発音をする。ですから、ものすごく聞き取りやすい。ですがサンパウロの田舎から出てきた選手だと『英語をしゃべっているんじゃないか!?』というような感覚でしか聞こえない。ポルトガル本国の言葉も全然違います。

昔、フラメンゴとポルトとアントラーズで試合をした時があって、全部ポルトガル語が通じるので「全部俺が(通訳を)やりますよ」と言ったんです。キリンカップの出だしの頃ですね。ポルトとフラメンゴの会長と監督がいて、ジーコが鹿島の代表として出ていました。最初、ポルトの会長から話が始まったのですが、本当に言葉が入ってこない。聞きにくい音でそれまで聞いたことなかったから、これはまずいと思いました。

そこで、ジーコのところにいって「本国のポルトガル語を俺にブラジルでの発音に訳してくれ」と言いました。本人は『ええっ』と驚いた顔をして、記者は大笑いしているわけです。『こいつ、何やってんだ』みたいな。日本の青森弁と、沖縄の言葉くらい違う感じです。とにかく言葉が入ってこなかったですね。

ブラジル人は頭の回転が早い

自分がブラジルに行った当時、ジーコはもう大スターでしたから。その人と十数年後に仕事するなんて考えられなかったですよ。ジーコと一緒にブラジルへ仕事にいくと、公園に連れて行かれて、『こいつは俺の大ファンでフラメンゴのシャツ着て俺のこと応援していたんだ』と周りの人に話すんです。どこが面白いか分からないんですけど、ブラジル人にはツボみたいで、彼らは大笑いするんです。

ブラジル人からすると通訳ってよくわからない存在みたいなんです。『なんかジーコの横に日本人がいて、ジーコと同じような格好しながら日本語で話しているやつがいる』ということでブラジルで一度、話題になったんですよ。向こうのバラエティ番組か何かで私の真似をする企画みたいなのをやっていて、ジーコの奥さんがそれを見て面白いと思って、録画して送ってくれたことがありました。ブラジルに行ったらインタビューもされちゃって。向こうでは結構よくしてもらえましたね(笑)

よくジーコがなんでこれだけ日本にいて日本語ができないのか、と茶化されるんですけど、彼は『俺が日本語喋ったらあいつ(鈴木氏のこと)の仕事がなくなっちゃうじゃん』とよく言っていました。実は、ヒアリングはほとんどできるんですよ。 昔の話をすると、ヒデ(中田英寿)とジーコはイタリア語で話すんです。ジーコもイタリア語ペラペラだから。

でもミーティングの場とか公のところになると、ヒデもジーコも絶対にイタリア語を使わない。すべて通訳を介して、会話します。日本人のスタッフとバーへ言って日本語で話すこともあったのですが、公の場では一切日本語は使わない。

ジーコは英語は上手くないですが、フランス語、ポルトガル語、スペイン語、イタリア語と、頭を切り替えてその場でインタビューできるくらいのレベルまで話せるんです。 ブラジルって雑多な国だから違う民族同士が隣だったりするので、コミュニケーション能力はすごく高いんですよ。陽気なだけに見えるのですが、頭の回転がすごく速い人が多いし、その場の雰囲気を作るのがうまかった。そういう面白い国民です。

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