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ランニングシューズ『ニューバランス _FuelCell RC ELITE』『ニューバランス _FuelCell PRISM』

先日、箱根駅伝の予選会も終わり、冬に向けてロードレースのシーズンとなる。だがコロナ禍という例年とは違った環境の中で、今年これまでの陸上界でもっとも脚光を浴びたひとりが田中希実だ。153㎝という小柄な体にも関わらず、圧倒的な走りを見せ、3000m、1500mで相次いで日本新記録を樹立した。

彼女がこの記録を達成したときにはいていたのが、ニューバランスの“FuelCell 5280”というシューズ。今回紹介する「FuelCell RC ELITE」は、“FuelCell 5280”よりもマラソンなど長距離を意識して作られたシューズで、“FuelCellシリーズ”の完成版的なモデルだ。もう一足紹介するのが、「FuelCell PRISM」。トップランナーだけでなく、ランニング初心者でも、“FuelCellシリーズ”の走り心地を味わえる。

このふたつのランニングシューズを手がけたニューバランスは、1906年、アメリカのボストンで矯正靴を製造するメーカーとして誕生した。ランニングシューズをはじめて世に送り出したのは1938年。世界ではじめてウィズ(足囲)を選べるランニングシューズを開発したことでも知られる。その後も、時代やランニングシーンの変化に合わせて、数々の名作を開発してきた。またタウンファッションに欠かせないスニーカーとしても、絶大な支持を集めているのはご存じの通りだ。

ニューバランスのランニングシューズの中で、ハイエンドとボリュームゾーンを担う、このふたつのモデルについて話してくれたのは、ニューバランスジャパンのフットウェアプロダクト部で商品企画を手がける小塚陽一さん。競技を目指すのではなく趣味として、入社後からランニングをはじめて7年が経つ。

「トップランナーが求める品質、そして彼らがこのシューズをはいて結果をだせるか。彼らがトレーニングで培ってきたものをしっかりサポートできるシューズでありたい」と小塚さんが考えてきた理想がカタチとなった「FuelCell RC ELITE」。名前の通り、誰でもがはきこなせるランニングシューズではなく、マラソンや駅伝でトップを目指すような鍛え上げられたランナー向けと言える。

その最大の特徴はミッドソールにある。弾む乗り心地と称される軽量で反発力のある、ニューバランス独自の“FuelCell”が違いを見せるのだ。従来のミッドソールはEVA素材を金型に入れて、熱や圧力によって成型していた。この製造方法は成型しやすく、大量生産にも適している。だが小塚さんはこのプロセスをポン菓子を作るような感覚だという。ところが“FuelCell”はEVA素材ではなく、ポリウレタンやナイロンを小さな圧力釜に入れて、頃合いを見ながら巧みに圧力と熱を加えていく。この新たな素材や製造方法が、これまでよりも高い弾力性や反発力を生み出し、ランナーが願う、速く走りたいという欲求を満たすことになった。

そんな優れたミッドソールに、さらにトップランナー向けにふさわしいワザが加えられている。それはミッドソール内に埋め込まれたカーボンファイバープレートだ。これは梃の原理を応用したもので、前足に体重がかかると、カカトがもち上がりやすくなるような仕組みになっている。これによって走るときの推進力をより得やすくなることになる。厳しいトレーニングを積み重ねてきたランナーであれば、実に心強いサポートだ。

ほかにもアウトソールには、天候に左右されやすいロードレースでも、濡れて滑りやすい路面をしっかりグリップするDYNARIDEを採用。アッパーは通気性の高いメッシュで、ムレにくく、同時に抜群のフィット感を生み出す。そしてアッパーのシンボリックなフライングNBのロゴはデザインだけでなく、メッシュの余計な伸びを防ぐ役割も担っている。まさにハイエンドならではのこだわりにあふれているのだ。

「FuelCell RC ELITE」をはくのはいわゆるエリートランナー。だが小塚さんは「健康志向の高まりもあってランニングをはじめた人が、走ることを好きになってもらえるようなシューズ作りも大切にしています」と語るだけに、週末、公園などを走るような一般的なランナーにも目を向けたシューズ、「FuelCell PRISM」への思いも当然ながら深い。

「FuelCell PRISM」はランニング初心者からトップランナーのトレーニングまで、幅広い層をターゲットにしたランニングシューズだ。「FuelCell RC ELITE」をはきこなすようなエキスパートではなくても、早く走りたいという潜在的な欲求は変わらない。そこに応えるべく「FuelCell PRISM」は作られている。

その構造の最大の特徴は、「FuelCell RC ELITE」と同様にミッドソールにある。ただ、シューズをはくのがトップランナーではないことを想定して、弾力性や反発力をやや抑えている。“FuelCell”自慢の弾む乗り心地に、誰でもが感じるはきやすさ、走りやすさが加味された。またミッドソールの中に埋めこまれたカーボンファイバープレートが取り除かれているのも、このシューズのターゲット層を考えての配慮だ。

さらにエントリー層を意識して、より安定感を高めるアイデアも取り入れられている。カカトから土踏まずの部分にかけてのミッドソールが、ほかの部分よりも硬めに仕上げられているのだ。これは故障の原因となる、着地するときに足が内側に倒れこむことを防ぐために考えられた構造だ。

これによってミッドソールの“FuelCell”ならではの、足が前に出る感覚を体感しながら、しつかりとホールド感があり、ソールの計算された反り返りの効果も加わって、カカト部分が安定して、滑らかな接地感を生み出す。こうした一般ランナーの走りのための工夫は随所に見られる。

ここまでランニングシューズの話を聞いていると、この世界の著しい進化や優れたテクノロジーには目を見張るばかりだ。だが小塚さんはことさらにシューズが注目されることに違和感を覚えるという。「ランニングシューズに必要なのは、ランナーが気持ちよく走れるように支えること。リスペクトすべきは、トレーニング、競技会に挑むアスリートの気持ちです。シューズはそれをサポートできればいいのです」。

ニューバランスの2足のランニングシューズからうかがわれる、ランナーとシューズが尊重し合う幸せな関係性。ここから、さらに優れた記録が生まれ、また走ることが好きになる人がどんどん増えていく未来が見えてくる。

※「FuelCell RC ELITE」へのオンラインストアはこちら

※「FuelCell PRISM」へのオンラインストアはこちら

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