浅田真央選手の写真です。
2011年12月にカナダで行われた、グランプリファイナルのときのものです。練習日に自分の練習の後、普段はそんなことはないのですが、男子の練習をスタンドから見ていました。
周りの子どもたちにサインをねだられたりして、ひと通りそれが終わると、こっちに気がついてふと笑顔を見せてくれたんです。
小さい頃から注目されて、日本全国、彼女のことを嫌いな人はいないだろうという人気者。ただ、演技に関しては常にジャンプの質がつきまとい、やはり成功させなきゃということで、いつもかなりのプレッシャーがあったと思います。
大変だなと感じていたのですが、そんなときにこうしたリラックスしたところを見たりすると、こちらも安心するようなところがありました。
じつは、このときはお母さんの具合が悪くなり、大会には出場せずにこのあとすぐに帰国しているんですよね。その後お母さんは亡くなられてしまいました。
そんな大変な状況だったのに、こうしてカメラマンに笑顔を見せてくれるなんて… と思いました。この大会では、この笑顔の記憶しかありません。
▼岸本勉（きしもと・つとむ）
1969年生まれ、東京都出身。10年余りスタッフフォトグラファーとして様々な国内外のスポーツイベントを撮影。2003年に独立、「PICSPORT（ピクスポルト）」を設立。良くも悪くも人の記憶に残る写真を撮ることを心がけている。オリンピックは夏季冬季合わせて13大会、FIFAワールドカップは7大会、ほか国内外問わず様々なスポーツイベントを取材。2015年FINA世界水泳選手権カザン大会より、オフィシャルFINAフォトグラファーを担当。国際スポーツプレス協会会員（A.I.P.S.）／日本スポーツプレス協会会員（A.J.P.S.）
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