セレッソ、攻めのコロナ禍戦略…「なんかせなあかん!」プロジェクト
「なんかせなあかん!」
新型コロナウイルスの影響によって中断されたJリーグ。チケット収入がなくなってしまった現状を打破するために今、各クラブがさまざまな施策を打ち出しています。
中でも、セレッソ大阪は2020年6月以降すでに4つの企画を実施しており、注目を集めています。セレッソ大阪が全社をあげて取り組んだという、「なんかせなあかん!」プロジェクトとは?それぞれの企画への思いを株式会社セレッソ大阪事業部 営業グループ ビジネスプロデュースユニットの赤堀翔平氏、事業部 営業グループ ファンマーケティングユニットの三上万有香氏、事業部 営業グループ ビジネスプロデュースユニットの野口直人氏に聞きました。
(取材日:7月31日 聞き手:竹中玲央奈)
30万円の応援バナーが売れた
ー今回の「なんかせなあかん!」プロジェクトが誕生した経緯を教えてください。
野口:コロナの影響で、クラブ全体の収益がマイナス約10億円の赤字になりました。チケット収入などがなくなる中、その名の通り「なんかせなあかん」と思ったのがきっかけです。
三上:そこで2020年4月下旬、部署を超えて2種類の収益改善チームが結成されました。収益を上げるための施策を考えるチームと、削減を図るための施策を考えるチームです。2チームのメンバーが中心となって、社内で様々な意見を出し合いました。その結果生まれたのが、今回のプロジェクトの企画です。
ーどれくらいの案が出たのでしょうか?現在の状況下で、できることも限られていたと思いますが。
三上:150〜160個くらいですね。案自体は全社で募集して、その中から絞っていきました。
“ピンクに染まった”座席に感謝の挨拶をするセレッソの選手たち
ーまず第一弾が、「長居をピンクに染めよう〜桜開花宣言」でした。
野口:1,000円のパネルメッセージコース、5,000円の座席Tシャツコース、30万円の応援バナーコースを用意しました。
ー30万円とは、すごい金額ですね。
野口:そうなんです。われわれとしても、かなり思い切った価格設定でした。でも、もともと企画の目的が収益を改善することだったので、しっかり単価が高いコースも作ろう、と。
もちろんわれわれも、自信を持って30万円といえる内容を準備していました。選手の寄せ書きフラッグ、スペシャルサンクスサポーターとしてホームページへのお名前の記載、スペシャルチケット型カードの贈呈など。ですがかなり早いペースで3、4個売れたので、正直びっくりしましたね。最終的には、30万円の応援バナーが10個売れました。
ー第一弾をやり終えて、サポーターの方々の反応はいかがだったのでしょうか?
野口:とても良い反応をいただくことができました。ホームページなどでも森島社長自らトップに出てくれて。
赤堀:クラブが「面白いことをしようとしている」ことが、まず伝わったと思います。売れる初速もかなり早かったので、待ってくださっているファンやサポーターの方々の存在に改めて気づかされました。
デジタル活用への挑戦
ー第二弾、第三弾が、ギフティング企画でした。
赤堀:これは、DAZNで過去の試合のアーカイブ映像を観戦しながら、当時出場していた選手たちのライブ配信をお楽しみいただくといったものです。2010年のJ1第12節vsヴィッセル神戸戦、2017年ルヴァンカップ決勝のvs川崎フロンターレ戦の合計2回実施しました。
ーライブ配信のパートナーとして、エンゲート株式会社さんを選んだ理由は何だったのでしょうか?
赤堀:エンゲートさんの場合、お金そのものを投じるという“ギフティング感”がないんです。スタンプ感覚でギフトを送ることができるため、親しみやすいのではないかと考えました。
ただやってみて、課題もたくさん見えました。いずれにせよ、DAZNを視聴しながらもうひとつのデバイスでライブ配信を見ることになるので、かなり手間がかかる印象でした。また、DAZNの映像には人それぞれ時差があって、試合の映像とライブ配信の映像が連動しないこともありました。こういったギフティングは、リアルタイムだからこその価値があると思うので、今後改善していかなければなりません。
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