「“大学で強くなった”と言われる環境を」強豪・中央大学卓球部男子の練習に潜入
卓球インタビュー 「“大学で強くなった”と言われる環境を」強豪・中央大学卓球部男子の練習に潜入
2021.10.13 取材・文:山下大志(ラリーズ編集部)
自由になる大学生活では、高校時代に全国で名を馳せたプレーヤーが堕落し、消えていく場面をこれまで良く見てきた。では逆に強くなる大学というのはどういう環境なのだろうか?
今回は、関東学生リーグ1部で戦い、全国大会でも上位に入る中央大学卓球部男子の練習にお邪魔した。新キャプテン橋本一輝(3年・愛工大名電高出身)、チームのツインエースである小野寺翔平(3年・専大北上高出身)、浅津碧利(3年・エリートアカデミー/帝京高出身)、白神俊佑監督に話を聞いた。
【中央大学卓球部男子】関東学生リーグ1部に所属する強豪校。宮本幸典(リコー)、弓取眞貴(日野自動車キングフィッシャーズ)、定松祐輔、一ノ瀬拓巳(ともに日鉄物流ブレイザーズ)ら日本卓球リーグの実業団に数多くのOBを輩出している。2017年には宮本/定松ペアが全日学男子ダブルスで優勝。このページの目次
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新主将・橋本が思い描くチーム構想
まずは、柏友貴(4年・関西高出身)からキャプテンを引き継いだ橋本(3年・愛工大名電高出身)に話を聞いた。新キャプテンとしてどのようなチームを目指すのだろうか。
写真:橋本一輝(中央大)/撮影:槌谷昭人——キャプテンとして中央大学をどうしていきたいですか? 橋本一輝:リーグ戦では4位、インカレではベスト8などで終わることが多いです。 でも、それ以上の力はみんな持っていると思うので、ワンランクアップできるようにどう変えていけるか。そこを試行錯誤していきたいと思います。
——具体的には? 橋本一輝:小野寺、浅津がツートップで強いので、僕も含めてみんなそこに頼っているところがあります。 でも、下の選手がワンランクアップして、彼らもそれに負けないように強くなって、という循環になれば最高の形とは思っています。
浅津碧利「小野寺は卓球に情熱がすごい」
続いては、エリートアカデミーから中央大に進んだ浅津。ツインエースとして小野寺とともにチームを引っ張っている。
写真:浅津碧利(中央大)/撮影:槌谷昭人——同期の小野寺選手の存在は? 浅津碧利:かなり大きいです。小野寺は卓球に情熱がすごくて、本気で卓球一筋なんですよ。自分より強いというか、高みを目指している人がいると、こっちも刺激を貰えるので頑張れます。
——今後の目標は? 浅津碧利:大学卒業後も卓球ができる企業に勤めたいと思っています。 全日学でまず結果を残してアピールできたらなと。もちろん優勝を狙います。どの大会でもちゃんと良い成績残せるように頑張りたいです。
写真:浅津碧利(中央大)/撮影:槌谷昭人## 小野寺翔平「Tリーグでプレーすることが今の目標」
小野寺にも話を聞いた。小柄ながら粘り強くガッツあふれるプレースタイルで戦い、卓球へ熱い思いを持つ中央大の主力選手だ。
写真:小野寺翔平(中央大)/撮影:槌谷昭人——同期の浅津選手とチームを引っ張っていますが、彼の印象は? 小野寺翔平:浅津はプレーでも引っ張ってくれますし、技術もすごいです。 この3年間一緒にダブルスを組んで戦い続けて、ライバルでもあるし戦友でもあるし、刺激を受けています。
写真:インカレでの浅津碧利(写真奥)・小野寺翔平(中央大)/撮影:ラリーズ編集部——浅津選手は「小野寺選手の卓球への情熱がすごい」と。確かに見ててもそう思います。どうしてそこまで頑張れるんですか? 小野寺翔平:僕も試合勝てないときとかは諦めたくなったり、やりたくないなと思ったりはします。でも、そこで諦めたら終わりだし、人が強くなるのは辞めたくなるようなどん底のときにどういう行動をするかだと僕は思ってます。 家族や友達などいろんな人の支えがあって、そういう人たちの想いも込めて練習に打ち込んでいるので、自分は弱いですが、最後まで諦めないで頑張り続けることができます。
写真:東京優勝大会(東京選手権代替大会)では男子シングルスで優勝した小野寺翔平(中央大学)/撮影:ラリーズ編集部——今後の目標は? 小野寺翔平:今年の全日学シングルスは絶対優勝して、全日本もランク以上を目標にやっています。 最終的には、Tリーグでプレーすることが今の目標です。
——おお!Tリーグが目標なんですね! 小野寺翔平:大学に入ってから、実業団や最近はTリーグのチームの練習にも行かせてもらっています。 そういうトップ選手はすごいと思うんですけど、自分としてはそういう選手に勝ちたい欲の方が強い。
今は実力がないのもわかってます。でもこのまま僕は誰よりも練習して、絶対に勝つという覚悟があれば、必ず達成できる目標だと思っています。
写真:小野寺翔平(中央大)/撮影:槌谷昭人## 白神監督「プロが育つ環境を」
最後は、中央大を率いる白神俊佑監督だ。Tリーグ男子・岡山リベッツの白神宏佑監督を兄に持ち、岡山・関西高校時代にはインターハイでダブルス優勝を果たしている。
写真:中央大学卓球部男子監督の白神監督/提供:中央大学卓球部——小野寺選手を見ていると、中央大の選手は入ってから強くなるイメージがあるんですが、監督としてはどう見られてますか? 白神監督:そう言ってもらえると嬉しいです。 入ったからにはなるべく全員が「大学で強くなったな」と言われるような環境作りや指導をしていきたいとずっと心に置いてます。
写真:中央大学卓球部男子監督の白神監督/提供:中央大学卓球部——具体的な環境作りで何かされてることはありますか? 白神監督:卓球で食っていこうというくらい意欲がある選手の方が強くなります。なので、プロになれる、なるチャンスがある環境を頑張って作ってあげたいなと思っていて、海外とのコネ作りも頑張ってることの1つではありますね。 ——海外と言うと…? 白神監督:一度スペインを視察して、現在スペインリーグのチームにすごく好意にしてもらっています。 過去には一ノ瀬(拓巳・日鉄物流ブレイザーズ)、弓取(眞貴・日野自動車キングフィッシャーズ)、小野寺(翔平・3年)、浅津(碧利・3年)と参戦しました。今は、コロナで行けないんですが、行った選手は凄く変わりますね。
——中大から海外リーグへ選手を送り込んでいたんですね! 白神監督:頑張ろうと思ったら、海外行って勝負もできる、そんな環境作りをして、プロを目指せるような環境ができるといいなと思ってます。
写真:中央大学卓球部男子監督の白神監督/提供:中央大学卓球部白神監督:卓球で生計を立てるプロ選手を輩出できるようなチームになれたらと、「プロを輩出してるの?」とか「海外行かせてくれる大学なの?」とかチームの印象も世間的に変わると思うんですよね。 もちろん強い選手をいっぱい獲って、お金をかければ早いんですけども、そうじゃなくて、そういう選手が育ってプロを選ぶというチームにしたいですね。
写真:中央大学卓球部の練習風景/撮影:槌谷昭人選手が先を目指せる環境を開拓する白神監督と、小野寺を中心に、情熱をもって切磋琢磨していく選手たち。
大学で強くなる理由がそこにあった。
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