「スーパースターの基準をはるかに下回っている」米記者がハーデンのプレーオフの“勝負弱さ”を指摘<DUNKSHOOT>
フィラデルフィア・セブンティシクサーズは、現地時間2月10日に“不良債権”と化していたベン・シモンズを放出してブルックリン・ネッツからジェームズ・ハーデンを獲得し、ジョエル・エンビードとの強力デュオを結成させた。
1982−83シーズン以来のリーグ優勝に期待がかかるが、米識者は元MVPの“不吉な兆候”を指摘している。ハーデンのシクサーズ行きは、トレード期限最終日において最大のトピックだった。シモンズのほかに、シューターのセス・カリー、元リバウンド王のアンドレ・ドラモンドを手放すことになったとはいえ、史上8人目の3年連続得点王(2018~20年)に輝いた経験を持つ現役屈指の攻撃的ガードを獲得したことで、シクサーズは“トレード市場の勝者”と評価されている。
リーグトップの平均29.5点、同8位の平均11.2リバウンドと、MVP級の活躍を見せているインサイドのエンビード、代名詞のステップバック3ポイントを軸にアウトサイドからもドライブでも得点を奪えるハーデン(今季平均22.5点、10.2アシスト)のコンビは、理論上は現在随一の破壊力を誇ると言っていい。
しかし、『ESPN』のザック・ロウ記者は自身のポッドキャスト『The Lowe Post Show』で、シクサーズがマイアミ・ヒート、シカゴ・ブルズらイーストの上位を破ってNBAファイナル進出を目指すうえでの不安材料を指摘している。
「メディアはポストシーズンのある1つか2つの瞬間に固執して、そこに至るまでの良い出来事をすべて忘れる“罪”を犯すことがある。例えば、レブロン(ジェームズ)がチャンピオンシップに勝つ前にそれが起こった。ハーデンに関して言えば、オクラホマシティ(サンダー)時代の2012年、サンアントニオ(スパーズ)とのカンファレンス・ファイナル(第5戦)でビッグショットを決めて以降、ポストシーズンでの実績に欠けている」
NBA13年目のハーデンは、デビュー以降すべての年でプレーオフに出場しているが、ファイナル進出経験のあるサンダー時代はケビン・デュラント(現ブルックリン・ネッツ)とラッセル・ウエストブルック(現ロサンゼルス・レイカーズ)に次ぐ3番手で、単独エースとなったヒューストン・ロケッツではファイナルに手が届かなかった。
レギュラーシーズンでは通算921試合で平均25.0点、FG成功率44.3%、3ポイント成功率36.2%なのに対し、プレーオフでは通算137試合で平均23.3点、FG成功率42.8%、3ポイント成功率33.2%と数字は落ち、シリーズ成績も通算13勝12敗となっている。
とりわけ、ロウ記者が目を向けたのがハーデンのプレーオフでの“勝負弱さ”だ。
「ハーデンの第4クォーターでの成績は、ビッグゲーム、勝ち上がりが懸かった最終戦、シリーズ2勝2敗で迎えたゲームにおいてはかなり悪い。勝負所・正念場の場面での成績が悪いんだ。プレーオフでベストゲームとされるほとんどは、3勝0敗、3勝1敗でリードしているか、3連敗、1勝3敗で負けている時だ。
ポストシーズンの第4クォーターは『3ポイントは打たせない、レイアップなら決められてもいい』という状況であげたレイアップの得点が多い。ポストシーズンの履歴書が美化されている。(彼への)批判に関しては、不公平でもなんでもない。近年のスーパースターの基準をはるかに下回っている。そこでやらなくてどうする!」
エンビードとシモンズの2枚看板では、カンファレンス準決勝の壁を越えられなかったシクサーズ。ハーデンがプレーオフで爆発し、新体制でNBAタイトルを手にすることができるだろうか。
構成●ダンクシュート編集部
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