【ブラジル戦前日WEB取材】“日本人”ピレス・イゴールの祖国への想い「29歳までプレーして学んだが、ブラジルには絶対勝ちたい」
彼にとっては、本当に悲願の舞台だった。
2009年にブラジルから来日して以来、絶対的な技術でチームを助け、日本フットサルにゴレイロの重要性を植え付けてきた張本人。いつからか慣れ親しんだ日本を愛し、日本人になることを望んだ彼は、2016年に日本国籍を取得し、日本代表にも選出。しかしその後、彼は難病やケガに見舞われ、フットサルを続けられるかさえもあやしい状況を過ごしてきた。
1980年生まれの41歳。ただでさえその年齢で世界最高峰のピッチに立つことがすごいのに、彼はあらゆる困難を乗り越えて、この舞台を迎えた。そしてラウンド16で、祖国と対戦することになった。
相手の監督とも親しい間柄。でも「ピッチのなかでは関係ない」
ブラジル戦を誰より待ち望み、心待ちにし、そして打ち破りたいと誓う男が、強い決意を語る。
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友人関係はピッチのなかでは関係ない
──生まれ故郷のブラジル代表とW杯で戦う今の気持ちは?
ブラジルに生まれ、29歳までプレーして、フットサルのことはそこでたくさん学びました。ですが今、僕は日本人。絶対にブラジルに負けたくない。僕たちは歴史をつくれる可能性がある。もし勝てば、初めて準々決勝に進める。すごいチャンスがある。僕の気持ちは負けたくない。絶対に勝ちたい気持ちがあります。
──相手のマルキーニョス監督とは親しいそうですが、楽しみですか?
マルキーニョス監督は、とてもいい人です。時々メッセージのやりとりをしますし、リトアニアに来てからも、少し、話すことができました。ただその関係は勝負には関係ありません。彼も(日本に)勝ちたい。僕もここに勝ちに来ています。いい試合をしたい。ピッチのなかでは関係ないので、2人とも100%、勝ちたい気持ちだと思います。
──2試合先発で出場しています。W杯に来てから日本の守備はよくなっている印象ですか?
スペイン戦は特に素晴らしいパフォーマンスでした。パラグアイのディフェンスは少しうまくいかないシーンもありましたが、僕たちは勝つチャンスはあったので、そんなに悪くはありませんでした。ブラジル戦は、その2試合を考えても、いい試合ができると思う。特にスペイン戦のようなプレーを見せられたら勝つ可能性があると思います。
──ブラジルはピヴォに危険な選手がいますし、ほかに、相手の攻撃で危険だと感じているのは?
フェラオやピトなどは素晴らしい選手です。自分たちは40分間、集中しないといけない。その2人だけではなくたくさんうまい選手がいるので、いつもよりディフェンスの場面が多いと思います。僕たちはスペイン戦の、ピヴォにボールが入るときのディフェンスの方法をたくさん練習しました。ブラジルのストロングポイントはピヴォ。スペインのソラーノとフェラオとは少し似ています。(ソラーノにやってきた対策を出せたら)問題ないと思います。
──ブラジルとの対戦は楽しみですか?
そうですね。すごく特別な試合です。W杯でプレーして、世界のトップチームと戦うこと、世界1位のスペイン、それにパラグアイ、今度のブラジル。すごく経験できるチャンスがあるのでワクワクしています。
──オリベイラ・アルトゥール選手もブラジルの出身です。ブラジル戦が決まったあとでなにか話しましたか?
彼も同じです。絶対に負けたくない。父はブラジル代表で優勝経験があり、歴史をつくった人です。彼はこの舞台で、同じように歴史をつくりたいと考えているはずです。明日の試合は、彼は相手チームに友人もいますが、その彼らに負けたくない気持ちがあると思います。勝ちたい、絶対に勝ちたいと思います。
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