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ヒジ主導のテイクバックにしてパワーアップ。毎年進化して新シーズンを迎えるナダルに注目<SMASH>

斜め前にフォロースルーして、スイング距離を長く取れているため伸びのあるボールが打てるナダル。左下は解説の丸山薫氏。写真:真野博正、THE DIGEST写真部
2021年全仏オープンテニスで14度目の優勝を狙っていた、クレーキングのラファエル・ナダル(スペイン)だったが、準決勝でジョコビッチとの激闘の末に敗退。その後ツアーを離れ、1大会だけ復帰するも8月半ばにシーズン終了を宣言。9月に2005年から慢性的に苦しめられていた左足の手術を行ない、2022年のツアー復帰を目指している。

ナダルの最大の武器であるフォアハンドについて、元日本代表コーチの丸山薫さんに解説してもらった。

*  *  *

素晴らしい威力を持つフォアハンドですが、ナダルは常に改良を加えて進化しています。だからこそ、史上最強のクレーコーターとしての地位を確立し、35歳にしてトップグループのポジションにいることができるのです。

改良した点はテイクバックです。以前はラケットを真っすぐに立てて引いていましたが、今はラケットが斜めになっています。これはヒジから引いていることを意味しており、このテイクバックにすると腕のしなりが使えるため、よりパワーを出すことが可能です。

ただし、打点が遅れやすいので、一般の方が挑戦する時は注意してください。ナダルは多少打点が遅れても腕力でカバーができ、レイトヒットの能力は世界ナンバー1です。
スピンをかけつつボールに伸びを与えるためには、スイング距離を長くすることです。ナダルはラケットダウンから打点までの距離が長く、その後も斜め上に長くフォロースルーしているので、パワフルなボールを生み出せています。

フィニッシュでラケットが頭の後ろまで来ているのは、スイングスピードが速くて腕が脱力できている証拠です。打っている姿を見ると力んでいるように見えますが、フォロースルーでは力は抜けているのです。

ナダルは毎年進化して新シーズンを迎えています。バックハンドでは右足のボールへの入り方を毎年工夫していますし、サービスの改良点は毎年違いますが、どこか変えてきます。2022年シーズンもきっと新しいナダルが見られることでしょう。

取材・文●赤松恵珠子(スマッシュ編集部)

【連続写真】ヒジ主導でテイクバックしてパワーを生み出す、ナダルのフォアハンド

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