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「想像できることは、だいたいできる」。フットクラウン社長・牟田口勇人の生き様|日本一のユニフォームメーカーへの軌跡

フットボール業界で“型破りな生き様”を描く男、牟田口勇人。

元Fリーガーという肩書きをもちながら、フットボールブランド社長、イベント主催者、YouTuber、アーティストなど、多方面で活躍するエネルギッシュな人物。

6月7日の興行も、業界内で話題だ。

イタリア・ローマ選抜を招いて開催する「FUTSAL HEROES(フットサルヒーローズ)」は日本のトップレベルのフットサル選手を招集して行う稀有なイベントである。

彼が立ち上げたフットボールブランド「FOOTCROWN(フットクラウン)」は活動の軸となるものであり「フットクラウン=牟田口さん」、あるいは「ムタ社長」は、業界内外に着実に浸透している。

牟田口氏はなぜ、こうもパワフルなのか。情熱と想いを形にする意思の強さは、どこからきているのか。フットボールでビジネスを展開する才覚はどのように培われたのか。

彼が描く壮大なビジョンとは何か──。

インタビュー=本田好伸、伊藤千梅
編集=本田好伸、柴山秀之
写真=伊藤千梅

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3年で400チームのユニフォームを製作 

──元Fリーガーがフットボールブランドを立ち上げること自体は、それほど “珍しくない”時代になりました。牟田口さんはどうして「フットクラウン」を始めたんですか?

デウソン神戸を退団してから、YouTubeで「中国からの輸入ビジネスのやり方」をたまたま見つけて「あ、これいけるな」って(笑)。

──まさかのYouTubeですか。

そうです、そうです。

──もともと仕事のノウハウもあったんですか?

いや、ないですね。ただ、ブランド自体はデウソン神戸サテライトにいた時に立ち上げていました。それに、大学を卒業して社会人として働いていた当時、入社後すぐの2014年の夏には起業しているんです。フットサルをしながら、社会人をしながら、自分で会社も。

──すごい。では、勤めていた会社がアパレル関係とか?

いえ、トランクルームのレンタルとか、物件開発とか。

──全然関係ない(笑)。

それで、会社に自分で起業したことがバレて、他にも理由はありましたけど、半年で会社をやめることになりました。フットクラウンのルーツはそんな感じです。

──だいぶ型破りですね(笑)。

当時、起業した会社で作っていたフットクラウンは、それを拡大させていこうというよりかは、自分の着る服を自分で作るくらいの規模感でしたね。そこから話が飛んで、さっきお話ししたYouTubeを見てから、ブランドをもっとスケールさせていこうと考えました。

──最初はユニフォーム製作ですか?

自分で立ち上げたチームのウェアを安く作ろうっていう感じですね。シルエットや生地感、ロゴの大きさもそうですし、あの工場だとこの仕様はできないとか、こっちの工場ならできるとか、工場との調整を含め、あらゆることを自チームでテストマーケティングしていきました。不備があれば何度も修正して、改良して、1年くらい試行錯誤していましたね。

──そしてこれならいける、と。

僕も選手なので、競技者が感じているようなユニフォームの良し悪しはわかるので、「これはまだまだ」「この商品は出せない」とか、肌感覚としても理解しています。そうした繰り返しのなかで、選手にも意見を聞いて「これ、かっこいいですね」とみんなが言い始めてきたので、「世に出せるタイミングがきた」という感覚になりました。

──ユニフォーム販売で大切にしていることはありますか?

なんでしょう、自分でやること、ですかね。例えば、他のメーカーさんのテンプレートや規格を使わせてもらって、卸して販売することはしたくなかった。他のブランドには絶対に頼らないという意地ですね。負けず嫌いなので、自分で何とかしたい、自分でやりたいという気持ちは強くもっています。国内で言えば、それこそミズノさんやアシックスさんといった大手スポーツメーカーと比べるとちっぽけですけど、意地でやってきたとは思います。

──フットクラウンは、かなり認知されてきましたよね。

まだまだですけどね。もちろん、数字としては3年で400チームのユニフォーム製作という実績を出しました。でもそれは、自分の中でしか喜べない小さな土俵でのことですから。

──今では、いろんな商品や活動へと広がっています。

これは僕の性格が大きいかもしれません。誰かとしゃべっていても、一つの言葉からたくさんの想像力が生まれて、話の本流に戻れなくなることがよくあって(笑)。

──なるほど。

だから、常にいろんなことが頭を駆け巡っているわけです。よく、「経営者はやらないことを決めろ」とも言われるんですけど、それがすごく苦手で(苦笑)。

その分、あれもこれもやりすぎて失敗してやらなくなったこともたくさんあるんですけど、最初に思い浮かんだら、それを「やらない」という選択肢はなかなか取れないですね。

そんなわけで、あらゆることに手を出しているという感じです。

──「フットサルヒーローズ」もそうですよね。

まさにそうですね。フットサル選手がもっと自由に盛り上がれる場所をつくりたいと思って始めたのがフットサルヒーローズでした。

自分が何かやりたいと思っていても、Fリーグや関西リーグでは実現が難しいこともあります。僕自身もFリーガーでしたし、中の環境を理解しているつもりですから、オフィシャルとは異なる舞台でやれる興行を生み出したいな、と。自分自身が始めたチャレンジでどれだけの盛り上がりをつくり出せるのか、これも“自分でやる”という意地ですね(笑)。

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なぜ、フットサルヒーローズを続けるのか? 

──6月7日の開催で7回目を迎えます。

今回は「1000人が集まらなかったらやめる」と公言しているので、観客動員できなければ解散となってしまいますけどね。もちろん、続けるのは簡単ではありませんでした。

──特に、フットサルヒーローズは競技のファンに向けているというところも。

そうですね。まさにそこは、あしざるFCさんがやっているようなターゲットとも明確に異なるものですし、フットサルヒーローズはFリーグと切り離せるものではないと思っています。すでにFリーグを見に行っている人や、元選手のファンが観客の中心です。

そう考えると、Fリーグの規模感が、そのまま僕たちの規模感になってきます。

──想いだけで続けられるものではない。

もちろんそうです。想いだけでやれたらいいですけどね。1回の開催である程度の費用が必要ですし、その資金をどのように捻出するのか、どのようにスポンサーを集めるのか、日付はいつか、場所はどこかと、実施までにはあらゆる過程でハードルがあります。

経営者の視点で言えば、簡単にゴーを出せないことは事実ですね。

──それでも、ゴーを出し続けてきた。

それこそが、先ほどお話しした自分自身へのチャレンジですね。究極的に言えば、自分1人で5000人のお客さんを集められるのであれば、それで成立するということ。

例えば、日本格闘技界を代表するプロモーターでありカリスマの榊原信行さんが『PRIDE』や『RIZIN』を主催したように、榊原さんがアリーナを抑えて、こんなカードでやろうと言えば、新しい座組でもなんでも、1万人以上が絶対に集まるわけです。

僕はそういうものを生み出したいと、本気で取り組んでいます。

──自分が広告塔にもなる、と。

僕はフットサルをやってきて、フットボールブランドを立ち上げて、少し前までキックボクシングをやって、今はボイストレーニングに通って歌を出してと、いろいろやっています。それは極論、自分がやりたいイベントに、自分だけで集客できる状況にしたいから。

“フットサル界”で集められなくても、“自分”で集められたら最高ですよね。

──そこまでして自分でやる理由はなんでしょうか?

これは僕がよく言葉にしている持論ですが、自分が想像できることは、だいたいできる。その想像できる解像度が高くなればなるほど、実現の可能性が上がっていくと思っています。

例えば、これまではどうやったら年商10億の会社にできるか想像できていませんでした。でも最近、サッカー界のサプライヤーの話などを聞いたことで、明確にビジョンを描けるようになりました。今までは4、5人の社員の会社では想像できなかった規模感だったところから、今後どうしたらいいのか筋道を立てることができたわけです。

その時に「自分が想像できる」となる。

そこからリアルに落とし込んでいくわけですけど、自分のやりたいことを現実にしていくことが、自分のなかでの一番大きな源となっているのかもしれません。

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