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日本ツアー未勝利の54歳の“挑戦” 韓国経由→母国復帰へ「ちょっと修行」

54歳・南崎次郎の挑戦はまだまだここからが本番だ(撮影:上山敬太)

<日本シニアオープン 2日目◇13日◇千葉カントリークラブ・川間コース(千葉県)◇6811ヤード・パー71>

昨年、日本のメイフラワーコース(栃木県)で行われた韓国シニアツアー(KPGAチャンピオンズツアー)「メイフラワーGC招待」で優勝した南崎次郎は、その資格で今年、同ツアーの2年シードを獲得し、韓国を主戦場に“腕を磨いて”いる。

1996年に日本でプロ転向したものの、これまで勝利は手にしていない。そしてシニアツアーには2020年から参戦している。「日本の予選会で失敗してしまって。3年間はずっとフル参戦していたんですけどね」。今年の出場権がかかった最終予選会は74位に終わったが、「日本で出られないから、韓国に行ったこともないのに、行ってみるか」と気持ちを切り替えて飛び立った。

「本当は日本でやりたいんですよ」というのが本心。母国の試合に出場し、活躍することが本来の目標だ。「でも、出られないものは仕方ないから、韓国でちょっと修行してこようと思いまして」。“日本ツアー復帰”を目指し、いまは韓国の舞台で自分磨きをしている。

韓国ツアーで有観客の試合はメジャーの1試合のみ。「なんか普通にゴルフ場でコンペをやっているような感じ。だからそんなにプレッシャーもないんでしょうね」と異国でのプレーについて話す。「そうするとそこそこ上位に行ったりもするので、優勝を意識してやるわけじゃないですか」。ノープレッシャーであることが自分への期待を生み、結果的にプレッシャーになることもあるが、これ自体が異国の地だからこそ学べたことでもある。

現地での生活は、日本のレギュラーツアーで通算4勝を挙げているキム・ジョンドク(韓国)とともに行動することが多く、支えてもらっている。「日本で大活躍していた方にすごくよくしてもらえて、ジョンドクさんがいなかったら無理ですね」。食事をともにしたり、試合時の移動などもサポートしてもらっているという。

「国際免許をもっていればいいんだけどね、なんせこうスピードを出す車も多かったり、看板の文字がハングルだからすぐに理解できないことや、どこに行ってもわからないことなど不安があって…」。“海外ツアー初心者”が直面する問題も、救いの手によって乗り切ることができている。

「でもね、ずっと甘えているわけにはいかない。ジョンドクさんだって、初めて日本に来たときは何もわからず来たわけだから。それをいつも話してくれるんですよ。『勉強、勉強』って。頑張りなさいって言ってくださるんです」。その背中を見て、少しずつ“独り立ち”という言葉も意識する。

トータル3オーバー・50位タイで決勝に進んだ今大会は、いわば“修行”の中間試験ともいえる。日本で活躍することが一番の目標ではあるが、チャンスがあれば海外ツアーでもどこでも「出られる試合があればどんどん出ていきます」とやる気満々。「チャンスがあれば、どこにでも行かなくてはいけないなって思うし。まだまだジョンドクさんだって63歳だけど、毎回ベスト10に入っているもんね」。“師匠”とも言える憧れの存在に少しでも近づけるためにも、54歳の挑戦はまだまだ終わらない。(文・高木彩音)

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