賭けゴルフが「ニギリ」と言われるワケ! 健全な賭けゴルフでいつものゴルフにちょい刺激を
賭けゴルフは「ニギリ」とも呼ばれ、創意工夫に富んださまざまな種類の遊び方があります。ゴルフの腕前に関係なく勝敗が決まる側面もあり、「スコアでは負けてもニギリでは勝った!」という面白さが味わえるのが魅力です。しかし、一歩間違えば賭博罪に問われることもあるので、「知らぬ間に違法な賭博に手を染めてしまった」なんてことのないよう、健全に楽しむ方法について解説します。
1.賭けゴルフはどこから違法になる?
清く正しく賭けゴルフを楽しむためにも、どうすると違法になるのかしっかり把握しておくことが重要です。
お金を賭けることは少額でもアウト
賭けゴルフは、場合によっては賭博行為に該当し、賭博罪に問われる可能性があります。
そもそも賭博とは、「2人以上の者が偶然の勝敗により財物や財産上の利益の得喪を争う行為」のことです。
「偶然の勝敗」とは、勝敗が偶然性に左右されることを言います。つまり、結果を予見したり操作したりできないことです。
「財物や財産上の利益」とは金銭のみならず、たとえばブランドバッグや入手困難なグッズなど、長期間にわたって一定の財産的価値を有するもの全般を指すとされます。
「得喪」とは、何かを賭けて、勝者はその利益を得て、敗者は失うことを指します。
たとえば福引は偶然によって賞品が獲得できるものですが、利益を得ることはあっても利益を失うことはないため、賭博には当たりません。しかし賭けゴルフは、多少腕前が影響するとしても、偶然の勝敗によって利益の獲得、喪失が発生するわけですから、賭博に該当すると考えられています。
これをふまえて、賭博罪について確認しておきましょう。
刑法185条は、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない」と規定しています。
お金は財産ですから、金額にかかわらず賭博罪にあたります。「少額ならいいか」とお金を賭けたニギリをすると、罪に問われることを肝に銘じてください。1円でもアウトです。罪の意識なく参加しがちですが、「知らなかった」という言い訳は通じません。
「一時の娯楽に供する物」で楽しもう
では、一体何を賭けるなら合法的に楽しめるのかというと、刑法185条にある「一時の娯楽に供する物」です。一時の娯楽に供する物とは、食べ物や飲み物など経済的な価値がすぐになくなる物と考えられます。
ですので、賭けるなら茶店のドリンク、売店のお菓子、レストランの軽食やデザートなどで楽しむようにしましょう。
個別包装のお菓子など分けられるものであれば、参加した人と分け合うようにすると、よりスマートです。
賭けゴルフが「ニギリ」と言われるワケ
なぜ賭けゴルフが「ニギリ」と呼ばれるのかというと、プレーヤー同士が賭けの条件に納得し、成立したことを示すために手を握り合ったからだとされています。
ニギリでよく使われる隠語が、「チョコレート」です。これは掛け金のレートを意味する隠語で、一般的には100円をチョコレート1枚とし、「1打(または1点)につきチョコレート1枚」とすることが多いようです。古くは本物のチョコレートを賭けていたそうですが、それがのちにお金の隠語となったとされています。
しかし、前述のように金銭を賭けることは違法です。ニギリで言うところのチョコレートは、本物のチョコレートにしてください。
2.賭けゴルフの種類
賭けゴルフは、さまざまな遊び方があります。シンプルなものからちょっと複雑な計算が必要なものまで、多彩です。参加者のメンツや経験値に応じて選ぶといいでしょう。
ナッソー
ナッソーは前半9ホール、後半9ホール、全18ホールのそれぞれのスコアで勝敗を競い合うものです。勝ち点は1点とし、最高3点となります。前半が悪くても、後半とトータルで挽回できるチャンスがあるのが特徴です。
非常にシンプルな仕組みなので、メジャーなニギリのひとつと言えます。
【例】
前半9ホールのスコア
・Aさん/60
・Bさん/55 →勝ち・1点獲得
後半9ホールのスコア
・Aさん/50 →勝ち・1点獲得
・Bさん/60
全18ホールのスコア
・Aさん/110 →勝ち・1点獲得
・Bさん/115
結果
・2点を獲得したAさんの勝ち
タテ
タテはラウンド終了後にスコアカードのタテの列、つまり18ホールのストローク数を競うものです。1ストローク1点とし、ハンデがあればそれを引いた合計点で勝敗を決めます。
単純にゴルフが上手いプレーヤーの勝ちとなるので、同じような実力を持った人と遊ぶのが無難でしょう。
【例】
全18ホールのスコア
・Aさん/100 →ハンデ20を引いて80点
・Bさん/87 →ハンデ5を引いて82点
結果
・Aさんの勝ち
ヨコ
ヨコはスコアカードのヨコの列、つまりホールごとのマッチプレーで競うものです。勝ったホールを1点とし、全18ホールを通して獲得した合計点数の多い人が勝者となります。
タテと違って、スコアが不安定なプレーヤーでも楽しみやすいのが特徴です。
【例】
あるホールのスコア
・Aさん/5
・Bさん/4 →勝ち・1点獲得
・Cさん/6
・Dさん/8
結果の出し方
・全18ホールで獲得した点数を合計し、その合計点数の多い人が勝ち
オリンピック
オリンピックはパッティングの上手さを競うゲームで、グリーンオンしてからスタートです。
ボールの位置がカップから遠い順に金メダル(4点)、銀メダル(3点)、銅メダル(2点)、鉄メダル(1点)とし、1打でカップインできた人は、該当するメダルの点数を獲得できます。
また、グリーンの外からチップインした人は、「ダイヤモンド」とし、5点もらうことができます。
18ホール終了後、その合計点数に、以下の計算式を当てはめて勝敗を決めます。
(本人の点数 × 他人の人数)―(他人の点数合計)=最終点数
【例】
・Aさん/(12 × 3)-(18)=18 →勝ち
・Bさん/(6 × 3)-(24)=マイナス6
・Cさん/(4 × 3)-(26)=マイナス14
・Dさん/(8 × 3)-(22)=2
竿一(さおいち)
オリンピック同様、パッティングで競うニギリです。
グリーンに乗ったボールの位置がピン(旗竿)の長さより遠い位置の時、プレーヤーは「竿一」と宣言してゲームスタート。パットを何打で沈めたかによって、点数が決まります。
・1打でカップイン/1点
・2打でカップイン/0点
・3打でカップイン/他のプレーヤーに1点与える
18ホール終了後、その合計点数で勝敗を決定します。
プロでさえ簡単なパットを外すことがありますから、ゴルフ初心者でも勝利のチャンスがあります。「竿一」と宣言することでプレッシャーもかかりますから、メンタルのタフさが試されるのも面白いところです。
ピンポンパン
ピンポンパンも、グリーン上で競うゲームです。
・最初にグリーンオンしたプレーヤー/「ピン」 →1点獲得
・同伴者全員がグリーンオンした際、カップに一番近いプレーヤー/「ポン」 →1点獲得
・最初にカップインさせたプレーヤー/「パン」 →1点獲得
18ホールを終えたら、その合計点数で争います。
1ホールでピンポンパンを達成するプレーヤーもいるので、その場合はボーナス点をつけると一層盛り上がります。
オネスト・ジョン
まず、スタート前に自分の目標スコアを予想して申告します。ラウンド後、申告したスコアに一番近いスコアで回ったプレーヤーが勝ち、というゲームです。
申告したスコアより実際のスコアがよかった場合は1打につき1点、悪かった場合は1打につき2点が相手プレーヤーに加算される、というケースが多いようです。
【例】
Aさんは目標スコア「100」と申告
・「95」で上がった場合
申告スコアとの差/5打 →相手プレーヤーは5点獲得(5打 × 1点)
・「100」で上がった場合
申告スコアとの差/0打 →Aさんの勝ち
・「105」で上がった場合
申告スコアとの差/5打 →相手プレーヤーは10点獲得(5打 × 2点)
「あえて多めに申告しておいて、それに合わせてプレーすると楽勝では?」というズルも考えられますが、みずから帳尻を合わせられないよう、隠しホールを設けるのが一般的です。たとえば、隠しホールをパーとして再計算するとスコアが変わるので、そのスコアで勝敗を決めるようにするとズルができなくなります。
とはいえ、ゴルフは紳士・淑女のスポーツ。“オネスト(正直者)”になりましょう。
ラスベガス
ラスベガスは2人1組になり、2対2で勝敗を競います。そのため、4人でプレーするのが条件です。
1ホールごとに、ティショットの順番が1番と4番、2番と3番の人がペアを組みます。そして、ペアのうち打数が少ないプレーヤーのスコアを10の位、打数が多いプレーヤーのスコアを1の位に置き換え、その点数で勝敗を決めます。
【例】
Aさん&Bさんチーム
・Aさんのスコア/6 →「6」を10の位に
・Bさんのスコア/7 →「7」を1の位に
・獲得点数/67点
Cさん&Dさんチーム
・Cさんのスコア/8 →「8」を1の位に
・Dさんのスコア/4 →「4」を10の位に
・獲得点数/48点
結果
・Cさん&Dさんチームが勝利で、両チームの得点差/19点がCさんとDさんそれぞれの得点に
ラスベガスはニギリの中でも得点差が開きやすいゲームで、その名の通りギャンブル性が強いのが特徴です。仮に、一方のチームにバーディやパーをバンバン取るプレーヤーがいれば、得点差は一気に広がります。そのため、ペアの組み合わせは1番打者&4番打者、2番打者&3番打者というように公平性が保たれるようになっており、お互いに楽しむことができます。
アベレージ・スコア
アベレージ・スコアはコンペなど、大人数で競い合うのに適したゲームです。
4人1組でチームをつくり、ホールごとに4人の合計ストロークを4で割ります。ハンディキャップも4人の合計を4で割り、平均値を出します。
18ホール終了後、各ホールの平均スコアを合計し、そこからハンディキャップの平均値を引いたネットスコアで順位を争います。
【例】
Zチームのあるホールのスコア
・Aさん/5
・Bさん/5
・Cさん/6
・Dさん/8
→合計24 ÷ 4=平均スコア6
Zチームのハンディキャップ
・Aさん/20
・Bさん/16
・Cさん/24
・Dさん/36
→合計96 ÷ 4=平均ハンディキャップ24
結果の出し方
・全18ホールの平均スコアから平均ハンディキャップを引き、スコアが一番よかったチームが勝ち
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