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ロン毛&ヒゲの人気者 フリートウッドが緊張の“6フィート”を決めて銀メダル「夢にも思わなかった」

英国のトミー・フリートウッドが銀メダルを獲得した(撮影:GettyImages)

<パリ五輪 最終日◇4日◇ル・ゴルフナショナル(フランス)◇7174ヤード・パー71>

「トミー! トミー!」の大歓声に包まれる中、18番グリーンへと向かった英国代表のトミー・フリートウッド。17番で痛恨のボギーを喫し、先に上がったスコッティ・シェフラー(米国)をとらえるためには、グリーン奥からの第3打を入れてバーディを奪うしかない。

ピンまで34ヤード。丁寧にグリーン上のラインを読んで放ったチップショットはカップに向かったが、無情にも横を通り過ぎた。この瞬間、シェフラーの勝利が確定した。
「いつもなら試合に負けた…というシーンだったけど、まだ僕には仕事が残されていた」と緊張は解けなかった。

返しのパーパットは6フィート(約1.8メートル)。これを外せば、松山英樹と並んでプレーオフとなる。

「銀メダルを獲りたいと思った。いつもと全く違う緊張だった」。そんな運命のパーパットを沈めると、大歓声がフリートウッドに浴びせられた。にこやかに手を振り、そのあとはじっと天を仰いだ。金メダルには届かなかったが、それでも堂々の銀メダルを獲得。複雑な気持ちが入り交じった。

「負けたという悔しさはもちろんある。だけど、幼少の頃からゴルフを夢見てきて、まさか自分が五輪のメダリストになれるとは夢にも思わなかった」と銀メダルの重みを実感した。

フリートウッドの勢いを支えたのはフランスのファンだった。「フランス人なの?」と言われるほど地元ファンから声援が送られていた。「毎週の試合とはまるで違う空気だった。こんなバイブを感じたことはない」と興奮しきりだった。

「母国を代表して戦えたことを誇りに思う。スコッティとヒデキとともに表彰台に登ったことは、僕の心に永遠に刻まれる」

長髪とヒゲがトレードマークの33歳。英国紳士が見せた奮闘は、フランスの大ギャラリー、そして五輪の歴史にも深く刻まれた。(文・武川玲子=米国在住)

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