JORDAN BASKETBALL CLINIC Presented by ZONE OF HOOPS+
『JORDAN BASKETBALL CLINIC Presented by ZONE OF HOOPS+』(ジョーダンバスケットボールクリニック)が、2023年12月16日(土)に、八王子市立いずみの森義務教育学校で行われました。その模様をお届けします。
当日は、元日本代表でシューティングガードとしてBリーグの得点王に3度輝いている川村卓也さんが、ゲストコーチとして参加。得点力を上げるための効果的な練習方法などについて、バスケ部員達は熱心に耳を傾けていました。
最初に行われたのは、走りながらパスを受けてコーンを回り込み、遠目からシュートを打つ練習。部員達は川村さんとバスケ部の眞間香織コーチからのパスで、繰り返し行い動きの精度を高めていきました。
さらにディフェンスの選手をかわしながらパスを受け、ゴール下までドリブルで持ち込みシュートを打つ練習など、様々なパターンが実践されました。
練習を見た川村さんは「止まる、走るなどの動きを漫然と行うのではなく、常にメリハリを付けることが大切。シュートに関しては全体的に綺麗に打っている選手が多いけど“ボールの回転の質”が少し物足りない。入ったから良いのではなく、ボールが綺麗な回転になっていることが重要」と分析。
続いて行われたのは、同じ場所からシュートを繰り返すスポットシューティング。トップ、ウイング、コーナーなど、選手達が位置を変えながら練習が実施されました。
実際に、川村さんがボールを使用してシュートの打ち方を指導。ボールに綺麗な回転を与え成功率を上げるために必要な体の使い方について「下半身を安定させて軸がブレないようにすること。上半身の手の力だけで飛ばそうとするのではなく、下半身を使った打ち方を身に付けることが大切」とアドバイスしていました。
「僕も幼少期から常に意識してきたのは下半身でボールを飛ばすことでした。そして、プロを目指していくなかで“自分に何が足りないか”考え、 背の高い選手をかわすためシュートのアーチの高さやフォロースルーなども意識するようになったんです」と川村さん。
シュート練習の次はドリブル。コーンを縦に並べ、1つのコーンをディフェンスと仮定。その間を縫うようにドリブルで進んでいく練習です。抜いたらチェンジで切り返し、すぐに次のコーンを抜いていきます。フロントチェンジやレッグスルー、ビハインドなどチェンジの種類を変えて何度も行われました。
「この練習は、徐々に脚の動きのスピードを上げていくことで効果が出る。ドリブルと脚の動きを連動させて滑らかにコーンを抜いていけるようになれば、試合でディフェンスをかわせる確立も上がってくる」と自ら実践しながら指導されていました。
選手達のドリブルを見た川村さんは「まだまだ練習が必要な段階。バスケはドリブルも噛み合ってこそ、シュートに上手く繋がる部分がある。手先や指先のコントロールが大切なのはシュートもドリブルも共通なので、そこを磨いて欲しい」と改善点を提言。「自分の場合はスピードがなかったので、ドリブルの一歩目で“いかに相手をかわせるか”など駆け引きを大切にしてきた。若い選手達にも課題を明確にして取り組んで欲しい」と、ビジョンを持って練習することの重要性を語っていました。
最後に行われたのは選手全員による“シュート勝負”。スポットシューティングで、入れた選手から勝ち抜けていく形で実施され、ゲーム性もあるため会場は多いに盛り上がり大歓声に包まれました。
「シュート勝負をすると選手は燃えるので、練習の最後の総まとめに良いかなと……。このような形で、勝負のかかる場面でのメンタルを養えれば、試合でも緊張せず大事な所で力を発揮できるようになるかも知れない。やはり、メンタル的な部分に訴求する練習を取り入れることも大切。また、一つ一つの動きを丁寧に行うことも忘れてはいけない」と、今後を見据え語っていました。
今回のクリニックでは、ジョーダンのルカ2、ナイキバスケットボールのサブリナ1を選手達が試し履き。いつもとは違うフィット感や履き心地に興味津々の様子でした。
◆選手達から川村さんへの質問タイム
シュートの成功率を上げるには、どのような点に気を付ければ良いですか?
「ボールの回転の質を良くすること。そのために下半身を安定させて上手く使い、手首・腕・指先などの動きも意識すれば良くなると思う。ボールに綺麗な回転をかけることを考えながら打てば、徐々に良い球質になる。練習では打つ前にドリブルでリズムを作ったり、シュートの強さを変えたりするといいです」
3ポイントシュートの練習をする時に、意識しておくことはありますか?
「ボールを前ではなくて、上に飛ばすことを意識する。ゴールが前にある場合は、遠くに飛ばさなければ……と思いがちだけど、そうすると直線的な軌道になるため入る確率が下がる。反対にボールがアーチを描くようにシュートを打つことが大切。そのためには、膝の曲げ伸ばしを上手く使うこと、ボールに良い回転をかけることが必要。①膝、②アーチ、③回転の3つを意識して練習するといいです」
クリニック終了後に、川村卓也さん、八王子市立いずみの森義務教育学校バスケ部の眞間香織コーチと選手2名(キャプテン、副キャプテン)にインタビューさせていただきました。
◆川村卓也さん
本日のイベントの感想をお願いいたします。
「僕が想像していたよりも、多くの選手がシュートを綺麗なフォームで打っていました。ただし、ボールの回転の質については今後の課題かな…と感じました。それとドリブルは、まだまだ練習が必要だと思います。今日は90分間のクリニックだったのでシュートメインの練習になりましたが、次はドリブルとパスを使って連動していく動きなども教えてあげたいですね。やはり、シュートだけではバスケットボールは組み立てられませんから」
川村さんがクリニックで教える時に、心がけていることはありますか?
「色々な教え方があると思いますが、このようなクリニックでは“楽しみながら成長できること”がポイントだと思っています。普段の練習では、指導者の方は厳しく言わなければいけない場面もあるでしょう。しかし、僕の立ち位置では“選手達に笑顔が出る練習”になって欲しいんです。引き締める点と楽しめる部分のバランスを意識しながら取り組んでいます」
当日の練習メニューは、どのように決められるのでしょうか?
「事前に、ある程度実践したいことは考えておきます。とはいえ、教える選手達の力量が必ずしも想定通りなわけではありません。そのため、現場で練習前に選手のアップでのパフォーマンスを見て“何ができるか”決めています」
バスケ部の眞間コーチと色々お話をされていましたが、現場での意見交換や交流についてどう思われますか?
「お互いの気づきになれる形が1番良いと思います。選手の特徴、チームの課題、練習方法など色々なことを情報共有し意見交換ができる機会を大切にしたいですね。お互いが指導者として上手く立ち回れれば、子供達の未来を切り開けるのではないでしょうか」
◆八王子市立いずみの森義務教育学校バスケ部 眞間香織コーチ
川村さんから教えて欲しいと思ったのは、どのような点ですか?
「川村さんは一対一の駆け引きが上手い選手なので、その要因を知りたいと思っていました。さらに一対一の練習を自分以外の人が、どのように実践しているのか……バリエーションも知りたかったので、お話を伺いました」
川村さんに練習を見て頂いて、どう感じられましたか?
「すごく勉強になる部分がありました。アドバイスを頂いたなかで一番印象に残っているのは、ドリブルからシュートを打つ時に流れのなかで何となく惰性で止まるのではなく“しっかり強く止まる”という点です。うちの部員は、それが出来ていないことを強く実感しました。今後は“止まることの重要性”を常に練習でも伝えていくつもりです」
コーチから見て選手達の様子はどうでしたか?
「普段の練習では“上達のためだけに真剣に練習へ取り組む”という感じなのですが、今日は久しぶりに選手達が楽しそうにボールを持っている姿が見られました」
川村さんの練習メニューで参考になった部分はどのような点ですか?
「選手達を楽しませる練習メニューです。例えば、ドリブルでも単にボールをつくのではなく、レッグスルーやビハインドを組み合わせたり……。それでいて、大切なポイントはしっかり絞って伝える。メリハリをすごく感じて参考になりました。私も今後は、選手達に緊張の糸がほぐれるような瞬間も作ってあげた方が良いのかも知れないと思いました」
川村さんから眞間さんに選手への球出しについてアドバイスがあったようですが、どのような内容だったのでしょうか?
「パスを出す際に“生徒がボールを持ち替えずにシュートを打てる球出し”が理想的とアドバイスを頂きました。大抵の選手がシュートを打ちやすいのは、ボールの縫い目が横の状態でパスをキャッチできた時です。そのため、アドバイスを頂いた後は、常にボールの縫い目を意識してパスを出すようにしました」
選手個々のプレー面についての具体的なアドバイスはありましたか?
「チームのシューターの癖や直すべきポイントなどについて、教えて頂きました。内容は、自分のなかでも“良くない”と思っていた点だったので、答え合わせになり修正する部分に確信が持てました。それから、私が思っていた以上に選手達はドリブルが上手くできていなかったので、今後は様々なバリエーションのドリブル練習をしていきたいと思います」
今後、選手達にどんな風に成長して欲しいと思いますか?
「選手により限界や目指している場所は違いますが“自分の中でやり切った”と思えるまでプレーしてもらえればと……。上手くなることを楽しみながら“やっていて良かった”と感じるバスケット人生を歩んで欲しいと思います」
◆八王子市立いずみの森義務教育学校バスケ部 長谷川蒼太キャプテン、矢口湧士副キャプテン
クリニックはどうでしたか?
長谷川キャプテン「自分達が上手く出来ていない点を指摘してくれたので良かったです」
矢口副キャプテン「すごく楽しかったです。3ポイントなどを打つことが多いのですごく勉強になりました」
川村さんのアドバイスで印象に残ったことはありますか?
長谷川キャプテン「ボールの回転が綺麗でなければ良いシュートが打てないという点です」
矢口副キャプテン「シュートの時に下半身を上手く使うという点です。川村さんから、使えていないという指摘を受けたので改善していきたいと思います」
今回試し履きしたバスケットシューズの印象はどうでしたか?
長谷川キャプテン「軽くてフィット感が良く、足にも馴染んでプレーしやすかったです」
矢口副キャプテン「弾むような感覚があり動きやすかったです。シュートも打ちやすく感じました」
今後の抱負を教えてください。
長谷川キャプテン「試合の重要な場面で安定したシュートが打てる選手になりたいです」
矢口副キャプテン「今日教えて頂いたことを意識して、試合で3ポイントなど外からのシュートをガンガン打っていきたいです」
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